クラウド環境でのOrchestrator構築とアナリティクス
Orchestratorでのスケジュール設定
Orchestratorでスケジュールジョブを設定し、BIの解析用ジョブを実行していきます。まず、適当なロボットグループを作成し、自身のuipath1を紐付けます。
次に、先ほどデプロイしたパッケージとロボットグループを紐付け、プロセスとして定義します。
スケジュールはデータ件数を稼ぐため、1分間隔でジョブ実行を行うスケジュールにします。
しばらくした後、ロボットメニュー内でログを見てみます。
すると、複数件のログが表示されていることを確認できます。
Cosmos DBでのロボットログの可視化
しばらくスケジュールしたジョブをロボットに実行させた後、ロボットのログを覗いてみましょう。
今回はCosmos DBをMongoDBのインターフェイスにしているので、MongoDB用のクライアントが利用できます。私が昔MongoDBを利用していた際に愛用していたRobomongo(現在はRobo T3に名称変更)を利用してデータの中身を見ていきます。MongoDBに対応するクライアントアプリケーションであれば、別のツールでも問題ありません。
●Robo 3T
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/cosmos-db/mongodb-robomongo
接続にあたり、いくつかCosmos DBに依存する項目があります。下記の画面キャプチャを参考に設定してください。
うまく接続できたら、早速データを表示します。Collectionsで「UiPath」を指定し、MongoDB用のクエリを実行します。画面には擬似的な表形式でデータが表示されます。ロボットのログが一覧で閲覧できます。
今回はワークフローで「fruits」というログフィールドを追加しているので、このフィールドのサマリを表示してみたいと思います。
Group Byを使用したクエリで、それぞれの果物の出現回数をカウントします。
db.getCollection('UiPath').aggregate([ { "$group" : { _id: "$Properties.fruits", count: { $sum: 1} }} ]);
実行すると、追加したfruitsのログフィール集計値が表示されます。
それぞれのフルーツの個数カウントは概ねランダムに出力されているようです。なお、エラーになる場合はプレビュー機能のメニューにある「集約パイプライン」オプションが有効かを確認してみてください。
このように、Cosmos DBでロボットの実行ログが解析できることがわかりました。ちなみに、ElasticSerachを使用した場合は開発元のElastic社が提供するKibanaで簡単にチャートを使用したビジュアライゼーションが行えます。データの分析やドリルダウンもKibanaのWebアプリ内で実施できます。
ビジュアライズ
ここで、UiPathにおけるビジュアライズについて簡単に紹介します。現在では3つの手法があります。
- 現状の稼働状況をビジュアライズするOrchestratorのダッシュボード
- ロボットの実行ログを解析するElasticSerach/Kibana
- SQL Serverのデータベースを解析するTableau、Power BI
(2)(3)はデータソースがロボットの実行ログとSQL Serverで異なりますが、ビジュアライズできる項目は概ね同じです。下記に2つの差異を示します。
項目 | ElasticSerach/Kibana | Tableau、Power BI |
---|---|---|
データソース | ElasticSerachに格納されたロボットログ | SQL Serverの各種テーブル |
ジョブ実行結果解析 | 不可(Jobとして実行結果は連携されないため。ログデータに基づく成否の判断は可能) | 可 |
ジョブ実行中に発生した エラー解析 |
可 | 不可(Logsのテーブルに当該データはあるがJsonのRawデータのため簡易に解析できない) |
ロボット側で動的に追加された ログフィールドの解析 |
可 | 不可(Logsのテーブルに当該データはあるがJsonのRawデータのため簡易に解析できない) |
ジョブ保留状態の解析 | 不可(スケジュールの情報がないため) | 可 |
組織、ロボット、 ロボットグループ、マシンの統計情報 |
不可(ロボットのログに存在する範囲の解析となるため。ジョブを実行しないロボットにはデータなし) | 可 |
組織名称、ロボットグループ、 タイプでの解析 |
不可(ログフィールドに当該情報を加えればロボットログの解析が可能) | 可 |
なお、Azure Cosmos DBには、現時点で簡単にビジュアライズできるツールが見つかりませんでした。
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