CMMIをオフショア開発に生かす

2010年8月25日(水)
新海 良一

国内のソフトウエア開発企業は、開発規模の増大、機能の複雑化、コスト削減要請といった、年々厳しくなる環境の下で、生き残りをかけています。こうした中で、納期厳守、生産性向上、品質向上などに苦労して取り組んでいます。しかし、コスト削減の要求に対しては、もう限界まで来ているところも多いでしょう。

こうした厳しい環境の中、オフショア開発によるコスト削減は、いわばソフトウエア開発の救世主です。多くの企業が、オフショア開発に取り組み始めています(または、取り組みたいと思っています)。しかし、実際にオフショア開発に取り組んでみると、うまくいったという話よりも、失敗や苦労話ばかりが聞こえてきます。

オフショア開発は、コスト削減効果が高いものの、リスクや課題が多いといえます。こうしたオフショア開発に対して、どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。今回は、オフショア開発の例として、中国へのオフショア開発例を挙げ、施策のいくつかを紹介します。

魅力ある人件費(低コスト開発)

オフショア開発の最大の魅力は、なんと言っても、その人件費の安さです。委託部分や開発難易度、委託作業内容などに大きく依存しますが、日本のソフトウエア開発人件費に比べて、中国でのソフトウエア開発要員の人件費は、およそ1/2~1/3程度です(2010年日立ソフトウェアエンジニアリング調べ)。単純計算で、開発規模(人件費)が1億円のプロジェクトは、中国でオフショア開発すると約5000万円~6700万円のコスト削減を期待できます。

オフショア開発におけるさまざまなリスクと課題

人件費の違いだけを見ると、誰もがオフショア開発に飛び付きたくなります。しかし、実際には、オフショア開発には多くのリスクと課題が潜んでいます。以下では、代表的な課題を2つ挙げます。

オフショア開発の代表的な課題

  1. オフショア先での開発環境を構築(ツールの導入など)する手間と費用が心配
  2. 納期の遅延や品質劣化が心配

オフショア開発を成功させるためには、こうした課題を1つ1つ解決する必要があります。

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社

入社以来、UNIX OS、ミドルソフト開発をはじめ、インタラクティブ・ホワイトボード「StarBoard」の開発・拡販に取り組む。米国での留学、日立ソフトウェアエンジニアリング米国法人での出向経験を経て、現在は、SEI認定CMMIリードアプレイザ、CMMI入門インストラクタの資格を活かし、プロセス改善/コンサルティング・サービスに従事している。

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