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UMLがオフショア開発のギャップを吸収する

2008年5月15日(木)
竹政 昭利

オフショア開発の課題

 オフショア開発は、すでに多くの企業で行われていますが、その過程でいくつか課題も挙がっています。

 具体的に挙げると、「オフショア企業からくる大量の質問への対応で業務が圧迫される」「仕様書のあいまいさが原因で誤解が生じる」「オフショア企業の担当者が離職することで、業務の継続に支障がでる」「進捗管理や、テスト品質に問題が多く露呈する」「オフショア企業と発注側(日本側)間において同じイメージで効果的な情報共有ができない」などです。

 今回は中国を例に挙げて、これらの課題の根本的な原因について「コミュニケーションギャップ」「仕様書のあいまいさ」「中国側は成長途上」というキーワードから考えていきましょう。

コミュニケーションギャップ

 日本と中国で、言葉や文化が異なるのは、当然ですが、実際に言葉や文化の違いがどのくらいオフショア開発をする上での障害となっているのでしょうか?

 図1は、「言葉や文化の差で誤解が生じるか?」というアンケートに対しての回答です。

 「深刻」「かなり深刻」「極めて深刻」の3つの全体に占める割合は、日本は62%となりますが、中国は26%にしか過ぎません。グラフを見ても、中国側は、ほとんど深刻に思っていないと思われます。この結果から見ると日本は、言葉や文化の差をずいぶんと気にしているようです。

 日本人と中国人を比較すると、もちろん個人差はありますが、中国人のほうが、圧倒的に海外とのやり取りに慣れており、コミュニケーションに積極的です。

 実際中国のオフショア企業を訪問すると、日本語ができる人が複数います。また、中国の大学で、UMLのトレーニングを日本語で行ったことがありますが、出席していた150人ほどの学生は、ほぼ問題なく私の日本語を理解していたようで、日本語での質問も活発に飛び交いました。

 一方、日本はどうでしょうか?IT関係者で中国語ができる人は、筆者も含めて本当に限られるのではないでしょうか?また、仮に日本の大学で、UMLの講義を中国語はおろか、英語で行ったとしても、理解できる学生はかなり限られるのではないでしょうか?

 日本人と中国人のコミュニケーションに対する積極性の差は、言葉に対する学習意欲だけに限った話ではないようです。

 「オフショアを導入する!」と鳴り物入りで始まったあるプロジェクトでのことです。中国側が予定の日にドキュメントを提出しなかったことについて、次のようなことがありました。

 中国側はある程度日本語がわかる人がいて、英語のメールならば関係者ほぼ全員が理解できる環境にありました。本来ならば、日本側からドキュメントの提出遅れについて直接一言言えば済んだ話です。しかし、日本側はもともとその中国のオフショア会社を紹介した、社内の仲介部門を経由してクレームを伝えました。こうして何人もの人が間に入ったせいで肝心なことが中国側に伝わらず、日本側はいくら言ってもドキュメントが提出されないことに不信感を抱きました。一方中国側は、要求されていることがよくわからず困惑するばかりでした。

 日本国内のプロジェクトだったら、一本電話かメールをすれば済むことですし、中国でも同様の対応が可能だったのではないでしょうか?

 どうも日本人は、中国人(外国人)に対して一線を引く傾向があるようです。マスコミや人づて聞いたうわさなどに、影響されてしまい、一面的な見方をしがちです。後述しますが、確かに国民性の違いはあります。しかし、実際、じかに仕事で接する中国人は、友好的でバイタリティがあり、文化や物事に対する考え方の差を感じる場面はそれほどありません。

 UMLは世界標準であり、国境に壁を設けることなく、いつでも誰とでもコミュニケーションを図ることができます。このUMLモデルをツールとして、視野を広くし、偏見を捨てて、海外企業と付き合っていくのが良いのではないかと思います。

株式会社オージス総研
1985年株式会社CSK入社。人工知能システムの開発に従事。1994年株式会社オージス総研入社後はオブジェクト指向システムの開発を中心に多数のプロジェクトに参画。また開発者向けトレーニング、セミナの講師を行う傍ら、雑誌、書籍の執筆を行う。2003年UMTP設立後は、UMLモデリング普及活動も実施。主な著書:「はじめて学ぶUML 第2版」ナツメ社 ほか

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