侍も 迷いに迷う ブリュッセル
日欧産業協力センター訪問
今回出張の目的であるFOSDEM'08の会議が開催されたのは2月23日、24日の2日間でしたが、21日に現地入りしたのは、会議のレセプションに参加するためです。レセプションは午後5時開始だったので、その前にもう1件、日欧産業協力センター訪問の予定を入れていました。
日欧産業協力センターとは1987年5月に日本とEC間の産業協力を担う中核的組織として設立された機関で、日欧の産業協力に向けて多様な活動を行っています。その活動の1つが、ヨーロッパの学生を日本の企業が受け入れる「ヴルカヌス・イン・ジャパン・プログラム」です。
多数の希望者の中から選考された学生は、来日するとまず数ヶ月間、日本語と日本についての基本的な知識を学びます。それからプログラムに参加している日本の受け入れ先企業に派遣され、それぞれの会社の社員と一緒に生活、仕事をしながら日本について学びます。
学生にとっては日本語の習得、日本文化の理解、受け入れる企業にとっては海外の文化および学生とのコミュニケーションの機会となり、まさに欧州と日本の協力、文化交流を促進するプログラムです。日本の学生がヨーロッパで同様の経験をするための「ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ・プログラム」と併せて双方向で行われます。
私の所属するNTTデータはこのプログラムに積極的に参加しており、私自身これまで4名の欧州学生を受け入れた経験があります(今年5人目の学生を受け入れることが決まっています)。今回、FOSDEMでの発表が決まり、以前受け入れた学生に連絡したところ、センターの本部がブリュッセルにあることを知ったので、あいさつしにいこうと思ったのです。
ホテルから日欧産業協力センターまでは、それほど離れていません。が、再び迷いました。それもかなり激しく。まっすぐ歩けばたぶん40分くらいの距離ですが、3時間近くさまよいました。約束の時間を少し遅れましたが、センターの入っているビルに「たどりついた」ときは、奇跡のようだと思い、しばらくビルの前に立ちつくしていました。
あっという間に楽しい時間が過ぎる
日欧産業協力センターのオフィスでは、過去に受け入れた学生のエピソードなどを中心に時間を忘れ楽しく談笑しました。不思議で仕方なかった「道を聞いてもわからない」件について話をしたところ、「それはそうかもしれない」という返事でした。街に住む外国の方々の中には、場所がわからないままでいる人が珍しくないし、地図もわかりにくいというのです。特に地下鉄でもらった路線図は「これでは絶対わからない」と太鼓判を押されてしまいました。
私が絵が好きだと話すと、そのときブリュッセルで開催されていたダ・ヴィンチ展のことを教えてもらい、展示会の案内のWebページとそこへの地図を印刷したものをいただきました。お礼を言ってこれらのプリントをかばんにしまい、次の目的であるレセプション会場に向かうため余裕をもって早めに事務所を出ました
レセプションの会場は、「すぐそこを降りていったところ」ということでしたが、皆さんの予想通り再び迷いました。
ふらふらになりながらも会場に到着してみると、それはレセプションというよりは単にビアホールでビールを飲むだけでした。ほかに何もありません。食べ物もなくひたすらビールを飲むだけです。話に加わろうにもオランダ語やフランス語ばかりです。本場のビールを楽しむには私は銘柄を知らないので、結局バドワイザーやハイネケンしか頼めません。もうわけがわかりません(泣)。
苦労してたどりついたレセプションですが、それ以上いてもどうにもならないことがわかったので、ほどほどで引き上げることにしました。「なんだか疲れた1日だったなぁ」と思いながら、ふと日欧産業協力センターで聞いた、「世界の3大がっかり」と言われる小便小僧のことを思い出しました。小便小僧の本家?がブリュッセルだったとは知りませんでした。
「3大がっかり」とは「有名だけど見るとがっかりする」ということです。私は小便小僧には1ビットも興味はないのですが、「それほどがっかりするなんて、一体どんなふうなんだろう」と思いました。場所はグラン・プラスの近くで、今度こそ確実に(間違いなく)、迷うほどの距離はありません。そこで、土産話になるかもしれないと思い、小便小僧を見に行きました。ブリュッセルの2日目、午後7時くらいのことです。
残念ながら(あるいはおおかたの読者の予想どおり)、私は小便小僧には出会えませんでした。その代わりにケチャップ強盗に出会ってしまいました。その話は次回に...。