レッドハット、「Red Hat Embedded Program」を国内で提供開始

2015年4月18日(土)

レッドハットは4月14日、IoTを実現するインフラやデバイスを開発する企業向けに、Red Hat Embedded Programを提供開始し、国内におけるEmbedded Distributor Partnerの第一号として、SRAと協業し、サービスを提供することを発表した。

SRAは、オープンソースソフトウェアの製品提供と受託開発において、エンタープライズ分野と組込み分野両面での卓越した実績と経験を持つ、国内有数の技術系システムインテグレーター。レッドハットとSRAの両社は今後、Red Hat Enterprise LinuxをはじめとするRed Hat製品を、Red Hat Embedded Programを通じて組込み分野のIntelligent Systemやデータセンターに提供し、オープンソースを核としたIoT分野でのビジネス拡大に向け戦略的に取り組んでいく。

これまで、組込み分野においては、ハードウェアとソフトウェアを一体的に提供した専用機システムが主流だった。しかし、近年のネットワーク/インターネットの急速な普及と利用による時代の進展とともに、組込みシステムにおいてもネットワーク/インターネットへの接続は欠かせないものとなってきている。組込みシステムは現在、単なる専用機システムではなく、収集した情報を自ら発信するIntelligent Systemへと進化しつつある。

また、Intelligent Systemにおいては、ネットワーク/インターネットに接続する接続性(コネクティビティ)やセキュアな環境の確保、オンラインでのシステムアップデートという命題が必須の項目となってきており、従来の組込み専用OSや組込みLinuxではなく、エンタープライズやミッションクリティカルな領域で活用されているRed Hat Enterprise LinuxやRed Hat JBoss Middlewareが、Intelligent Systemのプラットフォームとして注目を浴びてきている。

このように市場ニーズが変化するなか、レッドハットでは欧米において、2012年よりRed Hat Embedded Programの提供を開始し、組込みデバイスやコントローラー(中継機)などのIntelligent Systemに加え、データセンターへもRed Hat Embedded Programを提供している。Intelligent Systemの核となるプラットフォームソフトウェアとして、鉄道・航空をはじめとする運輸関連分野や防衛分野、製造装置・工作機械などのメカトロニクス、さらには電力・ガスなどの社会インフラの一部としてRed Hat Embedded Programの採用が拡大し続けている。

また、一部では既に日本においても、電力会社のスマートメーターに関する事例などが出てきており、同様なニーズは今後も増えてくると見込まれている。さらに、テレコム/通信分野においては、高い信頼性/可用性が求められるバックエンドサーバの基盤OSとして、従来の組込みLinuxに替わるRed Hat Enterprise Linuxの採用が進んでおり、今後はNFVの分野へも注力していく。

このような中、日本においてはSRAがRed HatのOSやミドルウェア製品を活用したIntelligent Systemの構築、運用を行う企業へ、Red Hat製品の提供、コンサルティング、受託開発、関連するミドルウェアやツールの提供及び支援を行い、レッドハットと共同で営業活動を実施する。SRAは、オープンソースソフトウェアが登場した初期の時代よりオープンソースソフトウェアを利用したエンタープライズ、組込みの両分野における開発実績を積み重ねてきた。また、Linuxにおいても1990年代から取り組みを続けており、2000年からエンタープライズ各社への販売実績がある。OSからDBや開発フレームワーク、各システムの性質や要件に適したミドルウェア/アプリケーション、開発ツールを用いたシステム開発を一貫してサポートし、組込みデバイス、コントローラなどのIntelligent Systemから、ビッグデータに必要なデータセンターにおけるデータ保管や処理部分に至るまでを構築、支援することが可能だ。

両社は今後、共同で、IoTの為のインフラ機器を提供するメーカーからデータセンターを提供する企業に至るまで、一般消費者向け分野以外の様々な業種の企業に同プログラムを展開する。また、Red Hat Embedded Programでは、特定の機器で特定の処理を行うシステムであれば、クラウドやオンラインゲームなどのデジタルエンタテイメント分野へも適用を拡大することが可能だ。

Red Hat Embedded Programは、エンタープライズで利用されているRed Hat Enterprise LinuxやRed Hat JBoss Middlewareなどを組込み向けに提供する。組込みデバイスやコントローラなどのIntelligent Systemだけではなく、データセンターにおいても適用可能なプログラム。

  • 組込みデバイス
    組込みデバイスではCPUの高速化、メモリの低価格化により、この分野においても標準化が進んでおり、従来のようにOSをカスタマイズして搭載するのではなく、必要な機能を備えたOSをそのまま搭載するデバイスが増加している。そのような組込みデバイスに対し、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat JBoss Middlewareを提供し、Red Hat Satelliteがデバイスを統合管理する。
  • コントローラ
    IoTにおいて、コントローラの重要度は非常に高まっている。コントローラは数千台、数万台にのぼる組込みデバイスからデータを収集し、データセンターに中継する。Red Hat Enterprise Linuxはコントローラの基盤としてシステムならびにデバイスを稼働させ続ける。コントローラはRed Hat JBoss MiddlewareとRed Hat Satelliteを利用してデバイスと交信し、デバイスに最新の環境を提供し続ける。
  • データセンター
    デバイスからコントローラを中継されたデータをビッグデータで活用するためには、膨大なデータを高速に処理し、必要とされるデータ形式へと簡素化することが必要。ここで利用されるEdge Serverには高い信頼性、可用性、高速性が求められる。エンタープライズの各社で数多くの実績を積んできたRed Hat Enterprise Linux、Red Hat JBoss Middlewareにとっては、得意な領域だ。また、仮想化の推進において、Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)が提供される。さらに、増え続ける膨大なデータに対しては、コスト効果に優れたRed Hat Storageがスケーラブルに対応する。

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