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レッドハット、グレープシステムと協同で地に足が着いたIoTソリューションを発表

2015年11月19日(木)
松下 康之
ECHONET-LiteをMQTTプロトコルに変換するソリューションを発表

2015年11月17日、レッドハット株式会社と組込系システムに多数の経験を持つ株式会社グレープシステムは共同の記者発表を行った。これはInternet-of-Thingsが声高に叫ばれているなか、具体的に家電や電力メーターなどのデバイスからデータを効率的に収集する少し泥臭い地に足が着いたミドルウェアに関する発表だった。

飛躍的に増えるデバイスをどうつなぐか?

「Internet-of-Things」がバズワードとして様々なITベンダーから新製品やサービスなどの発表が続いている。またIDCなどの調査会社も2020年には国内で9億台を超えるデバイスがインターネットに接続されて活用されると持ち上げている。シスコによれば、2020年に接続されるデバイス数は全世界で500億台、全世界の人口一人当たりに換算すれば約7台になるという。しかし実際に様々な業界、業種、施設、家庭などで利用されるデバイスからどのようにデータを吸い上げ、それを活用するのか?に関してはプロトコルを始めとしてまだ複数の製品や標準が並び立ち、陣地争いをしている最中で「これがあれば絶対に浸透する」といういわばキラーアプリも見出せないのが現状だろう。ITベンダーの笛や太鼓の音の割には遅々として進んでいない。

そんななか、具体的にもっともデバイスへの実装が進んでいるのが家庭内のエネルギー機器、電気機器及び電力メーターなどとの施設内接続を実現しているECHONET-Liteプロトコルだろう。HEMS(Home Energy Management System)の中でデータ通信を行う際に利用されるプロトコルとしてほぼ業界標準となっている。ただ、このプロトコルだけだと実際にインターネット側への接続、つまりデータを利用する際のインターネット側のシステムへの接続をどうするのか?という問題が残る。その問題に具体的な解決策として開発されたのが、組込系システムのソリューションプロバイダー、グレープシステムが発表したECHONET Lite−MQTT変換プログラム、「Clotho for ECHONET Lite」だ。

ECHONET-LiteとMQTTをプロトコル変換

2015年11月18日に発表されたのはグレープシステムが開発したECHONET-Liteのプロトコルを軽量なメッセージ交換に利用されるMQTTに変換し、MQTTブローカーとしてレッドハットが提供するRed Hat JBoss A-MQに接続することを可能にする変換ゲートウェイだ。このアプリケーションを使えば、デバイス側はECHONET-Lite、ブローカーより上の中継サーバーからインターネットに繋ぐ部分にレッドハットのソリューションを使うことができる。

図1: MQTT変換QWソリューションのPPT

今回の開発を指揮した株式会社グレープシステムの新事業推進統括部長今敷隆取締役は今回のシステムについて「今回の変換ゲートウェイは、これまで1対1で変換プログラムを開発しなければいけなかったものを半完成品という形で汎用化したものです。IoTのようなシステムでは大量のセンサーやデバイスが接続されてデータが使われるようになるとどうやってデバイスからデータを取ってくるのか?が問題になります。その時に既に実装が進んでいるECHONET-LiteのプロトコルをMQTTに変換することができれば上流のシステムとの接続が容易になり、システムの実装が飛躍的に速くなるのです。組込システムの世界では、従来との互換性やメモリ制約があるため、装置側でデータ形式を変更することは簡単にはできません。今回は、まず、ECHONET-Lite用の変換ソリューションを提供しますが、変換処理のコア部分は汎用的な形とし、他の形式のデータやプロトコルへの適用も容易にできるようにしています。」と語る。

また他のプロトコルとの比較という部分については「既に存在するいくつかのプロトコルについても検討を行いましたが、MQTTを選んだのは構造がシンプルであること、1対1、1対nだけではなく、n対mというデータ交換ができること、が大きかったですね。センサー側と処理アプリを1対1でハードコーディングが必要なCoAPと違い、MQTTでは、センサーから処理アプリ、処理アプリから別の処理アプリへと、メッセージというシンプルな形式で非同期でデータをやりとりし、収集したデータを次々と加工することができます。そのため、センサーが増えたり、センサーのデータを使うアプリが増えても対応が容易で、収集したデータを新たな用途向けに簡単に加工できるのが強みです。」と説明した。

また今回、共同でプレスリリースを行ったレッドハット株式会社でEmbedded Programを担当するパートナー&アライアンス営業統括本部 Embeddedマネージャーの田中勝幸氏は、「これまでのIoTはバズワードで本当にシステムとして構築する際の重要なパーツが抜け落ちていたのではないでしょうか。そういう意味では今回のこのシステムをレッドハット製品と組み合わせることで実際に動くIoTシステムを実証できたことは今後のHEMS市場に対して大きな一歩となったのではと思います」と語った。

実際に今回の製品がどのくらいのビジネスボリュームになるのか、グレープシステムの取締役 営業部長、中川 明彦氏に聞いてみた。中川氏は「今回のシステムに関しては3年間で50システム程度の導入を見込んでいます。金額はそれぞれのシステムによって違うので一概には言えませんが、それぐらいの浸透を期待しているということです」と語った。

通常、レッドハットからの発表は本社の新製品、新サービス、新たな提携などに関して本社からのリリースの翻訳というものが非常に多かった。それは開発拠点がアメリカなどにある外資系のITベンダーでは既に定型化しているルーチンワークと言っていいだろう。だが今回は日本のベンダーが日本の標準規格に合わせたミドルウェアとの連携をレッドハットの日本法人と一緒に発表した、という部分が珍しいと言って良いだろう。日本だけのガラパゴスではないIoTを実際に作れるのか、このソリューションが海外にも拡がっていくことを期待している。

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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