Windows Serverを比較検討する

2009年7月17日(金)
大村 幸敬

WS2008 Hyper-Vによる仮想化

WS2008の大きな特徴である仮想化機能について、ほかのOSと比較しながら解説します。WS2003ではVirtual Serverという機能が提供されていましたが、Hyper-Vはアーキテクチャが変更されており、仮想マシンイメージもVirtual Serverと互換性はありません。特に大きな違いはHyper-VのゲストOSとしてWindows NTがサポートされなくなった点です。Windows NTのマイグレーション先にHyper-Vは選定できないのでご注意ください。

Hyper-VはCPUが持つ仮想化機能(Intel VTなど)と、ハイパーバイザと呼ばれる小さなOSとを利用して仮想マシンを動作させる仕組みで、インストールするWS2008はハイパーバイザの上で動作する管理OSという位置づけになります。この点は各種Linuxサーバーで動作するXenと同様の構成となります。VMwareやXenに比べると仮想化機能を持つCPUでないと動作しないため、手元のマシンで気軽に検証できないのは難点といえます。

WS2008はフルインストールだけでなく、Server Coreと呼ばれる最小限の機能でインストールすることもできます。ゲストOSに提供されるサーバーリソースの最大化やコンポーネントが持つ脆弱(ぜいじゃく)性の最小化が図れるため、仮想化のためのプラットホームという点ではServer Coreによる構成のほうが適しているといえるでしょう。

WS2008 R2はHyper-V 2.0という次期バージョンが標準搭載されます。Hyper-V 2.0では、サービスを継続したまま物理ホスト間を移動する「ライブマイグレーション」機能や、ストレージのホットプラグに対応するなど、機能強化がなされています。ほかのサーバーOSと比較すると、仮想化については後発だったこともあり、WS2008 R2でようやくほかのサーバーOSと同等の機能になってきたように思います。SCVMM(System Center Virtual Machine Manager)などの管理機能も豊富になってきており、VMware、Xenといったほかのハイパーバイザとの比較・検討はこれからが本番になるといえます。

それでは、以下6つのサーバーOSの評価ポイントに従ってWS2008を確認してみましょう。6つの評価ポイントの詳細については、第1回の図2を参照してください。

  1. 業務系アプリケーションの対応状況
  2. 既存運用・構築経験への適合度
  3. ハードウエアの対応状況
  4. 運用系ソフトウエアの対応状況
  5. OSのサポート期間
  6. 仮想化への対応状況
No. 評価ポイント 評価 コメント
(1) 業務系アプリケーションの
対応状況
★★★★☆ 主要なソフトウェアはすでに対応を完了している。
(2) 既存運用・構築経験への適合度 ★★★☆☆ 既存シェアが高いがゆえにインターフェースや
CAL変更への抵抗が強い状況にある。
(3) ハードウエアの対応状況 ★★★★★ 国内・国外いずれのメーカーも対応を完了している。
(4) 運用系ソフトウエアの対応状況 ★★★★☆ 運用監視系のソフトウェアはほぼ対応済み。
VirtualCenterなど未対応のものも一部ある。
(5) OSのサポート期間 ★★★★★ リリース後10年間のサポート。
WS2008は2017年まで。
(6) 仮想化への対応状況 ★★★★☆ WS2008 R2でホストOSとしては
他OSと肩を並べる状況。
ゲストOSとしては他のVMに対応済み。

表2:Windows Server 2008の評価ポイント

インテック
株式会社インテック ITプラットフォームサービス事業部所属。社内のLinux/OSS事業立ち上げに参画後、金融機関を中心に大規模システム基盤の提案・構築・運用サポートを担当。
Linuxから仮想化を経て、現在はクラウドの中身が気になる日々。
http://www.intec.co.jp/

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています