開封率の高いデコメールでメルマガ配信!

2009年1月5日(月)
柴崎 正也

Qdmailを使ったデコメール送信

 デコメールのHTMLパートが作成できても、いざメールを送るとなると、文字コードをセットしたり、コンテンツタイプヘッダーを設定したりと初心者にはかなりややこしいものになるので、ここではQdmailというPHPプログラム(PHP4)(http://hal456.net/qdmail/)を使用したデコメの送信方法を紹介します。Qdmailは簡単な設定(送信メールサーバーの設定程度)と設置(1~3ファイル程度)だけで、3キャリアの仕様の違いを吸収しつつ、文字化けのないHTMLメールを送信できるプログラムです(http://hal456.net/qdmail/downloads)。

 このようなプログラムを使用する背景には、以下の利点があげられます。

・容易に設置が可能である
・事前に実機で確認できる
・普段使用しているASPでテストを行ったことによる会員への誤送信を避ける
L
 詳しい設置方法や設定方法は配布サイトに譲るとして、ここでは、Qdmailのサンプルコードを例に紹介します(図3)。サンプルソースは、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。

 先ほど、紹介したサンプルメールを例に作成したデコメールのHTMLパートは、Qdmailでは「$body = ' ';」内にHTMLタグを含めた状態で貼(は)り付けます。1点だけ修正すべき点は、タグのcid表記で、Qdmailの場合は「cid:ファイル名」と指定するだけでOKです。「$body」変数以下に、デコメールに添付するインライン画像の場所(相対指定)を「$attach[] = array( './images/ico_book.gif' , '' );」のように変数に書き入れます。そのほか、「$to[]」変数で複数のあて先(携帯)を指定し、「$from」送信元アドレス、送信者名、「$subject」で件名を指定します。「$body」上部では、$param変数でメールサーバーの設定を、さらにその上でQdmailを使用する際に必要なファイルを相対指定でインクルードします。

 あとは、このファイルをサーバーにアップロードし、ブラウザからファイルを参照(URLをたたく)すれば、とりあえず携帯端末でデコメールを受信することができます。あくまで今回はQdmailを実機確認用に使用しているだけなので、あとはこれをもとに画像の指定部分を直したHTMLパートをASPサービス等を利用して会員にメールを送信すれば良いでしょう。

デコメールで開封率を上げるコツ

 そもそもデコメールはテキストメールと比べて開封率は高いので、デコメールは万能のメールと思われがちですが、一般的に企業が利用者にメールを送る場合、デザインは簡素にすべきで、あまり大容量のメールを毎回送りつけてしまうと受信側に請求が発生する現在の仕組みでは、解約率が高くなる原因となります。

 以下にデコメールを作成する上で注意すべき点をあげます。

・デザインは簡素にすることを心がけ、とにかく容量を減らす
・画像や添付ファイルの数を多くしない
・リンクを載せすぎない
・auの機種に注意する
・適度にイレギュラーのメール(グリーティングメールなど)を送信する
・テキストメールも配信し、ユーザーにテキストかデコメールか選べるようにする

 通常、友人同士などで送りあう派手なデコメールは一種のグリーティングメールであり、利用者の属性(誕生日など)にあわせて、適度にメールを送信することは良いですが、メルマガなど定期的に送るメールについては、情報を見やすく、簡潔に伝えるにすぎないので、デザインは華やかにしすぎない方が解約率は低く抑えられます。

 また、必ずしもパケット定額制サービスに加入しているわけではないので、デコメール全体の容量を小さくするために、内容に合わせた画像フォーマットを選択する、画像をできるだけ減色させる、サイズを小さくすることなどが求められます。

 また、1通に使用する添付ファイル数も少ない方が良いでしょう。これは、通常携帯電話のメール画面では、本文の前に「日付、送り主、件名、添付ファイル」が順に表示されますが、機種によっては添付ファイルを縦に列挙する端末も存在します。添付ファイルの数が多いと画面上部をメールのヘッダー部分が独占してしまい、肝心の本文が確認しにくくなり、結果的に下まで読んでもらえないという失敗につながります。

 auの機種ではデコメールに添付された画像がすべて端末に保存されてしまうという仕様になっており、違うメールに含まれたまったく同じ添付ファイルでも別ファイルとして処理されるため、デコメールを定期的に受信すると、データフォルダの容量、件数がすぐにいっぱいになってしまいます。これをユーザーは非常に嫌がります。理由は消す作業が面倒だからです。これがまたメルマガの解約につながることになります。1通のメールに添付するファイル数を少なくすべきなのはこのような理由もあります。

 デコメールの作成方法と確認の仕方、注意すべき点について紹介しましたが、いかがだったでしょうか。この記事によってより良いメルマガが生まれることを期待しています。

【参考文献】

「デコメールの利用に関する調査:IMJモバイル」(http://www.imjmobile.co.jp/news/72.html)(アクセス:2008/11)

「デコメールテンプレート作成ツール:NTT docomo」(http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/deco_mail/template/tool/index.html)(アクセス:2008/11)

「Qdmail - PHP::Mail Library , Quick and Detailed for Multibyte:PHP高機能日本語メール送信ライブラリ」(http://hal456.net/qdmail/)(アクセス:2008/11)

「デコメール仕様:NTT docomo」(http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/deco_mail/)(アクセス:2008/11)

「デコレーションメール仕様:au 技術情報(EZ factory)」(http://www.au.kddi.com/ezfactory/tec/spec/decorations/index.html)(アクセス:2008/11)

  • 「開封率の高いデコメールでメルマガ配信!」サンプルプログラム(1)

  • 「開封率の高いデコメールでメルマガ配信!」サンプルプログラム(2)

PCおよび携帯サイト制作のほか、デコメ、SEO、LPOなどWEBサイト全般の業務に携わる。過去にイントラネットのデザイン改修、コーポレートサイトの企画および制作、タイアップバナー広告の作成、Movable TypeなどのCMSテンプレートカスタマイズ、PHPプログラミング等を経験。3年ほど前から携帯サイト制作にシフト。著書に「携帯サイト コーディング&デザイン」。そのほか、HTML/CSSリファレンスサイト、携帯サイト制作支援ブログなどを運営。HTMLタグボード:http://www.dspt.net/携帯ホームページを作ろう!:http://dspt.blog59.fc2.com/

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