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Hyper-V 2.0で強化されたライブマイグレーション

2009年8月28日(金)
田辺 茂也

OSの仮想化と可用性

 これまでの2回で、Hyper-V 2.0の概要と主な新機能を紹介しました。今回は特に注目の新機能であるライブマイグレーションについて解説します。

 Hyper-Vでハードウエアが仮想化され、ハードウエアとOSが分離されたことにより、OSを再インストールすることなく簡単に別のハードウエアに移動できるようになりました。

 最も基本的な移動方法は、仮想マシンを完全に停止させてHyper-Vの管理ツールからエクスポートする方法です。エクスポートしたファイルを別のHyper-Vのサーバーでインポートすることで、それまでと全く同様に動き始めます。

 手作業で行うため時間がかかりますが、移動のための仕組みを構築する必要はありませんし、インポートせずに単に保存したり、遠隔地のオフィスでインポートしたり、社内で構築した仮想マシンをデータセンターで本稼働させるなど、汎用的でさまざまな用途に使うことができる方法です。

 ハードウエア間で簡単にOSが移動できることを、可用性に応用することができます。つまり、仮想OSが動いているハードウエアに障害が発生した場合、自動的に別のハードウエアで同じ仮想マシンを動かすことにより、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

 Hyper-Vの最初のバージョンでは、クイックマイグレーションとして、短時間で仮想マシンを移動できる機能が提供されていました。

 これは、稼働中の仮想マシンを保存し、保存された状態ファイルを別のハードウエアに移動して、そこで再開する方法です。仮想マシンのイメージは、移動元からも移動先からもアクセスできるよう、ネットワークストレージ上に置いておきます。仮想マシンの状態保存を始める時点でサービスは停止します。その後状態を保存して状態ファイルを移動し、移動先に仮想マシンを作成して、状態の復元が完了した時点でサービスが復帰します。その間仮想マシンのメモリーサイズなどによって、10秒~1分程度のダウンタイムが発生します。

 Hyper-V 2.0では、ライブマイグレーションとして、瞬時に仮想マシンを移動できる機能が追加されました。操作はクイックマイグレーション同様、管理ツールで移動先のハードウエアを選んで実行するだけです。

 ライブマイグレーションは、移動時にネットワークコネクションが切れないこと、ユーザーにダウンタイムを認識させないことを目標に開発されました。したがって、例えば仮想マシンに対してファイルコピーを行っている時にライブマイグレーションを行っても、途中でコピーが止まることはありません。

ライブマイグレーションのシナリオ

 ライブマイグレーションにより、ハードウエアに何らかの障害が発生した時に、完全にダウンする前に移動することで可用性を高めることができます。しかも、このような緊急時だけでなく、さまざまな場面で活用することができます。

 例えば、管理OSに更新プログラムを適用したり、デバイスドライバーを更新したりする時に、ライブマイグレーションでダウンタイムなく移動した上で安心してメンテナンスすることができます。このことにより、あらかじめダウンタイムを設定して休日や深夜に作業することは、多くの場合不要になるでしょう。万が一メンテナンス作業に問題があった場合も、ダウンタイムを延長することなく復旧作業を行うことができます。

 また、ハードウエアを追加した場合や、仮想マシンの負荷に変化があった場合、最適な配置に変更するためにも、ライブマイグレーションが活用できます。ハードウエアが多数ある場合は、仮想環境管理システムのSystem Center Virtual Machine ManagerのPRO(Performance and Resource Optimization)を活用して、最適な配置を行うことができます。

 さらに、より省電力なシステムの運用にも活用できます。前回紹介したコアパーキング機能(http://thinkit.co.jp/article/1010/3/)により、必要最小限のコアで仮想マシンを実行することで省電力化が図れるようになりましたが、夜間や休日など負荷が大幅に減るサービスであれば、ライブマイグレーションで仮想マシンを集約し、一部のサーバーをシャットダウンすることで、さらに消費電力を節約できます。

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マイクロソフト株式会社
マイクロソフト株式会社でITプロエバンジェリストとしてインフラや運用管理のテーマを中心に、技術情報の整備と発信を担当

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