PR
連載 :
  インタビュー

IoTの弱いリンクを直すきっかけとなるか? Red Hatのエンベデッドソリューション担当者に聞く

2015年12月9日(水)
松下 康之
グレープシステムの本製品の責任者、今敷氏とメッセージ交換のためのミドルウェア、Red HatでEmbedded製品のソリューションを担当する田中氏に話を聞いた。

「全てのモノがインターネットに繋がってより良い未来が来る!」という訳の分からないふれこみで「Internet-of-Things」が多くの企業のマーケティングの一環として叫ばれている中、では実際にモノをネットに繋ぐと言うのはどういうことなのか?を実直に組み立てたソリューションの提案としてRed Hatとグレープシステムが発表したECHONET LiteとMQTTのソリューション、「Clotho for ECHONET Lite」を紹介した。

参考記事:
レッドハット、グレープシステムと協同で地に足が着いたIoTソリューションを発表

その発表の直後に行われた組込系システムの展示会、Embedded Technology展では実際にソリューションの展示が行われ、来場者から様々なフィードバックがあったということでグレープシステムの本製品の責任者、今敷氏とメッセージ交換のためのミドルウェア、Red HatでEmbedded製品のソリューションを担当する田中氏に話を聞いた。

Clothoの責任者、今敷 隆取締役

図1: Clothoの責任者、今敷 隆取締役

ーーー今回の製品について展示会で実際に来場者からの感触はどうでしたか?

今敷氏:今回は発表直後ということで反響という意味では最初は少なかったんですが、2日目以降はかなり反応が良かったですね。特にMQTTの使い方という意味では具体的に「こうやって使うのか!」という感想をお聞きしました。皆さん、MQTTという用語は知っていらっしゃるんですが、具体的にどう使うのか、HTTPやCoAPなどのプロトコルと比べての利点などについてもかなり理解して頂けたと思います。

ーーー具体的という話がありましたが、今回のECHONET LiteとMQTTの変換の部分に工夫したところはどんなことでしょう?

今敷氏:具体的にはMQTTはPublish/Subscribeという単純な仕掛けでデバイスとデバイスがブローカーを介してメッセージを交換するのですが、その仕掛けを応用して設定の変更やデータの変換にも使うと言う部分ですね。

また、データ提供側のデバイスでは、難しい変換を行わずECHONET Lite のデータをそのままMQTTの皮を被せてサーバーに渡し、サーバー側で変換していろいろな処理で使えるようにしている点も大きな特徴です。他のプロトコルであれば複数のデバイスからのデータを複数のアプリに渡すと言う部分はかなり作りこまないといけないんですが、ECHONET LiteであればデータをすぐにMQTT側に渡して利用できるわけです。こうすることで、既存のシステムに大きな変更を加えなくても、ECHONET Liteで収集した家庭内の様々なデータをサーバー側のアプリケーションで扱えるようになり、将来の追加や変更に対しても対処しやすくなります。そういうすぐに使えるソリューションという部分が評価頂いていると思います。

ーーー今回はデバイス側を繋ぐためのソリューションの展示でしたが、エンタープライズの情報システム部門からみても具体的により上位のシステムとの繋ぎ方がみえてくる感触を持たれたのではと思います。その点に関してはいかがですか?

田中氏:そうですね。今回、色々な企業の展示を見ていてもまだデバイスをデモ用に繋いでみました的な物があったように思います。それとエンタープライズ側のソリューションとの接続という部分がまだ欠けているように思えます。エンタープライズの担当者がまだデバイス側と向き合えてないと言う感じでしょうか。これはレッドハットとしても今後強化しなければいけないポイントでもあるのですが、デバイスからデータを吸い上げて上位のソリューションに繋げていくまでのユースケースを作っていかないとIoTと言っても絵に描いた餅になってしまう気がしますね。IoTのミッシングリンク、弱い部分をちゃんと繋いでいくということになりますけども。

ーーー他になにか参考になるコメントはありましたか?

今敷氏:今回来場された方からは、乱立する標準規格が統一するまで待っているのではなく、ひとつのプロトコルを選んで具体的にソリューションという形でシステム化されたことを評価して頂き、標準が確立するまで共存出来る可能性があるというコメントも頂きました。今回のソリューションは、データ形式が違う複数のシステムが共存し、データを有効活用するための「繋ぐ」ソリューションと理解して頂けたと思います。

あとはデバイス側の制約、つまりメモリー容量やプロセッサーなどが限られる場合でも変換処理などデバイスに負担をかけずに既存のデータやプロトコルを使えることと、組込系のデバイスは、一旦出荷すると5年10年と長い間使われ簡単に変更ができない物が多いため、データを受け取る側で柔軟に対応できるのが良いと言うコメントも頂きましたね。これは組込機器などの実際を知っている方の切実なコメントだと思います。

ET展で行われた「Clotho for ECHONET Lite」のデモ画面

図2: ET展で行われた「Clotho for ECHONET Lite」のデモ画面

IBMやオラクル、シスコと言ったビッグネームが盛んに囃したてるInternet-of-Thingsだが、実際にデバイスとの接続と上位のアプリケーションへの連携が現実のソリューションとしては「ミッシングリンク、弱いリンク」として表面化するのではないだろうか。

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

連載バックナンバー

Think IT会員サービス無料登録受付中

Think ITでは、より付加価値の高いコンテンツを会員サービスとして提供しています。会員登録を済ませてThink ITのWebサイトにログインすることでさまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think IT会員サービスの概要とメリットをチェック

他にもこの記事が読まれています