Windows Serverを比較検討する
WS2003からWS2008への移行
WS2008がリリースされて1年たったにもかかわらず、筆者の周囲では、多くのWindows案件でまだWS2003が採用されており、WS2008の導入はあまり進んでいないように感じています。
その理由は3点あると考えています。
- WS2008用のCALを別途購入する必要がある
- WS2003のサポートが向こう5年以上提供される
- WS2008の新機能が使われない
この3つの要因はそれぞれ密接にかかわっています。WS2008を導入するにあたり、これまで購入したWS2003のCALは利用できず、新たにWS2008のCALを購入する必要があります。ここで昨今の経済状況とコストが大きな問題となります。WS2003のサポート期間は長くてもあと6年ですので、本来であれば今後全面導入することになるであろうWS2008を想定し、そろそろ1つのサブシステムで試験的に導入し習熟していく必要があります。
ところがWS2008では新たにクライアント台数分のCALが必要になるため、同じシステムをWS2003で構築した場合と比較して、金額の面でかなりの差異が出てしまいます。当面はWS2003のサポートが提供されることや、仮想化以外ではWS2008の新機能がOS選定を左右するほど重要視されることも少なく、「今はコストをかけられないのでWS2003にしておこう」という結論になってしまうのです。
以前はHyper-VのゲストOSとしてWS2003を使用した場合でも、WS2008のCALが必要でした。この点についてはすでに変更されており、使用するゲストOSのCALがあればWS2008のCALは不要となっていますが、仮想化用途以外ではやはりCALが必要になってしまいます。
CALはWS2008採用の大きな壁ですが、今後クライアントがWindows 7に代わっていくにつれてWS2008の導入は進むのではないかと考えています。WS2008とWindows 7の組み合わせで利用できる新機能がいくつかあるためです。
一例を挙げると、WS2008 R2のファイルサーバーが持つ「ブランチキャッシュ」という機能があります。この機能はサーバーと複数のWindows 7クライアント同士が協調することで、ファイルを取得する際に近隣のクライアントが持つキャッシュから高速にファイルを取得できるようになるというものです。このようにWindows 7を有効に活用するためのプラットホームとして、WS2008の導入が進んでいくのではないかと考えます。
No. | 評価ポイント | 評価 | コメント |
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(1) | 業務系アプリケーションの対応状況 | ★★★★★ | 現時点でもっとも対応ソフトウエアが多い。 |
(2) | 既存運用・構築経験への適合度 | ★★★★★ | すでに使用中の企業が多く、導入に対する 障壁はほとんどない。 |
(3) | ハードウエアの対応状況 | ★★★★★ | 現時点ではもっとも対応ハードウエアが多い。 |
(4) | 運用系ソフトウエアの対応状況 | ★★★★★ | 現時点でもっとも対応ソフトウェアが多い。 |
(5) | OSのサポート期間 | ★★☆☆☆ | すでに販売終了。2015年でサポート終了。 |
(6) | 仮想化への対応状況 | ★★★★☆ | マイクロソフト社はHyper-Vに主軸を変更。 ゲストOSとしては十分に稼動する。 |
表2:Windows Server 2003の評価ポイント