フレームワークのススメ
MVCを採用している
多くのフレームワークではモデル(Model)、ビュー(View)、コントローラー(Controller)の3つに分けた「MVC」の概念が取り込まれており、個々の役割を明確に分けて構築してあります。MVCについては詳しく書くと紙面が足りなくなってしまいますので他に譲るとして、こうすることでビジネスロジックと操作系統、バックエンドやUI*1などをそれぞれ疎結合化してメンテナンスしやすく、簡単に利用できるように作られています。
また、ライブラリに依存しないのも大きなメリットです。もちろんそうでないものもあるでしょうが、前回紹介したPEARなどの外部ライブラリに依存しないように作られているものがあります。外部ライブラリに依存するフレームワークは、当然ながらそのライブラリの修正やアップデートがあるたびに予期せぬ不具合を発生させる可能性があります。そういった意味で、セキュリティやバグ発生の確率を抑えるためフレームワークごとに独自に開発し実装しているパターンが多いです(図2)。
用途によって選択肢は多い
PHPのフレームワークは実に色々な種類があり、「選択肢が多い」というのもメリットとしてあげられます。PHPの特性と絡んでいるのかもしれませんが、「PHPのようなLL*2にはそれほど抽象的で重厚な実装は必要ない」というポリシーで、とにかくシンプルさ、軽さを目指して制作されているものもあれば、ORM*3やScaffold(足場作り)などとにかく全部入りを目指しているものもあります。
また、筆者の印象ですがシンプルさを追求したフレームワークはたいていの場合動作が軽く、シンプルさ故に拡張もしやすくなっていますが、自分で開発する箇所が多くなりがちです。また全部入りを目指して作られたフレームワークは、覚えてしまえば非常に便利なのですが、やれることが多い分総じて学習コストが高くなりがちですし、動作もシンプルフレームワークのそれに比べれば遅い場合が多いです(チューニングすれば良いだけですが、そのチューニングをすること自体のコストもかかります)。
このようにどちらが良いとは一概には言えないですし、またこれとはまったく違うポリシーで開発されたフレームワークもあります。開発で利用する際には、このようなポリシーなどを熟考し、条件にあったフレームワークを選択することが肝心です。
さて本題のPHPのフレームワークですが、前述したようにそれぞれポリシーや思想の違いによって、さまざまな個性あふれるフレームワークがありますので、RubyならRoR、というような「デファクトスタンダード」と呼べるほどの決定版はありません。とはいえ今回は、やはり有名どころとしてよくあげられる3つのフレームワークについてご紹介いたします。