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  インタビュー

スキルアップを目指す若手エンジニア向けに、プログラミングとSQLの力を伸ばす教育イベント「SQL CONTEST」を開催

2022年10月12日(水)
工藤 淳

少子高齢化による労働者人口の減少や「2025年の崖」などを背景に、優れたエンジニア育成の気運が高まる中、技術者の側にも若手を中心にキャリアアップに向けた様々な動きが見られる。もちろん1人1人のそうした意欲は貴重だが、個人で頑張り続けるのは並大抵のことではない。そこで、そうした学習者に向けて共に学び競い合う機会を積極的に提供しているのが、株式会社システムインテグレータだ。「SQL CONTEST」「SQL BOOT CAMP」をはじめ、独自のセミナーやコンテストを展開している同社のスタッフに、その狙いや内容、そして成果などを伺った。

学習者が自分のスキルレベルを自分で把握できる
機会づくりを

株式会社システムインテグレータは、1995年に現・代表取締役会長 の梅田弘之氏が創業した。社名そのままに、わが国では草分け的存在の独立系システムインテグレーターであり、梅田氏は日本初のERPやECサイト構築ソフトを世に送り出した実績でも知られるエンジニア出身の経営者だ。

同社のスローガンである「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」からも分かるように、高い社会性と技術への志向を持つ同社は、必然的に「技術者志向」でもあり、創業当時から社内の技術者育成には大きな力を注いできた。それが近年では、世の中のエンジニアを目指す若い人々すべてを対象に含む、教育関連のイベントを展開するまでになってきている。

その中でも注目を集めているイベントの1つが、2022年7月に第1回目が開催された「TOPSIC SQL CONTEST(トップシックSQLコンテスト)」だ。これは同社が提供しているプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC-SQL」を利用した誰でも無料で参加できるオンラインコンテストで、時間内に出題された問題への解答(SQL文)を作成・提出、SQLのスキルを競うというもの。同コンテストで問題作成などを担当する、製品企画室の久保 司氏は、この催しを立ち上げた狙いについて、学習者が自分のスキルレベルを客観的に把握できる機会が少ない現状を、どうにかしたいと考えたのがきっかけと振り返る。

「コンテストの名称にもあるTOPSICとは、当社が提供しているプログラミングおよびSQLのコーディングテスト問題と受験プラットフォームを提供するクラウドサービスです。もともと当社が学習支援を手がけてきたのには、日本のプログラミングスキルの底上げをしようという狙いがありました。そこで、このTOPSICから派生する形でいくつか同様のサービスが生まれ、2021年2月にTOPSIC-SQLがリリースされたのです。TOPSIC SQL CONTESTは、これを用いて参加者がスキルを競い合う催しで、2022年9月には第2回目も開催されました」

こうした一連のサービスやコンテストの背景には、梅田会長が常々考えている「日本のプログラミングをもっと評価できるようにしなくてはいけない」というビジョンがあり、その世界観の中に、これらのサービスやコンテストも位置づけられていると久保氏は付け加える。

株式会社システムインテグレータ 製品企画室 ニュービジネスグループ 久保 司氏

株式会社システムインテグレータ 製品企画室 ニュービジネスグループ リーダー 久保 司氏

予想をはるかに上回る参加者を集めた
「TOPSIC SQL CONTEST」

TOPSIC SQL CONTESTのユニークな点の1つが、現在のITの技術シーンにあって「なぜ、いまSQLなのか?」ということだ。20年くらい前はデータベース開発やチューニングはシステムの性能に直結する最重要技術の1つであり、いかにSQLを使ってパフォーマンスを引き出すかがエンジニアの腕の見せどころだった。

だが現在は大容量のメモリに大量のデータを常駐させることが可能になり、データベース自体もクラウドサービスの1つとして提供されることが多く、エンジニアが息を詰めてSQL文を練り上げていくような場面もなかなか見られなくなった。それを今、あえてSQLのスキルレベルを競う狙いはなんだろうか。コンテスト用に新規ソフトウェア開発を手がける製品企画室の松永 洋紀氏は「システム開発だけでなく、昨今ではデータ分析での需要も増えているのではないか」と説明する。

「確かに、開発でSQL文をゴリゴリ書くような機会は減っていると思います。しかし、SQLを読み書きできるとデバッグや障害調査などの場面で有用であるほか、新しいフレームワーク等を学ぶ際にO/Rマッパーの挙動を理解する上での助けにもなるとも考えています。また、近年のビッグデータ解析のニーズや、ビジネスにおけるデータドリブン志向が高まっていく流れの中で、直接開発に関わっていない立場の人がSQLを利用する機会も増えると考えられます。例えば、Amazon Athenaなどのビッグデータ分析サービスもSQLによる柔軟なクエリに対応しています。やはり、これからの社会においてもまだまだ教養として重要なスキルであり続けると考えています」

株式会社システムインテグレータ 製品企画室 ニュービジネスグループ 松永 洋紀氏

株式会社システムインテグレータ 製品企画室 ニュービジネスグループ 松永 洋紀氏

これから腕を磨こうという若いエンジニアにとって、SQLはデータを使って何かをするための基礎体力と、システムインテグレータでは考えているというわけだ。そうした同社の熱意が伝わったのか、今年の7月20日に開催された「第1回 TOPSIC SQL CONTEST」は、予想を超える盛況だった。久保氏は「こちらの当初の予想を超えて、400名近い方が参加してくださいました。私たちとしては、最初だし50人くらい来れば上出来かなと思っていたので、かなり驚きました」と明かす。

コンテストの概要

コンテストの具体的な内容としては、制限時間60分で、4段階の難易度の問題(計4問)を解くというもの。配点は難易度に合わせて10点、20点、30点、40点で合計100点満点となっている。コンテストの順位は点数と解答に要した時間の2つで決定される。

当日の正確な参加者数は、時間内参加だけで392名に上ったと、TOPSICチームの主要メンバーの1人である土井氏が語る。

「コンテスト当日までの参加申込数は781名にまで上りました。開催時間が17:00~22:00の時間に限られていたこともあり、全員には参加していただけなかったのですが、それでも約半分の方に参加していただけました。またコンテスト終了後は問題が公開され、いつでも問題を解くことができるようになります。順位の対象には入りませんが、コンテスト後に挑戦してくれている方も大勢います」

コンテスト終了後もこうしたチャレンジャーは着々と増え、8月31日時点でコンテストの会員登録数は900名を超えて伸びているということからも、エンジニアからの注目度はかなりのものだ。これに応えるべく、同社でも今後はできるだけ定期的に開催できるよう考えているという。

株式会社システムインテグレータ 製品企画室 ニュービジネスグループ リーダー 土井 周平氏

株式会社システムインテグレータ 製品企画室 ニュービジネスグループ 土井 周平氏

初心者を対象にしたウェビナー
「SQLブートキャンプ」も大好評

気軽に参加して欲しいという狙いから、基本的にはメールアドレスとパスワードだけで会員登録できるTOPSIC SQL CONTESだが、匿名ながら、中にはこちらが目を見張るような実力を見せてくれるエンジニアもいると松永氏は語る。

「コンテストの順位は得点プラス所要時間で決まるのですが、1位の方は4問を22分ほどで解いていました。今回が初回ということもあり、出題形式に慣れておらず思うように解答が書けない方も大勢いたと思いますが、この方は誤答による再提出もなく一発で全問題を通しており、流石だなという印象を受けました。素早く内容を理解し、正確に実装できる能力が順位として浮き彫りになるのも、コンテストならではの魅力です」

ちなみに全問回答できた人たちからは「もう少し難しい問題でも良い」という意見も出ており、難易度をどう最適化していくかは今後の重要な課題だと同社では見ている。

コンテストの一方では、SQLの実力を養ってもらうためのトレーニングも開催している。「SQL-BOOT CAMP(SQLブートキャンプ)」と題したWebセミナーで、第1回は2021年の7月に開催された。これもTOPSIC-SQLをベースにしたSQL初心者対象のウェビナーで、ブートキャンプの公式Webサイトから「SQLの教科書」をダウンロードして、SQLの基本やよく使われる関数・句、初心者が陥りやすいポイントの講義、実技などのメニューに沿って学習していくという内容だ。担当の久保氏に、これを始めた狙いなどを聞いてみよう。

「当社では過去にも何回か同様のセミナーを実施していて、その感触がなかなか良かったんですね。その流れでもう少し面白く演出した企画でやってみようというわけで、正直な話、ちょっと前にブームだった『ビリーズブートキャンプ』のタイトルを拝借しただけなんですけど(笑)。初心者向けのウェビナーということで、親しみを持ってもらうにはいいかなと思っています」

テキストの「SQLの教科書」はもともと販促資料としてダウンロードで提供していたものが、かなり好評だったので採用した。その教科書を手元に置きながら、「鬼軍曹」役の講師である久保氏が、とことんSQLの基本を叩き込むというイメージだろうか。だがそれが「鍛えてくれそうだ」という期待につながったのか、1回目の応募がこれまた予想を超える400人近い人数に達したという。

「しかも開催後のアンケート結果も意外に良かったので、じゃあもう少し続けようかということになって、これまで3回開催してきました。この3回のウェビナーは現在YouTubeで公開していて、資料もダウンロードできるようになっています」

システムインテグレータでは、このブートキャンプの他にも色々な動画をYouTubeで公開していて、社会人だけでなく学生も参加できる「企業・学校対抗プログラミングバトル PG BATTLE(PGバトル)」の結果発表会の動画などもすべて公開されているという。

学生も大勢参加してプログラミング勝負に燃える
「PG BATTLE」

イベントの名前が挙がったところで、もう少し「PG BATTLE」について詳しく聞いてみよう。これは「日本のプログラミングレベルを向上させたい、もっとプログラマーをリスペクトしよう、プログラミングを楽しもう、という熱い思いで」開催されているイベントで、5回目となる次回は10月22日にオンライン開催される予定だ。エントリーは「企業の部」「大学&大学院、高専、専門学校の部」「高校、中学、小学校、その他スクールの部」の3つに分かれている。参加者は3人1組でチームを組み、それぞれがTOPSIC上で4問の問題に取り組み、その合計点と提出までのタイムを競う。

「TOPSIC SQL CONTESTはSQLのスキルを競うものですが、こちらはアルゴリズムのコンテストです。社会人枠がある団体戦のコンテストは珍しく、年齢や所属を問わず多くの方々に楽しんでいただいています。多くの企業スポンサーが協賛してくださっており、上位者への賞金だけでなく飛び賞としてスポンサー賞も出るので、実力を問わず様々な方にチャレンジしていただき、これを機にアルゴリズムを楽しんでいただきたいと思います」(松永氏)

これらシステムインテグレータが展開してきた教育関連のイベントは回を追うごとに認知度が高まっており、TOPSIC SQL CONTESTの前後では、同社WebサイトのSQL関連製品のページビューが顕著に上がったことも確認されている。松永氏は「これがすぐ契約に繋がるとは考えていませんが、こうした催しをきっかけに、SQLやプログラミングを楽しんでくれる方が増えることは、当社にとっても好ましいことだと考えています」と語る。

技術者としてのスキルをもっと伸ばしたい、もう1つ上のランクにステップアップするきっかけが欲しいと考えているエンジニアは、ぜひ今回ご紹介したシステムインテグレータのイベントに注目してみてはどうだろうか。

問題作成から開発、運営まで、すべて3名でこなす少数精鋭のスペシャルチームだ

問題作成から開発、運営まで、すべて3名でこなす少数精鋭のスペシャルチームだ

フリーランス・ライター兼エディター。IT専門出版社を経て独立後は、主にソフトウェア関連のITビジネス記事を手がける。もともとバリバリの文系出身だったが、ビジネス記事のインタビュー取材を重ねるうち、気がついたらIT専門のような顔をして鋭意お仕事中。

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