「Excelのセル転記」ロボットでExcelの複数行読み取り+書き込みを体験しよう

2023年6月6日(火)
中村 行宏
第3回目の今回は、前回作成したExcelの転記ロボットで、複数行の読み取りと書き込みを行なってみます。

はじめに

前回は「OpenRPA」に慣れていただくために、Excelの1セルだけの転記方法を解説しました。この「セルの転記」業務は、多方面の部署で行なわれている非常に需要が高い業務です。

今回は、前回に引き続き、「Excelのセル転記」ロボットで「複数行の読み取りと書き込み」について解説します。

【補足】Excel転記を実行する前に、図1のようなExcelファイルを1つ、ご用意ください。
・ユーザーリスト.xlsx(データ有り)

事前準備ファイル(読み取り)

図1:事前準備ファイル(読み取り)

Excelから複数行を読み取るロボットの作成

それでは、Excelから複数行を読み取るロボットから作成していきましょう。読み取る行は、図1「ユーザーリスト.xlsx」Excelファイルの「A2」セルから「A8」セルです。

  1. OpenRPAを起動して図2のように「New」→「New Workflow」を選択し、任意の名前に変更します。そして、最後に「Save(保存)」します。
    New Workflow作成

    図2:「New Workflow」作成

  2. Toolbox内の検索フォームに「excel」と入力し、図3のように「Read Excel」アクティビティを「Sequence」内にドラッグ&ドロップします。
    ReadExcelアクティビティをドラッグ&ドロップ

    図3:「ReadExcel」アクティビティをドラッグ&ドロップ

  3. 「…」をクリックし、「ユーザーリスト.xlsx」Excelファイルを選択します(図4)。
    読み取りExcelファイルの指定

    図4:読み取りExcelファイルの指定

  4. 「DataSet」型の変数名を設定します。ここでは「DataSet_ユーザーリスト」としています(図5)【補足】「DataSet」とはExcelシートとほぼ同義)。
    DataSet型の変数名を設定

    図5:DataSet型の変数名を設定

  5. [Ctrl]キーを押しながら[k]キーを押下すると、図6のようにDataSet型の変数が作成されます。
    DataSet型の変数を作成

    図6:DataSet型の変数を作成

  6. Toolbox内の検索フォームに「foreach」と入力し、図7のように「Foreach DataRow」アクティビティを「Sequence」内にドラッグ&ドロップします。
    Foreach DataRowアクティビティをドラッグ&ドロップ

    図7:「Foreach DataRow」アクティビティをドラッグ&ドロップ

  7. 図8のようにData Setを設定します。設定は「データセット変数.Tables(“シート名”)」なので、この例では「DataSet_ユーザーリスト.Tables(“Sheet1”)」になります。
    Data Table設定

    図8:「Data Table」設定

  8. 「WriteLine」アクティビティを「Foreach DataRow」内にドラッグ&ドロップします(図9)。
    WriteLineアクティビティをドラッグ&ドロップ

    図9:「WriteLine」アクティビティをドラッグ&ドロップ

  9. 「WriteLine」アクティビティを設定します。設定は「row(“列名”).ToString」としたいので、この例では「row(“名前”).ToString」になります(図10)【補足】変数の後に「.ToString」を追加することで、その変数の型をString(文字列)型に変更します)。
    WriteLineアクティビティの設定

    図10:「WriteLine」アクティビティの設定

  10. 最後に、作成したロボットを「Save(保存)」して「Play(実行)」すると、画面左下の「Output」ウィンドウにExcelから読み出した”名前”列のデータが表示されます(図11)。
    複数行の読み取り完了

    図11:複数行の読み取り完了

余談になりますが、デバッグ時に図11のように表示されると、デバッグがやりづらいかもしれません。そんなときは、WriteLineアクティビティを図12のようにすると表示結果が分かりやすくなり、デバッグしやすくなると思います。

WriteLine(デバッグ)の書き方

図12:WriteLine(デバッグ)の書き方

これで、Excelから複数行を読み取るロボットが作成できました。続けて、複数行を書き込むロボットを作成していきましょう。

ライター
SIer にて、システム開発/構築や社内インフラを担当。その後、セキュリティベンダーに移り、セキュリティ診断(NW、Web、DB)に従事。また、本の執筆や講師も務める。
著書:図解即戦力 情報セキュリティの技術と対策がこれ1冊でしっかりわかる教科書、【イラスト図解満載】情報セキュリティの基礎知識

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