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「5G/ネットインフラ」「AI/データサイエンス」「働き方」など、今が旬の5テーマで11のセッションを開催―「GMO Developers Day 2020」レポート(前編)

2020年9月3日(木)
高橋 正和

はじめに

GMOインターネットグループは7月28日、テックカンファレンス「GMO Developers Day 2020」]をオンラインで開催した。「FinTech」「5G/ネットインフラ」「AI/データサイエンス」「メディア・コミュニケーション」「働き方」の5つのテーマで、グループ企業から開発者が登壇し、多くの視聴者を集めた。

本稿では、当日行われた11のセッションについて、前編・後編に分けて内容を紹介していく。今回は前半の5セッションについて取り上げる。

オープニングではGMOインターネットグループ グループ代表の熊谷正寿氏が挨拶した

GMOのエンジニア社長が語る
自社とグループ

オープニングの直後に行われたスペシャルセッション「GMOのエンジニア社長」は、GMOインターネットグループでエンジニア出身の社長たちが、GMOグループや、自社とその経営などについて語るパネルディスカッションだ。

パネリストは、GMOデジロック株式会社の平岩健二氏、GMOタウンWiFi株式会社の荻田剛大氏、GMOフィナンシャルゲート株式会社の杉山憲太郎氏。モデレーターは、GMOインターネット株式会社の稲守貴久氏(次世代システム研究室 チーフクリエイター 兼 デベロッパーリレーションズチーム)。

パネルディスカッション「GMOのエンジニア社長」

モデレーターはGMOインターネット株式会社の稲守貴久氏が務めた

最初のテーマは、自己紹介を兼ねて「なぜ現在のポジションになったのか」。まず平岩氏のGMOデジロックは2001年に創業し、ホスティングサービス「XREA」やドメイン取得サービス「バリュードメイン」などを提供してきた。氏自身については「手段としてエンジニアになり、社長になった」。2011年、10周年の創立記念日にGMOインターネットグループに入ったそうだ。

GMOデジロック株式会社の平岩健二氏

荻田氏は、楽天にいたときに、スマホの通信制限にかかったことから、これを解決しようとタウンWiFiの事業を提案したが、氏いわく「社内調整に失敗したので、仕方なく起業した。自分しかいなかったので社長になった」。そんな荻田氏は「一人で起業するのはやめたほうがいい。モチベーションが続かない」と語る。自身の場合、前職で優秀だった後輩エンジニアを引き抜いて2人で起業したのでうまくいったという。

GMOタウンWiFi株式会社の荻田剛大氏

杉山氏は、もともと技術者として金融機関を担当。2014年にGMOペイメントゲートウェイに入社したことがターニングポイントとなり、2017年にGMOファイナンシャルゲートの代表取締役社長になった。「いまリアルタイムでサービスを提供していて、サービスが変わってきていることを感じている」と杉山氏。キャッシュレス化が進み、おもてなしをしながらキャッシュレスになっていくのではないかと語った。

GMOフィナンシャルゲート株式会社の杉山憲太郎氏

次のテーマは「GMOインターネットグループにジョインしてどうなった? グループ経営であることのメリットは?」。ここでは、GMOグループが「梁山泊経営」ということで各社に任されていること、小さな起業で弱点となる経営ノウハウをサポートしてもらえること、グループでいろいろな会社があることなどが語られた。

続いてのテーマは「今後の事業戦略、技術戦略をお聞かせください」。平岩氏は、新しいサービスを既存のお客様に使ってもらうことが重要だと指摘。杉山氏は、世の中がキャッシュレスになることで、自販機の在庫などリアルタイムでデータがとれるようになるとして、「DXをご一緒させていただきたい」と語った。荻田氏は、現在承認プロセスなしでユーザーに接している人が決めるようになっているのを、組織を大きくしていく中で突き通せるノリを担保していきたいと語った。

GMOグローバルサイン:
リモートワーク時代のグローバルな働き方

スペシャルセッションに続いて行われた「GMO GlobalSign のワールドワイドな多拠点開発の現場」では、GMOグローバルサイン株式会社の唐澤 稔氏(取締役CTO)と浅野昌和氏(CTO室 室長)を中心に、GMO GlobalSignのLaurence Pawling氏(VP of Global Infrastructure Operations)とArvid Vermote氏(Chief Information Security Officer)をまじえ、同社の事業内容と活動形態について紹介された。

GMOグローバルサイン株式会社の唐澤 稔氏(左)と浅野昌和氏(右)

GMOグローバルサインは、デジタル証明書の発行を中心としたPKIソリューションの会社だ。「3~4年前から大量高速発行をターゲットに新システムを開発している」と浅野氏。さらに現在では、証明書自体がコモディティ化している証明書を軸にしたいろいろなサービスを順次開発しているという。

また、浅野氏はGMOグローバルサインの信頼性を強調。「インフラ自体は標準仕様にあわせて動作させなるための標準的なもので、そのなかで安全性や利便性の向上をはかっている」と胸を張る。CAB ForumやWebTrustなどに加盟し、各種審査も受けている。

拠点は世界各地にある。リソースは最低3拠点でキャパシティを分離し、データセンターとクラウドの両方を使っているという。

GMOグローバルサインの概要

GMOグローバルサインの世界各地の拠点

ここでPawling氏とVermote氏のビデオメッセージが流された。Pawling氏はインフラチームの立場からインタビューに回答。新型コロナの影響については、もともとリモート対応できるようにしているためそれほど大きなものではないが、ホワイトボード会議などのコラボレーションには若干影響したという。そのほか、メンテナンスなどで何度か実際にデータセンターに出かけなければならないことがあり、徒歩や自転車で行ける人を優先して割り振ったエピソードを紹介した。

GMO GlobalSignのLaurence Pawling氏(VP of Global Infrastructure Operations)

Vermote氏は、セキュリティコンサルティングの立場から回答。もともと世界中の各オフィスを訪問してメンバーと信頼関係を築くことを大事にしていたが、新型コロナにより訪問できなくなったという。また、デジタルIDが実際の人と一致しているか本人確認をする必要があるが、それをすべてオンラインで行うように対応する必要があったことを苦労した点として挙げた。

GMO GlobalSignのArvid Vermote氏(Chief Information Security Officer)

ここで再び浅野氏が登場し、グローバルでプロジェクトにアサインされてコラボレーションする開発スタイルを紹介。さらに、GMOクラウドの電子印鑑Agreeについて、日本で開発されたものだが、グローバル化することになっていることも紹介した。

最後に、ワールドワイドで働きたいエンジニアに向けて浅野氏と唐澤氏がメッセージを送った。浅野氏は、リモートワークが日常化して東京にいなくても仕事ができるという日常になる中で、働く場所は日本じゃなくてもよくなる。海外エンジニアとの競争にさらされることを意識したほうが良いと語った。

また、唐澤氏は英語に苦手意識がある人もいると思うが、プログラミング言語のようなものなので、自分の価値を高められるところに気持ちを切り替えていったほうが良いと語り、セッションを締めくくった。

GMOペパボ:「なめらかなシステム」の
研究成果を紹介

続いてのセッションは、「なめらかなシステムの実現に向けて」。GMOペパボ株式会社の三宅悠介氏(プリンシパルエンジニア ペパボ研究所 研究員)が、ペパボ研究所の「なめらかなシステム」というコンセプトと、その一環として開発しているオートスケーリングとマッチングの技術について解説した。

GMOペパボ株式会社の三宅悠介氏

「なめらかなシステム」というコンセプトは、利用者の明示的な指示や、運用社の判断や更新の介在などのさまざまな障壁(ゴツゴツ)を取り除くものだという。目指すのは、自動かつ継続的に利用者の状況を把握してふるまうシステムだ。

その中から、三宅氏は自身が開発している「オートスケーリング」と「なめらかなマッチング」の2つを紹介した。

「なめらかなシステム」に向けた研究

まずはオートスケーリング手法について。これまでオートスケーリングは、スケーリング自体は自動化されているが、サーバー台数の算出は経験と地道なチューニングによっていたと三宅氏。

そこで、サーバーの処理性能を実行時に推定し、オートスケーリングの遅れも考慮して、サーバー台数を自動で算出する手法を開発した。この手法「Kaburaya AutoScaler」では、二重のフィードバックループによって自律適用型のオートスケーリングを実現する。

この手法のシミュレーション結果として、三宅氏は、負荷増加時でも安定するだけでなく、理想サーバー数に追従し、未処理要求数を解消できたと報告した。

オートスケーリングの研究の背景

オートスケーリング手法「Kaburaya AutoScaler」

オートスケーリング手法の評価結果

続いて、なめらかなマッチングによる推薦システムについて。広告など、相手にとってクリック数が多くなるものを表示しようとした場合に、効果的な推薦手法は状況によって異なること、実環境で評価するにはクリックされないものも表示する必要があることが課題となる。

これに対して、文脈ごとに推薦手法の選択を自動かつ継続的に行い、文脈ごとの最善な選択を多腕バンディット問題の解法を用いて解く提案システムを作った。三宅氏によると、この提案システムでは実サービスの運用データを用いたシミュレーションにおいて、累積クリック数が2%向上したという。

推薦システムの研究の背景

推薦システムの評価結果

GMOあおぞらネット銀行:
API実験場「sunabar」でFinTech開発を促進

次の「銀行の新たなチャレンジ~銀行APIの可能性を探る~」セッションでは、GMOあおぞらネット銀行株式会社の櫃ノ上貴士氏(テクノロジー&プロセシンググループ)が、インターネット銀行システムでのオープンAPI提供について語った。

GMOあおぞらネット銀行株式会社の櫃ノ上貴士氏

対象となるのは、外部のFinTechサービスだ。FinTechサービスで銀行口座を扱うとき、従来のWebスクレイピングによる方法では、利用者がパスワードなどの認証情報をFinTechサービス会社に渡す必要がある。それに対して銀行側がAPIを提供し、OAuth認証で利用できるようにすれば、FinTech企業にはユーザーが認証した結果のトークンを渡せばよくなる。

GMOあおぞらネット銀行が提供するオープンAPIは、2020年7月で24本。以後、随時追加予定だ。

スクレイピング方式とAPI方式の違い

![](img/gmodev05-02.png)

GMOあおぞらネット銀行が提供するオープンAPI

櫃ノ上氏は、GMOあおぞらネット銀行のAPI公開コンセプトについて「エンジニア目線のAPI提供」を掲げ、開発者ポータルや仕様書公開、SDK提供などエンジニアが開発しやすい環境を整備しているとした。

その結果として、壇之浦氏は「ユーザーフレンドリーで接続しやすい」という評価を得ていると紹介。ただし、一部からはサービスの性質から利用に契約が必要なことについて、契約と並行して開発を進めたいという声があることも説明した。

そこで、2020年4月7日から本番環境とほぼ同等な実験環境「sunabar」の無償提供を開始した。“砂場”からとった名前のとおり、サンドボックス環境を提供するものだ。

実験環境「sunabar」を無償提供

sunabarは本番環境と分離されAWS上で稼働する。本番のバンキングとほぼ同じ「sunabarサービスサイト」と「sunabarポータル」「APIゲートウェイ」から構成される。提供API数は、本番環境の24本に対して、sunabarは20本だ。

sunabarの構成

snabarのオープンAPI

櫃ノ上氏は、開発企業がsunabarによりAPI接続契約前に開発に着手でき、作動するプロトタイプが作れるため説得力がアップすると語った。

sunabarで期待される効果

完全自動化は永遠のテーマ?
インフラ開発担当者によるパネルディスカッション

続くセッション「クラウドネイティブセッション~インフラ開発の裏側~」は、GMOペパボやGMOクラウド、GMOインターネットのインフラ開発担当者たちによるパネルディスカッションだ。

パネリストは、GMOペパボ株式会社の杉山和利氏(技術部 プラットフォームグループ)、GMOペパボ株式会社の田中諒介氏(ホスティング事業部ホスティンググループマネージドクラウドチーム)、GMOクラウド株式会社の佐藤慎治氏(マネージドサービス事業推進室)。モデレーターは、GMOインターネット株式会社の郷古直仁氏(システム本部 クラウドサービス開発部 コンピューティングチーム)が務めた。

パネルディスカッション「クラウドネイティブセッション~インフラ開発の裏側~」

GMOインターネット株式会社の郷古直仁氏

最初のテーマは「コロナの影響について」。GMOインターネットグループ全体では、もともとリモートワークに対応しリモート訓練もしていたため、直接の業務にはほとんど影響がないと一同は答えた。

一方でプラスの影響として、田中氏はロリポップなどの安価なプランで新規の申し込みが多かったことを紹介。郷古氏も、巣ごもり消費によりConohaでMinecraftのインスタンスが売れたことを紹介した。

GMOペパボ株式会社の田中諒介氏(

次のテーマは、インフラ担当者から見た「そもそも『クラウドネイティブとは?』」。これについては、コンテナが主流になる前から「クラウドネイティブ」の考え方はあり、そこにCNCFができたことで深みが出たのではないかと郷古氏。田中氏も、アプリケーションとインフラを粗結合にしていくような取り組みがクラウドネイティブなのではないか、コンテナなどはあくまで手法だという意見を述べた。

また、クラウドネイティブの重要なポイントの1つである自動化については、少しずつ自動化されているものの、完全自動化には至っていないと杉山氏。同様の声は一同から聞かれ、すべてを自動化するというのは永遠のテーマではないかという話でまとまった。

そのほか、マイクロサービスほど細かくはないが役割ごとに分割して粗結合しているという話や、Amazon ECSなどのマネージドサービスの利用、デプロイの早さが求められるためコンテナの概念が変わってきて軽量ハイパーバイザーよるコンテナもあることなどが語られた。

GMOペパボ株式会社の杉山和利氏

最後のテーマは「最近気になった技術、内部でこんな事ありました」。まず郷古氏は、物理サーバーのサービスに携わっていることから、自宅サーバーでOpenStackのIronicのコントローラーを触って中を確認しているという。

杉山氏は、技術ではないがと前置きしながら、ネットショップ作成サービス「カラーミー」が、コロナ禍もあってトラフィックが増えていることを紹介。その中で、転売目的で特定のショップでガンとトラフィックがあがるケースも増えており、なんとかしたいと語った。

田中氏は、FastContainerのストレージを、物理環境とパブリッククラウドを行き来できるようにどう繋ぐかを考えているという。そこからクラウドネイティブストレージの話に発展した。さらに佐藤氏は、AWSであればS3で完結させて処理はLambdaといった技術が進んでいるが、お客さんになかなか伝わらないので、1周して1つのサーバーを提案したりすることになる、といったことも語られた。

GMOクラウド株式会社の佐藤慎治氏

後編につづく

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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