商用Linuxを比較検討する

2009年7月10日(金)
大村 幸敬

商用Linuxの特徴

 今回は商用Linuxについて解説します。早速ですが、商用LinuxはフリーのLinuxと何が違うのでしょうか?

 Linuxはもともとオープンソースソフトウエアとして開発されたUNIXライクなOSです。開発者であるリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏をはじめ多くの技術者が改善を加えた結果、1990年代末ごろにはフリーのLinuxがWebサーバーやメールサーバーとして十分な安定性を持つようになりました。当初は問題が発生しても自らが解決してしまうようなパワーユーザーによる利用が主流でしたが、一般ユーザーに利用が広まるにつれ、OSの配布元による高いレベルのサポートが必要となってきました。こうして生まれたのが商用Linuxです。

 商用LinuxはフリーのLinuxに比べ、有償ではありますが開発・配布元(ディストリビュータ)による長期的かつ安定した開発方針と、高いレベルのサポートを得られることがメリットと言えます。

 商用Linuxの多くは「サブスクリプション」を購入することでサポートを得られます。例えばRed Hatが提供しているRed Hat Enterprise Linux(以下RHEL)ではサブスクリプション購入により「Red Hat Network」と呼ばれるインターネット上のサービスサイトにアクセスできるようになります。ここでは各種のパッチを入手したり、インストールイメージを入手したりできるようになります。加えてWebからサポートへの問い合わせなどができます。サポート対象は基本的にOSに対するもののみで、OSの配布物に含まれる各種オープンソースソフトウエアはサポートの対象外となります。

 当初はPHPやMySQLといったオープンソースソフトウエアを活用するプラットホームとして利用され始めた商用Linuxですが、UNIX互換でありながら安価なOSであったことからUNIXからLinuxへの移行が検討されるようになります。そこで各種ソフトウエアベンダーがLinux上で動作するアプリケーションを提供し始めました。OracleやDB2、WebSphereやWebLogicといった主要な商用ミドルウエアがLinuxに対応したことで、業務用Webシステムの基盤OSとしてLinuxの採用が拡大していきました。

 この段階で多くのアプリケーションがLinuxに対応したことで、業務要件からアプリケーションの選定を経て、直接Linuxが選定される機会が増えてきました。このように業務用アプリケーションが正式対応をうたっている点も、商用のLinuxが持つ大きなメリットです。

名称 最新バージョン 販売元
Red Hat Enterprise Linux 5 Red Hat
SUSE LINUX Enterprise Server 11 Novell
Asianux Server 3 MIRACLE LINUX
Turbolinux Server 11 Turbolinux
Oracle Enterprise Linux 5 Oracle

表1:国内の主な商用Linux

インテック
株式会社インテック ITプラットフォームサービス事業部所属。社内のLinux/OSS事業立ち上げに参画後、金融機関を中心に大規模システム基盤の提案・構築・運用サポートを担当。
Linuxから仮想化を経て、現在はクラウドの中身が気になる日々。
http://www.intec.co.jp/

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