ロボットはソフト開発プラットホームだ
ロボットはソフトウエア開発プラットホーム
第1回で、ロボットが皆さんと自然に会話をすることが現実に可能になっていること、ニュースやWikiを読ませるなどインターネット上から情報を流用してコミュニケーションすることが可能になってきていることを説明しました。
ここまでご説明すると、これ以外にもいろいろなことができそうだということが皆さんの頭の中にも浮かんできたのではないでしょうか?
ここで私が言いたいのは、「実はロボットは、ソフトウエア開発のためのプラットホームである」ということです。
一般的にロボットを目にするのは、ショーとか、ホビー的な格闘大会がほとんどだと思います。それはそれですばらしいのですが、皆さんにとっては少し縁遠い夢の世界かホビーの世界だと思っておられたのではないでしょうか?
しかし、ロボットをソフトウエア開発のプラットホームだと認識すると、ロボットの使い道は何百倍にも広がると思います。任天堂のDSやWiiがいろいろな使われ方をしているのと同じです。
私は、ロボットは、パソコン、ゲーム機、携帯(PDA)に継ぐソフトウエア開発のプラットホームだと思っています。
実際、図1のようなスペックの2足歩行型のロボットでも、台湾で生産すれば7万円程度で市場に販売できることがわかっています。これくらいの価格なら一家に1台も夢ではないと思いますし、ソフトウエア開発者の皆さんがどんどん開発できるようになると思うのです。
ロボットのアプリケーションとは
さてここまでご理解いただけたとして、次はロボットのアプリケーションについてお話ししていきます。
ロボットのアプリケーションってなに?と思われる方もいるでしょう。ロボットは使い方がもともと決まっていて作られるものではないの?と思っていらっしゃる方が多いと思います。
しかし先ほども書きましたように、ロボットはソフト開発プラットホームで、しかもまだ進化が始まったばかりなのです。
ここで少しパソコンの歴史を思い出してみてください。
約30年前、ワンチップマイコンの4004や8085が出てきて以来、パソコンはゆっくり進化していきました。ワンボードコンピューターが現れ、箱型パソコンが現れ、MS-DOSが現れ、インターネットが実現し、IBM-PCが進化し、メールやWebが実現していきました。そしてその中で、パソコン用のいろいろなアプリケーションがどんどん開発されていきました。
ロボットとそのソフトウエアもこのような進化の道をたどり、ゆっくり進化していくはずです。しかし、ロボットの進化の道がパソコンの黎明(れいめい)期と決定的に違うのは、いろいろなインフラがすでに整っているということです。
少し前の時代の感覚からしてみれば信じられないことに、今や一般家庭にもFTTHが来ていて、モバイルでも7.2Mbps通信が当たり前ですし、ネットブックなら3万円くらいで売っている時代です。
ですからロボット開発の問題は、ハードウエア技術やコスト低減やインフラ技術ではなく、“なにに使ったら楽しいか”という命題1つにかかっていると私は思っています。前回お見せした動画のような会話ロボットはもうすでに作れるのです。
さて、そこで、ロボットたちになにをさせたら楽しいでしょう?
今やロボットは、大企業や研究所が大金をかけて開発するものではなく、皆さんソフトウエアエンジニアが想像力を働かせて使い道を考え出すときが来たのだと私は思っているのです。