「クラウド」にまつわる「アレ」や「コレ」
IT技術とは日進月歩の世界です。IT業界に身を置くと、IT技術を意欲的にキャッチアップしていく姿勢が求められますが、この姿勢の原動力は、案外「好奇心」だったりします。「これってなんでこうなるんだろう?」「どうしてこんな作りになっているんだろう?」といった具合です。
でも、こういった疑問の種をゼロから生み出すのは案外大変ですよね。「何が分からないのか分からない」なんて状況は、IT業界に入ってからもよくありますし、IT業界を目指したいと思っている方は、そもそもそこまで技術に興味がない(!)なんてこともあるかもしれません。
本連載は、そんな疑問の種を見つけられていないアナタのために作りました。ただし、疑問は載っていますが、答えは載っていません。この記事を読んで「もっと知りたい」と思ったら、ぜひご自身で調べてみてください。きっと答えはあちこちに転がっています。また「今さら聞けなかったけど、これってそういうことだったんだ!」「IT技術ってちょっと面白いかも…?」と思ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。
はじめに
第3回の今回は「クラウド」について疑問の種を植えていきます。そもそも、クラウドとはサーバーやネットワークなどの環境を自分たちで用意するのではなく、既に作られた巨大な環境からシステムに必要な分を切り出し、借りることで環境を構築する、今では当たり前となったITインフラです。
クラウドを使えば、自分たちで機械の修理をする必要はありませんし、使いたいときにだけ使うことで費用を抑えることができます。そんなクラウドには、どのような疑問の種があるのでしょうか。
ギモン1:「クラウドってどこにあるの?」
名前に「雲」という意味を持つ言葉が使われているように、クラウドはクラウド利用者がクラウドのサービスを利用するときにアクセスする先が、まるで空に浮かぶ雲の中にあるかのように、世界中のどこからでもアクセスできることが特徴です。
しかし、だからといってクラウドのサービスが実際に雲の中にあるわけではありません。どんなに技術が進んでいる現代でも、ITシステムはまだ物理的な機械から解放されたわけではないのです。
つまり、この地球のどこかには、クラウドのサービスが動いているサーバーがあるはずなのです。例えば、Amazonの「AWS」というサービスでは、世界各国にデータセンターというサーバーの集合体が設置されています。これらのデータセンターは「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」という区分けがされており、ある程度クラウド利用者に近いデータセンターを使えるようになっていますが、実はデータセンターがどこにあるかという具体的な住所は明かされていないのです。
なぜデータセンターの場所は明かされていないのでしょうか?「子どもの夢を守るため、雲の中にあるということにしておきたい」というわけではないはずです。ぜひ調べてみてください。
ギモン2:「イレブンナインってなに?」
クラウドのサービスの一部には「イレブンナインの耐久性」という言葉がよく出てきます。特にストレージサービスの説明で使われる言葉です。いったいどういう意味なのでしょうか。
そもそも「耐久性」とは、保存されたデータが破損や消失からどの程度保護されているかどうか、という指標のことで、イレブンナインとは、この可用性が99.999999999%、つまり9が11個並ぶほどに耐久性が高い、ということを示しているのです。99.999999999%というと、1万個のデータを1000年保存しても1つデータが消えるかどうか、というレベルの耐久性があることになります。
この天文学的な数字は、いったいどのような技術によって担保されているのでしょうか? 世界中の大企業が信頼してデータをクラウドサービスに置く理由はそこにあります。ぜひ調べてみてください。
ギモン2:「〇aaSってなに?」
昨今「〇aaS」という言葉をよく見かけるようになりました。クラウド技術の発達でコンピュータにソフトウェアやアプリケーションをダウンロードしなくても、ネットワーク経由で利用できるサービスの提供が簡単になりました。これにより様々な形のサービスが提供されるようになり、そのサービスの形態によって名前が付けられています。
例えば、皆さんがよく目にする「SaaS」。これは「System as a Service」の略称で、システムをクラウド技術でサービスとして提供する、というサービス形態のものです。いわゆる、iCloudやGoogle Driveが、このSaaSに当たるシステムになります。
では、他のサービス形態にはどのようなものがあるのでしょうか?「AaaS」はあると思いますか?「BaaS」はどうでしょう。きっとこれからも「〇aaS」はその種類を増やしていきます。ぜひ、どんな「〇aaS」があるか、調べてみてください。
おわりに
今回は、クラウドにまつわる3つの疑問の種を紹介しました。どれか1つでも気になり始めた疑問はありましたか? それは疑問の種が芽を出した証拠です。大切に育ててあげてください!
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