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Windows Serverを比較検討する

2009年7月17日(金)
大村 幸敬

Windows Serverの特徴

今回はWindows Serverについて比較・検討します。まずはWindows Serverの一般的な特徴から見ていきましょう。

皆さんご存じのように、Windows Serverは最もシェアの高いサーバーOSです。現在はWindows Server 2003 R2とWindows Server 2008が販売されています。IT投資が本格化した2000年~2005年ごろに数多くのWindows Serverが導入されたため、実際はWindows NTやWindows 2000といった旧バージョンが稼働している環境も多くあります。

Windows Serverの機能は他のサーバーOSで代替できないものも多くあります。古いWindows Serverをどうやって新しいWindows Serverに更改していくか、という点は多くの企業が抱える問題であり、他サーバーOSにはないWindows Serverならではの特徴のひとつといえるでしょう。

他OSと比較した場合、Windows Serverのメリットは、マイクロソフト社の多様なプロダクトを利用するためのベース環境であることと、Windowsクライアントと同様の利用しやすいインターフェースであることの2点が考えられます。

現在、クライアントPCとしてWindows(主にXP)が大きなシェアを持っていますが、これらのWindowsクライアントを管理するためのサーバーが必要です。具体的には、ActiveDirectoryによるID管理やWindowsファイル共有機能による情報共有・アクセス制御、WSUS(Microsoft Windows Server Update Services)によるアップデートプログラムの自動適用等です。これらクライアントを管理するためのサーバーは当然ながらWindows Serverで構築することになります。

また、マイクロソフト社からはサーバーサイドのアプリケーションも数多く提供されており、それらを使用したい場合にWindows Serverを選定する必要があります。サーバー製品としてはSQL Server、SharePoint Server、Exchange Serverなどがあり、それぞれ単体の機能もさることながらクライアントの機能と連動してよりよい使い勝手を実現している点がほかのアプリケーションと比較した場合のメリットといえます。

これらクライアントの管理という点でほかのOSが入り込む余地はないのかというと、実はまったくないわけではありません。筆者は自部門向けのファイルサーバーとしてフリーのLinuxとオープンソースのSambaを使用してWindowsドメインを構築したことがあります。ユーザーマネージャーを使用することで、Windowsしか操作経験がない管理者でも運用できるようにしました。検証目的で構築したものではありましたが、一般のユーザーは普通のWindowsファイルサーバーとして問題なく利用していました。

しかし障害時の調査になるとWindows ServerとLinuxの双方に対応できる技術者が必要となる点が問題でした。運用担当者からは「通常のWindows Serverなら自分で理解し、対応できる部分があるが、不慣れなLinuxについては通常運用でも不安感がある。ファイルサーバーはやはりWindows Serverで構築したほうがよい」という意見をいただきました。

Sambaの機能自体は十分であり、CAL(クライアント アクセス ライセンス)などのライセンス費用もかからないという点は、Windows Serverに比べるとメリットなのですが、ほかのOSで実現することによる運用面での負荷は思ったより大きく、単にWindows Serverの標準機能をほかのOSで代用することは難しいようです。

Windows Server 2008の特徴

ここからはWindows Serverの最新版であるWindows Server 2008(以下WS2008)を取り上げ、Windows Serverが持つ特徴について解説します。

メジャーリリースであるWS2008は2008年2月27日にリリースされました。またリリースアップデート版であるWS2008 R2は2009年7月1日現在RC2が提供されている状態です。リリースアップデート版は多くの新機能が搭載され、サポート期間も異なる点に注意が必要です。WS2008 R2では64bit版のみが提供されることや仮想化機構の強化(Hyper-V 2.0)などが特徴となっています。

今回は現時点の最新リリース版であるWS2008について解説していきます。

主要なエディションとしてはStandard、Enterprise、DataCenterの3種類があります。それぞれ「通常用途のStandard」、「クラスタ構成をとるときに使用するEnterprise」、「8個より多いCPUを使用する場合や4個より多いゲストOSを利用する場合に使用するDataCenter」と理解するとよいでしょう。

機能面ではWindows Server 2003(以下WS2003)に比べて多くの拡張がありますが、筆者が実際に設計した経験によると、構築・運用面のポイントは次の3つでした。

  1. 運用管理に必要な機能がサーバーマネージャに集約された
  2. 標準のバックアップ機能が強化された
  3. ファイルシステムの暗号化機能が追加された

サーバーマネージャは、前回取り上げたSUSE LINUX Enterprise ServerのYaSTのように日常の管理で使用する機能を1つのツールに統合したものです。複数のコンポーネントで1つの機能を実現するものは「役割」、機器の構成管理やトラブルの診断に使うツールは「診断」といったように5つのカテゴリに分けて管理ツールが整理されています。サーバーマネージャを立ち上げるだけでツールをあちこち探す必要がなく、サーバーに関する操作、調査を行えるため、構築・運用担当者にはうれしい機能といえます。

バックアップの面では、長らくWindows Serverの標準システムバックアップであったNTBackupが変更されました。NTBackupはリカバリーのためにドライバが入ったフロッピーディスクを用意する必要があるなど、不便な点が多くありました。WS2008ではWindows Serverバックアップに変更されたことで、取得する対象がボリューム単位のシステムバックアップのみとなりましたが、バックアップ速度は向上しています。また、リカバリー手順もインストールDVDから起動してバックアップファイルを指定するだけでよくなり、大幅に簡略化されました。

注意点としては、以前のようにファイル単位でのバックアップが行えなくなったことと、バックアップ先にテープを指定できないことがあげられます。今回の変更でOS標準のバックアップ機能はシステムバックアップに特化されたといえます。

ファイルシステムの暗号化については、これまで別途ソフトウエアを導入する必要がありました。昨今はセキュリティー対策の強化のため、ファイルシステムの暗号化を要求されるシーンも増えていますが、WS2008を使用すれば標準機能で対応できます。データはファイルシステムレベルで暗号化しているため、ボリューム単位でバックアップした場合はバックアップ先のデータも暗号化されている、という点もポイントです。

以上、筆者の経験からサーバーOSの足回りでWS2003との差異が気になった点を紹介しました。多くの機能が追加されているため、人によって構築・運用のポイントは異なると思いますが、1つの参考にしていただければと思います。

次にWS2008の大きな追加機能である仮想化機能に触れたあと、WS2008を評価していきます。

インテック
株式会社インテック ITプラットフォームサービス事業部所属。社内のLinux/OSS事業立ち上げに参画後、金融機関を中心に大規模システム基盤の提案・構築・運用サポートを担当。
Linuxから仮想化を経て、現在はクラウドの中身が気になる日々。
http://www.intec.co.jp/

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