モデリングは世界語!
より円滑なコミュニケーションのために
UMLモデリングを導入し、伝えたいことをビジュアルに表現することで、開発関係者のコミュニケーションを円滑にできることは、前述した通りです。
これは、日本側とオフショア側とのコミュニケーションについても言えることです。日本側とオフショア側では、言葉や文化の差があり、コミュニケーションを妨げていますが、UMLなどグローバルスタンダードの表記法を用いて作成したモデルを活用することで、コミュニケーションを正確かつスムーズに行うことができます。
現在、オフショア開発では実装など、下流工程が主な対象となっています。しかしここでUMLモデルを使用することで、分析、設計といったより上流工程のコミュニケーションも可能になり、オフショア開発の効果がさらに高まります。
その効果の高さには多くの企業が着目しており、アンケート結果においても、発注側(日本側)の58%が、「現在または過去にオフショア開発においてUMLを使用している」と回答しています。
UMLモデルの記述力の高さ
オフショア開発において、UMLモデルを使用することが、どのように役に立つのか、ちょっとした例を見ていきましょう。図3は、日本語の文章と、それと同様のものを表現したUMLのモデルです。
まず日本文だけを読んでみてください。日本人(もちろん日本語に自信のある)が読んでも、読み流すだけに終わってしまい内容を正確に理解するまでには、ちょっと時間がかかるのではないでしょうか?
また、日本語も含め自然言語はあいまいなところがあります。あいまいなところは読み手が勝手に解釈をしてしまい。その結果、読み手が変わると180度異なる解釈がされてしまう可能性すらあります。
では次にUMLモデルを見てください。たとえ、UMLを知らないとしても、UMLのモデルを見れば何がどうであるか、理路整然としているため一目で分かるのではないでしょうか。UMLは表記法が明確に定義されているのでUMLを知っている者同士ならば、詳細な部分も含め誤解が生じる余地がありません。
例えば、営業職が持っている売上目標は、部署の売上目標なのか、個人の売上目標なのか、日本文でははっきり言っていませんが、UMLモデルを見ると、個人の売上目標であることが明らかです。
モデルのほうは、日本語が登場すると言っても単語レベルです。UMLを知っていれば、言語や文化の壁におくすること無くコミュニケーションがはかれるのではないでしょうか。
このようにUMLモデリングは、言葉や文化の壁が問題になるオフショア開発においてこそ、有効な開発の方法となります。
次回は、オフショア開発の現状の課題と、モデリングを導入することによって、それがどのように改善されるかの期待についてお話します。