第15回:電子メールのコンプライアンス (2/2)

シマンテックイエローブック
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ

第15回:電子メールのコンプライアンス

著者:シマンテック   2007/4/5
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データ量の縮小に関する考慮事項

   スパムやビジネスに無関係な電子メールを管理することは、企業にとって難しい課題です。現在、政府レベルでスパム対策法案の改正と施行が進んでいますが、スパムは一向に衰える気配を見せていません。現在のところスパムを完全に排除することは不可能ですが、Symantec Email Security and Availability for Microsoft Exchangeなどのソリューションを導入すると、ビジネスの電子メールトラフィックやサーバーのスループットにスパムが与える影響を大幅に抑えることができます。

   スパムメールの量は年々増加する一方ですが、電子メールによる正常なビジネスコミュニケーションを維持するには、適切な対策を講じる必要があります。また、スパムがレギュラトリーコンプライアンスに与える影響を認識する必要もあります。

   スパムに関連するリスクの問題にはさまざまな側面があります。スパムの問題を放置しつづけると、次のようなリスクにつながる可能性があります。
  • 従業員の作業効率が低下したり、過去の電子メールを提出するように求められた場合に対応できなくなる可能性があります。大量のスパムが存在すると、電子メールの検索はより困難になります。受信トレイ、PST、アーカイブなど、電子メールの保存先に関係なく、スパムの存在は検索にかかる時間とコストを増やす原因になります。

  • スパムは、ウイルスやワームなどの悪質なコンテンツを発信する媒体として利用されることが多いため、スパムメッセージのコンテンツは深刻な問題です。これらの脅威は、フィッシング詐欺のように絶えず変化するさまざまな手法を使って機密情報を盗み出そうとします。攻撃が成功した場合、盗み出された情報の種類によっては、企業のコンピュータや情報がリスクにさらされる可能性があります。最悪の場合、ハッカーが企業のシステムや機密情報へ不正にアクセスできるようになることもあります。

  • 通常、スパムのコンテンツは、ビジネスにとって不適切なものであり、何も利益をもたらしません。メールサーバー上のメールボックスやアーカイブ内のメッセージに不適切なコンテンツや違法なコンテンツが含まれていると、企業の責任問題につながる可能性もあります。

  • スパマーはハードウェアや帯域幅のコストを浮かせるために、悪質なソフトウェアに感染したコンピュータを介して企業の設備を匿名で利用することがあります。ゾンビと呼ばれるこれらのコンピュータは、企業内の管理者が気づかないうちに無断でスパムメールを送信する可能性があります。

表2:スパムがもたらすリスク


スパムとアーカイブ化

   スパムの処理方法を明確に定めた規制は存在しないため、スパムと判定されたメッセージを単純に削除する方法は必ずしも賢明とは言えません。場合によっては、取り扱い注意の電子メールとしてスパムをアーカイブ化しておくほうがよいケースもあります。その場合、スパムは受信トレイに到達する前に排除されますが、削除されるのではなくアーカイブに保存されます。

   Symantec Mail Security 8160アプライアンスとSymantec Enterprise Vaultを統合したSymantec Email Security and Availability for Microsoft Exchangeソリューションを導入すると、スパムを自動的にアーカイブへ転送することができます。


脅威の軽減に関する考慮事項

   電子メールによるコミュニケーションがビジネスに不可欠なサービスとしての重要性を増すにつれて、電子メールに関連する脅威も進化しつづけてきました。実際、今日の企業に悪質な攻撃を運び込む最大の媒体は電子メールです。

   ウイルスやワームなどの悪質なコードを含む電子メールをプロアクティブにブロックし、そのようなコードを含まない電子メールのみを配信するように対策を講じるメリットは多くの企業にとって明白です。ただし、これらの脅威とレギュラトリーコンプライアンスの間の関係は必ずしも明白ではありません。

   最近の悪質なコードは、さまざまな手法で個人や企業を欺くことを目的とする傾向を強めています。また、悪質なコンテンツが電子メールから削除されないようにするための方法も絶え間なく進化し、ますます巧妙化しています。

   電子メールアーカイブからウイルスなどの悪質なコードを排除することは、受信者が不注意で悪質なコードを実行してしまう可能性を減らすだけでなく、その結果として企業や個人の機密情報が流出することを防ぐうえでもメリットがあります。

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株式会社シマンテック
著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp


INDEX
第15回:電子メールのコンプライアンス
  レギュラトリーコンプライアンスについて
データ量の縮小に関する考慮事項
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ
第1回 電子メールのセキュリティと可用性
第2回 電子メールシステム強化の取り組み(前編)
第3回 電子メールシステム強化の取り組み(後編)
第4回 電子メール管理の重層的アプローチ
第5回 電子メールのセキュリティのポイント
第6回 電子メールのアーカイブ化と耐性基盤の構築
第7回 電子メールセキュリティの強化
第8回 電子メールのアーカイブ化
第9回 耐性システムを構築する
第10回 電子メールセキュリティと電子メールアーカイブソリューションのまとめ
第11回 迷惑メールの遮断
第12回 Symantec Mail Security for Exchangeの設定概要
第13回 Symantec Mail Security for Exchangeを設定する際の注意事項
第14回 ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護
第15回 電子メールのコンプライアンス
第16回 コンプライアンスにおけるITの役割

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