第9回:耐性システムを構築する (2/3)

シマンテックイエローブック
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ

第9回:耐性システムを構築する

著者:シマンテック   2007/3/8
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ストレージの仮想化

   Veritas Storage Foundation for Windows製品は、Windows 2000とWindows Server2003のデータ管理機能を拡張します。拡張された論理ディスクや論理ボリュームの機能は、Microsoft Exchangeの拡張性のあるストレージ環境の基礎になります。

   Veritas Cluster Server、Veritas Volume ReplicatorなどのStorage Foundation製品オプションは、Exchangeインフラストラクチャの99.99パーセントの可用性を実現します。Storage Foundation製品では、モジュラーアプローチによって電子メールの可用性に対するさまざまな潜在的な脅威を解消します。

   Storage Foundationでは、次の方法によって耐性のあるストレージ環境を構築できます。
  • 増加し続けるデータのニーズ(トランザクションログ用のストレージボリュームなど)に適合するように自動的に拡張するストレージを作成する
  • ミラー化またはミラー化とストライプ化の組み合わせを使用したストレージ構成を設計して、1台のディスクの故障によるデータ消失を防止する
  • アプリケーションの全体的なパフォーマンスを低下させているストレージのホットスポットを特定して対処する
  • 論理エラーまたはデータ破損から迅速に回復できるようにポイントインタイムイメージを作成する

表3:耐性のあるストレージ環境の構築

   Exchangeインフラストラクチャをサイト規模の災害から保護するために、iSCSI、広域ファイバーチャネルSAN、ホスト間複製が可能なWANに加えて、Storage Foundation製品を使用すれば、ディザスタリカバリサイトを簡単に作成できます。

   オフサイトの回復施設で低コストまたは低容量のストレージを使用するか、複数のデータセンターのために単一のデータセンターをオフサイトの回復施設として使用することによって、ディザスタリカバリのサポートにかかるコストを調整することができます。ディザスタリカバリ用の副サイトは主サイトのミラーとして機能する必要はなく、同時に他の目的に使用できます。

   Exchangeデータを論理エラーのすべての原因から保護するのは困難です。データ破損と、ユーザーまたはオペレータに起因するエラーは、除去することがほとんど不可能なリスクです。最良の防御策は、エラーの影響から迅速に回復し、データ消失を最小限に抑えることです。

   Storage Foundationでは、FlashSnapオプションを使用してExchangeデータベースのポイントインタイムのスナップショットとトランザクションログファイルを作成できます。FlashSnapスナップショットは、本稼働ボリュームをミラー化した、独自に指定可能なボリュームです。

   FlashSnapオプションを使用するとデータのポイントインタイムイメージが作成され、このイメージをデータの迅速な回復イメージのソースとして使用できます。Veritas Storage Foundation for Windowsによるソフトウェアスナップショットを推奨します。本製品はオフホストバックアップにも対応しています。

   Backup ExecとStorage Foundationを組み合わせて使用することで、Microsoft Exchangeを使用する組織は、ほとんどのデータ処理エラーとストレージエラーから数分で回復可能な耐性のある電子メール基盤を構築できます。


クラスタ化

   可用性のためにローカルクラスタとキャンパスクラスタを実装することで、Exchange環境をさまざまなコンポーネントエラーから保護できます。Veritas Storage Foundation High Availability for Windowsには、作業負荷管理機能を備えた拡張性のあるフェールオーバークラスタを提供するVCS(Veritas Cluster Server)技術が統合されています。

   VCSクラスタ内では、複数のサーバーが共有ストレージと専用イーサネットハートビートにリンクされます。クラスタ内の各システムは、他のすべてのシステムのストレージにアクセスできます。

   Storage FoundationでGlobal ClusterオプションとVolume Replicatorオプションを使用すると、2つの別個のサイト間でデータを複製できます。これらのサイト間では、アプリケーションサービスを1回のマウスクリックで切り替えることができます。Storage Foundation HA for Windows(Veritas Cluster Server)を使用すると、次のことが行えます。

  • メッセージデータとメッセージングアプリケーションの稼働時間を最大化する
  • 予定された、または予定外の休止時間を削減する
  • 単一の製品からローカルクラスタ、メトロポリタンクラスタ、グローバルクラスタの高可用性を実現する
  • 本稼働アプリケーションに影響を与えずにディザスタリカバリソリューションをテストする
  • 移植可能なモデルとシミュレーションを利用してクラスタ設定とポリシーを最適化して計画する

表4:Storage Foundation HA for Windowsが提供する機能

   Symantec Email Security and Availability製品のインストールと設定は、MSCS(Microsoft Cluster Server)を使用して高可用性Exchangeサーバーを構築しているExchangeユーザーには対応していません。

   一般に、MSCSまたはStorage Foundation HA for Windowsのいずれを使用する場合も、展開手順は同じです。ただし、このソリューションはMSCSでの動作はテストされていません。

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株式会社シマンテック
著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp


INDEX
第9回:耐性システムを構築する
  耐性システムの構築
ストレージの仮想化
  製品の統合
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ
第1回 電子メールのセキュリティと可用性
第2回 電子メールシステム強化の取り組み(前編)
第3回 電子メールシステム強化の取り組み(後編)
第4回 電子メール管理の重層的アプローチ
第5回 電子メールのセキュリティのポイント
第6回 電子メールのアーカイブ化と耐性基盤の構築
第7回 電子メールセキュリティの強化
第8回 電子メールのアーカイブ化
第9回 耐性システムを構築する
第10回 電子メールセキュリティと電子メールアーカイブソリューションのまとめ
第11回 迷惑メールの遮断
第12回 Symantec Mail Security for Exchangeの設定概要
第13回 Symantec Mail Security for Exchangeを設定する際の注意事項
第14回 ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護
第15回 電子メールのコンプライアンス
第16回 コンプライアンスにおけるITの役割

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