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「5G/ネットインフラ」「AI/データサイエンス」「働き方」など、今が旬の5テーマで11のセッションを開催―「GMO Developers Day 2020」レポート(後編)

2020年9月4日(金)
高橋 正和

はじめに

GMOインターネットグループは7月28日、テックカンファレンス「GMO Developers Day 2020」]をオンラインで開催した。「FinTech」「5G/ネットインフラ」「AI/データサイエンス」「メディア・コミュニケーション」「働き方」の5つのテーマで、グループ企業から開発者が登壇し、多くの視聴者を集めた。

今回は前回に引き続き、当日行われた11のセッションについて、後半の6セッションを取り上げる。

GMOアドマーケティング:
Cookieに頼らずユーザーに合わせた広告を配信する技術

「AI/データサイエンス機械学習を用いた広告配信での入札価格決定ロジック」セッションでは、GMOアドマーケティング株式会社の須田山強真氏(開発部)が、広告配信の仕組みと、コンテンツ特化型配信プラットフォームReeMoについて解説した。

GMOアドマーケティング株式会社の須田山強真氏

須田山氏はまず、DSP(Demand Side Platform:広告主側システム)とSSP(Supply Side Platform:媒体側システム)の間でページを表示するたびにオークションのRTB(Real Time Bidding)がなされるという広告配信の仕組みを紹介した。

このときの材料となるCTR(Click Through Rate:ユーザーのクリック率)について、従来のDSPではCookieを用いたユーザー情報に基づいて入札価格を決めていた。しかし近年では、ターゲティング規制の動きにより、Cookieがないユーザーにも適切に広告配信したいという要求が出てきたという。そこで、Cookieに頼らずコンテンツ情報からユーザーに合わせた広告を配信するDSPとして、須田山氏はGMOアドマーケティング「ReeMo」を紹介した。

従来のDSPではCookieを用いたユーザー情報を用いていた

ターゲティング規制の動き

ReeMoはコンテンツ特化型で、利用できる情報として、記事テキスト、記事カテゴリ、記事sentiment(negativeかpositiveか)、画像中のテキストなどを元にする。これらとアクセスログ情報から、機械学習によってCTRを予測するという。

利用できる情報1:記事テキスト、記事カテゴリ、記事sentiment

利用できる情報2:画像中のテキスト

ReeMoではモデルの作成にGCPを利用している。BigQueryのデータからPythonとTensorflowを使ってモデルを作成する。配信環境では、このモデルを元にJavaとTensorflowを使う。

モデル作成環境と配信環境

須田山氏は、このモデルをデプロイする際のチェックについても説明。リリース前にはCTRの分類性能やクリック確率のモデルの性能検証をランダム抽出したデータでチェックする。また、リリース後は配信実績のデータを用いて記事情報など正しいデータをjoinしているか、予測性能に劣化はないかをチェックするという。

GMOインターネットにおける
ローカル5G導入の歩みと今後

続いてのセッションは「ローカル5G導入に向けた挑戦とその裏側」だ。GMOインターネット株式会社の松下英紀氏(システム本部 ネットワークソリューションチーム)より、GMOインターネットグループが2020年1月に発表したローカル5G参入について語られた。

GMOインターネット株式会社の松下英紀氏

GMOインターネットのローカル5G(28GHz帯)は2020年1月に申請し、年末に導入予定だ。その後に4.5GHz帯も申請予定とのこと。

5Gモバイル通信について松下氏は「1~4Gの継続的進化とは異なる側面もある」と説明。5Gの超高速・低遅延・多接続という3つの特徴のうち、超高速は継続的進化の途上にあり、個人ユーザーに関係する部分だ。それに対し低遅延と多接続は新しい進化で、個人より遠隔・自動運転といった産業利用のものだという。

また、5Gではローカル5Gができる。これは敷地内などでスポット的に構築される、携帯キャリアに頼らない5Gだ。

GMOインターネットのローカル5Gの歩みと今後

ローカル5Gとは

GMOインターネットのローカル5Gでは、4Gコアネットワークを使うNSA(非スタンドアローン)ではなく、5Gのフル機能を活用できるSA(スタンドアローン)を採用する。

また、もう1つのキーテクノロジーとして松下氏はエッジコンピューティングも活用すると説明した。

松下氏は5Gの応用例として2つを挙げる。1つは遠隔会議で、例えばZoomからARへなどが考えられるという。もう1つはビジネスモデルの変化で、企業と企業がお互いのテクノロジーを組み合わせるB to B to Xだという。

5Gの応用例:遠隔会議

企業と企業がお互いのテクノロジーを組み合わせる

そして、ローカル5G導入の目的は日常的な5G体験と5Gを活用したサービス開発により、新たなインターネットの価値を創造することだと語り、締めくくった。

新たなインターネットの価値を創造

グループ各社のU30エンジニアが
仕事について語り合う

次のセッションは「U30エンジニアが語るグループ各社の開発文化とマネジメント」。GMOインターネットグループの20代のエンジニアが仕事について語り合うパネルディスカッションだった。モデレーターはGMOインターネット株式会社の元内柊也氏(システム本部インフラサービス開発部 システムアーキテクトチーム エバンジェリスト)。

セッション「U30エンジニアが語るグループ各社の開発文化とマネジメント」

GMOインターネット株式会社の元内柊也氏

まずはパネリストの自己紹介から。GMOインターネット株式会社の関芙美恵氏(システム本部 小倉オペレーションセンター SOCチーム)は、福岡にある小倉オペレーションセンターのSOCチームメンバー。東京からのUターンで中途入社した。

GMOインターネット株式会社の関芙美恵氏

GMOペパボ株式会社の市岡なつみ氏(minne事業部マーケットグループ)は、新卒で入社。大学は文系だが、趣味でWebサービスの開発をしていたという。

GMOペパボ株式会社の市岡なつみ氏

GMOメディア株式会社の浅山広大氏(サービス開発部 シニアエンジニア 兼 GMOくまポン株式会社 システム部)は、B2Cのサービスを作っている会社を探しており、新卒で入社した。現在はAWS関連の運用を担当している。

GMOメディア株式会社の浅山広大氏

なお「入社したきっかけは」という参加者の質問に対し、関氏は地方で選択肢が少ないなかでぴったり合ったのがGMOインターネットだった、浅山氏は雰囲気が合った、市岡氏はキラキラした会社は得意じゃないと思っていたが見学してみて入ろうかと思った、とそれぞれ語った。

1つめのテーマは、自社の開発文化について。関氏は開発ではなく、SOCチームとして運用フェーズでのセキュリティを担当している。とにかく診断すべきサイトが多いため、内製やスピードの速さ、診断結果のダブルチェックなどコミュニケーションを大切にしていることなどがチームの文化だと語った。

浅山氏は、GMOメディアのカルチャーとして「失敗を責めずに挑戦を認めてくれる」ことを挙げた。その例として「サービスをアップデートしてエラーの嵐になったとき、マネジャーが『惜しかったね、このログを対応できていればよかった』と教えてくれた」というエピソードを紹介した。

市岡氏は、ハンドメイドマーケットの「minne」でWebアプリ開発をしている。開発スタイルはRailsを使ったスクラム開発。「けっこう挑戦させてくれる雰囲気がある。『やります!』と声を上げればバックアップしてくれる」という。

2つめのテーマは、チームやマネージャーに関して、既存業務と新規業務開拓についてや、キャリアパス、尊敬できるロールモデルとなる先輩が重要だという話などが交わされた。

最後のテーマは「若手はどのようなマインドで仕事をしているのか」。関氏は「モチベーションは自分が持っている技術を発揮できる場所を探そうということ」としつつ、「GMOは手を上げる文化なので、とにかくできることをまずやって成功体験を積み、やることを広げていきたい」と語った。

浅山氏は成長につながったこととして、GMOメディアは1社でたくさんのサービスをやっているため、オンプレミスのクラウド移行やGCPでのKubernetes、AWSを使っていてもオンプレミスぽさの残るシステムなど、いろいろなアーキテクチャに触れてきたことを挙げ、「結果的に成功につながったのかなと思う」と分析した。

市岡氏は「目の前のやらなくてはいけないことをひたすら打ち返していたら2年が過ぎた」とし、成長の角度が落ちてきたことをメンターの先輩に「挑戦してないからじゃない?」と指摘されたエピソードを紹介。「これからは、わからないことも難しいことも挑戦して、失敗していこうと思う」と語った。

GMOメディア:
ロールバックの問題をコンテナ化で解決

次のセッション「ゲソてんシステムをNomadクラスター+Dockerコンテナ化した話」では、GMOメディア株式会社の河野隆志氏(サービス開発部インフラチーム)と三品 漢氏(サービス開発部 シニアエンジニア)が、ソーシャルゲームの課金システムをコンテナ化した経緯を解説した。

まず、アプリ側について三品氏が説明。「ゲソてん」はソーシャルゲームのプラットフォームで、今回の対象はコインを買ったり使ったりする課金システムだ。クリティカルでありつつ更新頻度が高いということで、リリース時の安定性を求めてコンテナ化したという。

GMOメディア株式会社の三品 漢氏

課金システムをコンテナ化

特に課題となっていたのが、更新リリース時のロールバックだ。問題が発生してロールバックしようとしても正常なバージョンを探すのに時間がかかり、さらにrsyncでコピーするのにも時間がかかる。そこで、コンテナ化してブルーグリーンデプロイを導入した。

ロールバックが課題

コンテナ化

さて、コンテナ化して実環境で動かすには、複数サーバー上でノードのクラスタを扱うことになり、オーケストレーションが必要になる。三品氏はこのことをインフラの人に相談したとして、以下河野氏が説明した。

GMOメディア株式会社の河野隆志氏

コンテナオーケストレーターの選定に当たっては、構築も運用も楽で学習コストが低い、シンプルなシステムであることを重視。三品氏はKubernetesを、河野氏はHashicorpのNomadを推していたが、最終的にはNomadに決定した。1バイナリで1設定ファイルというシンプルさが決め手になったという。

Nomadを選定した理由

Nomadクラスタの構築にはConsulを使用する。河野氏はConsulとNomad Server、Nomad Clientの設定を示して、非常にシンプルであることを説明した。

ゲソテンではこのデプロイをJenkinsから実行する。アプリをデプロイするときはDockerイメージをビルドしてリポジトリにpushし、Nomadのジョブを作って実行、Dockerイメージをpullしてコンテナを起動する。

構成

デプロイの流れ

最後に、アプリ側とインフラ側それぞれの視点からまとめが語られた。アプリの三品氏は、いまのところロールバックが起きていないため実績はないこと、プロダクト全体ではコンテナに向いていないことを、インフラの河野氏はサーバーの切り替えや構築の手間を大きく削減できたことを報告した。

アプリ側視点のまとめ

インフラ側視点のまとめ

GMOペイメントゲートウェイ:
守る組織でクラウド+コンテナを採用

続いてのセッション「守る組織で、攻撃の起点になる -オンプレ+KVMの岩盤に、クラウド+コンテナの風穴を開ける話」では、GMOペイメントゲートウェイ株式会社の駒井 直氏(システム本部 ITサービス統括部 QM/R&D室長)より、新規システムにおいてクラウド+コンテナを採用した狙いが語られた。

GMOペイメントゲートウェイ株式会社の駒井 直氏

テーマは「守る組織で、攻める」。GMOペイメントゲートウェイは決済代行や決済プロセッシングなどを業務としている。GMOペイメントゲートウェイにとって、守るとは“約束”を守ること。5兆円の決済の確実な遂行やコンプライアンス準拠などだ。

テーマは「守る組織で、攻める」

その守るためのシステムは、2012年から同じアーキテクチャで約60のサービスが動いていた。それに伴い、OSマネージや機器メンテの負担増、共通部の責任増大、リソース利用の非効率化など、徐々に蓄積される課題が顕在化してきたという。

従来の「守るためのシステム」

徐々に蓄積される課題

では“約束”が小さくなればエンジニアも攻められるのではないかと駒井氏。そこで、新規サービスの自社決済サービス「こんど払い by GMO」を任されたのを機に、AWS上でマネージドサービスを利用したシステムを採用した。「結果として、そこそこうまくいっている」と駒井氏。

コンピューティングはfargate上のコンテナを利用し、blue/greenデプロイパイプラインも整備した。また、オンプレミスではハードウェアで暗号化していたところを、AWS上のストレージ暗号化とアプリレベル暗号化の二重の暗号化を採用した。

「こんど払い by GMO」で新しいシステムを採用

「こんど払い by GMO」のアーキテクチャ

駒井氏はここで自ら、新規事業+やったことのないシステムという組み合わせは、変えすぎではないかという疑問を提示した。そしてそれに対し、全サービスの視点で新しいチャレンジを全体に応用することを考えて選択したのだと語った。

全サービス視点で考えて新しいシステムで

「ただ、せっかくなので、もっと大きく成功したいなと思っている」として駒井氏は、クラウド+コンテナでPCI DSS完全準拠サービスを提供予定なことや、ナショナルブランドと連携した大規模サービスをコンテナで提供することも紹介した。

「もっと大きく成功したい」

グループ各社の開発トップが
withコロナ時代のマネジメントを語る

いよいよ最後のセッションだ。「開発トップが考えるwithコロナでのチーム開発」では、GMOインターネットグループで最大規模の開発組織を持つ3社の開発トップが、コロナ禍を交えてチーム開発の現状と未来について語りあった。

パネリストは、GMOペイメントゲートウェイ株式会社の三谷 隆氏(常務執行役員 CTO)、GMOペパボ株式会社の柴田博志氏(執行役員 VP of Engineering 兼 技術部長)、GMOインターネット株式会社の安藤雄飛氏(システム本部UXデザイン開発部 部長)。モデレーターは、GMOインターネット株式会社の成瀬允宣氏(デベロッパーエバンジェリスト)が務めた。

セッション「開発トップが考えるwithコロナでのチーム開発」

GMOインターネット株式会社の成瀬允宣氏

最初のテーマは「コロナ禍における開発チームの変化」。三谷氏は「決済という事業上、GMOインターネットグループの中でもお堅い会社なので大きく変化した」としつつ、「フルリモートになって約半年だが、けっこう回っている」と語った。また、たまたま2019年にオフィスを移転して、ちょうどゼロトラストネットワークやVPNレス、VDIなどを取り入れたのも幸いしたという。

柴田氏は、開発チームではSlackやG Suite、GitHub Enterpriseなどを活用しており、仕事のやり方に変化はなかったという。ただし、いくつか社内システムでIPアドレスを制限していたものもあり、それは変更を加えたとした。

安藤氏は、GMOインターネットグループで1年に1回在宅勤務訓練を実施していることを紹介。その中でGMOインターネットの開発グループでは、3年前から下関と渋谷とでZoomなどを使いながらリモートでワンチームとしてやっていたことを紹介し、よりやりやすくなったと語った。

参加者からは、雑談からの成長の機会や新入社員のコミュニケーションをどうしているのかという質問があった。雑談については三谷氏が、時間を決めて雑談タイムを設けるなどしているが、改まって雑談しようというのも難しいということや、意識してオンライン勉強会を開くようにしたことなどと回答した。

新入社員のコミュニケーションについては、柴田氏が「これまでは人となり、趣味、得意な技術などを知っていたので、話さなくても分かっているコンテキストがある」として、「いまは貯金を切り崩しているようなもの」と難しさを語った。

GMOペイメントゲートウェイ株式会社の三谷 隆氏

次のテーマは、コロナ禍での「採用の変化」だ。これについては、変化に対応してオンラインでプレゼンやデモを用意してくる候補者もいることが紹介された。一方で、カメラやマイク、インターネット回線などの品質が採用に影響してしまう問題も指摘された。そのうえで、地方の人が面接のために東京まで来る必要がなくなってきたことも語られた。

3つめのテーマは「マネジメント課題とその対策」。柴田氏は、先の「貯金を切り崩す」部分がやはりマネジメント課題だとして、「いままで近いところにいたから分かった学びやモチベーションの上げ方を、スクリーンごしでドライブする仕組を考えないといけない」と語った。

そこから、各自が何をしているか分からないということや、リモートでは発言の多い人が強いため発言が少ない人をフォローする必要があること、自分のプロジェクト以外の人が何をしているか分からないことなどが指摘された。

GMOペパボ株式会社の柴田博志氏

最後のテーマは「開発マネジャーを目指す視聴者に一言」。安藤氏は、自分がどうすれば仕事をしやすいかを考えて周りに広めていき、それで良くなれば、周りがやってもらいたいと思うのではないかと語った。

柴田氏は、「開発マネージャーは“上がり”ではない」として、予算や経営などマネジャーに求められるものは、開発マネジャーを経験してからエンジニアに戻っても武器になると語った。

三谷氏は、コロナ禍によりアイデアやスピード勝負になってきたことを取り上げ、「最新のテクノロジー動向、ビジネス動向にアンテナを立てて、収集し続けないとリーダーになれないのでは」と語った。

GMOインターネット株式会社の安藤雄飛氏

* * *

GMO Developers Dayは、GMOインターネットグループ初のグループ横断技術イベントとして開催された。梁山泊経営を名乗るとおり、個性を持った企業がそれぞれ取り組んでいる内容が紹介された。

特にパンデミック下ということもあり、リモートワークについての話がいくつかのセッションで取り上げられたのが印象的だった。日頃から訓練していたことや、国内拠点やグローバル展開での可能性、教育やマネジメントでの課題など、通りいっぺんではない実践的な議論がなされた。

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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