UNIX系OSを比較検討する~まとめ

2009年7月10日(金)
大村 幸敬

Solarisを比較検討する

 これまで様々なサーバーOSを比較してきました。最終回となる第5回では、UNIX系のサーバーOSについて比較検討していきます。

 Solarisはサン・マイクロシステムズ(以下サン)が販売しているUNIXです。もともとUNIX System Vの流れをくむOSで、1990年代にはインターネット系のサーバーとしてその動作するハードSPARCとともに大きなシェアを持っていました。

 もともとは商用のUNIXでしたが、2005年にサンがSolarisのソースコードをCommon Development and Distribution License(CDDL)というライセンスの元で公開し、以後オープンソースとなっています。OS本体はOpenSolarisとして無償で利用できますが、パッチの入手やサポートが有償となっています。

 SolarisはSPARCアーキテクチャ用とIntelアーキテクチャ用がありますが、サーバー用途で使われる場合は主にSPARC版が使用され、IAサーバーより高信頼な用途に使われる場合が多いようです。

 筆者の周辺では、IAサーバーであればLinux、SPARCを使う場合はSolarisという住み分けが多いようです。IAでSolarisを使用する場合は、運用側の周辺環境や構築側の経験などでSolarisが指定された場合のみ、というのが現状です。

 現在の最新バージョンはSolaris10です。Solarisは核となるOSにグラフィックなどの機能を追加したものと位置づけられており、Solaris10の内部ではSunOS5.10というOSが動いています。ちなみにSolarisのバージョンは2.6の次が2.7ではなくSolaris7となり、以後8,9,10とバージョンアップするという、マイナーバージョンがメジャーバージョンに切り替わる、ということを行っています。

 以前からインターネット系サーバーとして利用ユーザーが多く、上位ハードウエアを使用して基幹業務でも使用されていたことから、商用ソフトウエアや運用管理ソフトウエアの多くも対応しています。ハードウエアではサンと富士通がSPARCアーキテクチャのサーバーを提供しています。

 仮想化についてはSolaris独自の機能であるSolarisコンテナがあります。これは1つのSolaris上に、ゾーンと呼ばれる複数のSolaris環境を構築できるもので、ハードウエアを完全に仮想化するVMwareとは仮想化のレイヤーが異なります。ファイルシステムを複数ゾーン間で共有することもできるため、OS自体のパッチレベルが同一のSolarisを複数管理しつつ、お互いのセキュリティーを確保するといった利用方法が考えられます。

 2009年4月、Oracleがサンを買収しましたが、現時点ではSolarisの方針は明確になっていません。近年はサンの業績に不安があったことから、お客さまのほうから「Solarisのサポートがどうなるか不安だ」という声がありました。現在はOracleに買収されたことで逆に安心感が得られた、という声をよく聞きます。サンのSPARCアーキテクチャ、そしてSolarisの今後の方針に注目です。

No. 評価ポイント 評価 コメント
(1) 業務系アプリケーションの対応状況 ★★★★☆ オープンソース系から基幹系まで多くのソフトウエアが稼動する。
(2) 既存運用・構築経験への適合度 ★★★★☆ 既存のSolarisユーザーは再度Solarisを選定することが多い。
(3) ハードウエアの対応状況 ★★★★★ 専用ハードであるSPARCサーバーに安心感あり。サンからはAMD Opteronサーバーも提供。
(4) 運用系ソフトウエアの対応状況 ★★★★☆ 多くのエージェントは対応。マネージャ機能は一部のみの場合も。
(5) OSのサポート期間 ★★★★☆ 英語版メジャーリリース後10年間のサポート。サンの買収により今後に注目。
(6) 仮想化への対応状況 ★★★☆☆ 独自のSolarisコンテナ機能による仮想化。

表1-1:Solarisの評価ポイント

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No. 評価ポイント 評価 コメント
(1) 業務系アプリケーションの対応状況 ★★☆☆☆ Mac OSクライアント管理用の独自ソフトウエアが動作する。
(2) 既存運用・構築経験への適合度 ★★★☆☆ Macユーザー環境に適合。管理用GUIは強力。
(3) ハードウエアの対応状況 ★★★☆☆ AppleのXServe上でのみ動作する。
(4) 運用系ソフトウエアの対応状況 ★☆☆☆☆ 多くの運用監視ソフトウエアはサポートしていない。
(5) OSのサポート期間 ★★★☆☆ 購入後3年間メジャーバージョンアップが提供されるサポートがある。
(6) 仮想化への対応状況 ☆☆☆☆☆ サーバー用途としての仮想化機能は持たない。

表1-2:Mac OS X Serverの評価ポイント

インテック
株式会社インテック ITプラットフォームサービス事業部所属。社内のLinux/OSS事業立ち上げに参画後、金融機関を中心に大規模システム基盤の提案・構築・運用サポートを担当。
Linuxから仮想化を経て、現在はクラウドの中身が気になる日々。
http://www.intec.co.jp/

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