MIT 情報工学人工知能ラボ(CSAIL)の研究者たちがサイバー攻撃の脅威に対して大きな前進があったと発表した。これまで人がサイバー攻撃の証拠を洗い出すのにかけていたよりもはるかに短時間で攻撃を検知できるという。ITアナリストはこれまでシステムが危険に晒されたという証拠を山のようなデータから見つけるために計り知れないくらいの時間をかけてきた。
MITはここに目を付けた。ほとんどの企業がサイバー攻撃の脅威にさらされている世の中で、休息を必要としないシステムがあれば素晴らしい事だ。AI Squared(AI2)はCSAILが作り出した人工知能で、85%という驚異的な確率でサイバー攻撃を検知できる。
この高確率は一朝一夕に達成されたものではない。チームはAI2に検知が必要なもの、スルーしていいものを教え込むのに多くの人月を費やしている。単に検知すべきデータを投入するだけでは十分ではなく、実際に読み込まれる形でデータを入力する必要がある。あるデータが攻撃の証拠かそうでないかを見分けるために、現在アナリストたちは多くの時間を費やしている。AI2の場合は常に新しいモデルを生成し続け、そのモデルは人からの様々な入力がなされる中で時間とともにより良いものになっていく。この人からの入力にはAIにどんな時にハズレの情報が流されたかを学習させるためのものも含まれる。つまり本物のサイバー攻撃がどのようなものかだけでなく、検知された異常がサイバー攻撃によるものではないという事も判別できる。
というわけで時間がたつにつれ、人が確認する為にAI2からエスカレーションされるハズレの情報は減っていき、人が行う本物の攻撃の検証および問題解決のための時間をより多く取れるようになる。また時間の経過に従いAIプラットフォームがハズレの情報を除外できる性能は5倍に、本物の攻撃を検知できる性能は3倍にまで向上するという。
AIが暴走するといった物語が珍しいものでも何でもない現在で、この様に人の助けになるプロジェクトは新鮮なものに映る。
ReadWrite Japan
[原文]
関連記事
スピードよりも“質”重視のトヨタ、2020年までの完全自動化狙わないと発表
2017年2月14日 22:00
「打倒Nvidia」に燃えるインテル、買収されたAIスタートアップNervanaの意気込みを見よ
2016年8月31日 9:15
IoTで大きく改善する無駄のない生産工程 (Part2)
2017年4月14日 7:00
米国政府CIOが求める「自己認識」システム
2016年6月20日 10:38
Industry 4.0 – 正しい方法で構築するIIoTエコシステム
2017年3月23日 7:00
新たなPaaSを日本と欧州が共同開発、オープンな都市データインフラがスマートシティの鍵を握る
2016年9月11日 7:00
バックナンバー
この記事の筆者
筆者の人気記事
進む「スマートダスト」研究、小型化するセンサーが人類にもたらす影響の大きさ
2016年9月3日 7:00
Amazonは世界一の失敗をする企業だ
2016年4月19日 7:00
ストレス社会の救世主! 新アプリ『Mindset』でストレスコントロールが可能に
2016年6月15日 9:14
話題の「フォグコンピューティング」、エッジコンピューティングとどう違う?
2016年8月13日 7:00
Arduino vs. Raspberry Pi:あなたにぴったりのDIYプラットフォームはどっち?
2017年11月17日 6:00
完全な透明性は本当にいい事なのか?
2015年7月17日 15:00
Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。