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コンテナ管理におけるベンダーの動向【テクノ・システム・リサーチ調べ】

2019年11月7日(木)
幕田 範之

はじめに

今回は、コンテナ管理サービスやソフトウェア製品を提供しているベンダーに焦点を当てて解説する。

日本国内における
コンテナ管理ベンダーマップ

下図は、日本国内における各ベンダーのポジショニングを表したもので、縦軸が日本のビジネス規模を、横軸がテクノロジーとエンジニアアセットを示している。

オーケストレーションツールと
コンテナ管理サービス製品

Kubernetesを筆頭に、コンテナのオーケストレーションには以前からMesosなどがあり、このオーケストレーションツールに各種OSSや独自機能を加えることで、エンタープライズでも利用できるコンテナ管理の仕組みが出来上がる。

これらを全てOSSで構築することも可能だが、技術面で難易度が高く、一般の企業ではなかなか対応できないだろう。そこで、Amazonなどのサービス事業者やRed Hatのようなソフトウェアメーカーがコンテナ管理サービス・ソフトウェア製品を有償で提供している。

主要なコンテナ管理サービスとソフトウェア製品

コンテナ管理のサービス・製品としては、大きく下記の2つに分けられる。

  • クラウドサービスとして提供されるマネージドサービス
  • 自社システムで構築するためのオンプレミス向けのマネージドソフトウェア

以降に、日本で提供されている主なサービスと製品について、ベンダー各社の特長を簡単にまとめた。

Amazon

マネージドサービスとしてAmazon ECS(Amazon Elastic Container Service)とEKS(Amazon Elastic Kubernetes Service)を提供している。ECSはAWS独自のオーケストレーションツールを利用し、EKSはKubernetesベースとなっている。2014年11月よりECS、2017年11月よりEKSの提供を開始している。

Amazonの各種サービスとの連携性が高く、すべてをAamazon内で完結するケースではECSの人気が高い。マネージドサービスのトップクラウドサービス事業者。

Google

マネージドサービスとしてGKE(Google Kubernetes Engine)、マネージドソフトウェアとしてGKE On-premを提供している。2019年4月にAnthosを発表。Anthosは製品名ではなくブランド名。Anthosの中にKubernetesやGKEOn-premなどすべてが含まれ、オンプレも含めたマルチクラウド環境のコンテナの管理やCI/CDまで一括して利用してもらうコンセプトとなっている。

現状は、GKEOn-premのみの販売は行っておらず、GKEOn-premを利用したい場合は、Anthosを購入する形となる。

Microsoft

マネージドサービスとして、AKS(Azure Kubernetes Service)とAzure Container Instancesを提供している。AKSはKubernetesを利用し、Azure Container Instancesは独自仕様となっている。

IBM

マネージドサービスとしてIKS(IBM Cloud Kubernetes Service)、マネージドソフトウェアとしてIBM Cloud Paksを提供している。

IKS、Cloud Packsに名称を変更する前のサービス、製品では、Kubernetesをベースに展開してきた。しかし、Red Hatを買収したことで、OpenShiftを主体とした製品体系へと変更している。

VMware

マネージドサービスとしてCloud PKS、マネージドソフトウェアとしてはEssential PKS、Enterprise PKSを提供している。Cloud PKSはまだ日本ではリリースされておらず、2019年末のリリースを予定している。Essential PKSは買収したHeptioの製品、Enterprise PKSはPivotalと共同開発した製品であり、PivotalのPKSと同一製品となる。

2019年8月にvShpere上で直接KubernetesクラスタやPodsを実行、運用管理できるProject Pacificを発表してきたことで、コンテナ市場における存在感を増してきている。

Red Hat

マネージドサービスとしてOpenShift Dedicated、マネージドソフトウェアとしてはOpenShiftを提供している。IBMがOpenShiftをベースとした製品に移行し、提供を始めている。日本では、NEC、NTTデータ、富士通、CTCなどのクラウドサービス事業者が同製品を導入し、サービスを提供している。マネージドソフトウェアではトップメーカー。

さくらインターネット

マネージドサービスとしてArukasを提供している。2014年より開発をスタート、2018年4月にリリースしている。Kubernetesは利用しておらず、MesosとMarathonで構築されている。2020年1月31日にArukasの提供を終了することが発表された。

Pivotal

マネージドソフトウェアとしてPivotal Platform:旧PCF(PAS、PKS、PFS)を提供している。以前は、PCF=PAS(Pivotal Application Service)であったが、KubernetesベースのPKS(Pivotal Container Service)やKnativeを取り込んだサーバレスのPFS(Pivotal Function Service)が登場したことで、PAS、PKS、PFSを総称してPCFという呼び方をしている。

RancherLabs

マネージドソフトウェアとしてRancherを提供している。OSS製品であり、Github上に公開されている。誰でも無料でフル機能が利用できる。サポートが必要な場合は、RancherLabsが有償サポートを提供している。

Docker

マネージドソフトウェアとしてDocker Enterpriseを提供している。バージョン2.0からDocker Swarmに加え、Kubernetesのサポートを開始し、2019年7月のバージョン3.0からDKS(Docker Kubernetes Service)によってKubernetesをより容易に利用できる形となった。

* * *

今回はコンテナ管理における各ベンダーが提供するサービスとソフトウェア製品について、多くの人が理解しやすいような形でまとめた。そのため、すでにコンテナを十分に理解している読者には眠い記事になったかもしれないが、これからコンテナを導入しようという人にとっては頭の整理ができたのではないかと思う。

さて、次回からは2回にわたって、恐らく日本で最もコンテナを活用していると思われるヤフージャパン、また、そのインフラ技術を開発するゼットラボ株式会社の坂下幸徳氏に、コンテナの導入から運用管理していくポイント等について、ヤフージャパン内の実例と共に日米の比較を交えた形で話を伺ったインタビュー記事を紹介する。コンテナと向き合う全ての人にとって、非常に勉強になる、有意義な内容となっているので、楽しみにしていてほしい。

株式会社テクノ・システム・リサーチ

サービスマネジメント・ソフトウェアやストレージ、スマートシティを中心に調査分析を担当。メーカー、SI/VAR、ユーザー、業務/ビジネス部門の四方向から調査を行い、その分析結果を基に提言およびアドバイスを行う。カメラの腕前はプロ級。ボディビル大会出場のため日々プロテインバーをコンビニで買い占めている。

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