第14回:ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護 (2/2)

シマンテックイエローブック
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ

第14回:ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護

著者:シマンテック   2007/3/26
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インバウンドトラフィックの設定

   トラフィックは、企業の外部ファイアウォールを通過してネットワークに入ります。両方のアプライアンスがインバウンドリレー(Scanner)である場合、インバウンドメッセージのトラフィックをDNSラウンドロビンサーバーまたはロードバランサを通してアプライアンスにルーティングできます。

   メモ:DNSラウンドロビンサーバーは、ハードウェアロードバランサに比べて費用のかからないオプションです。ハードウェアロードバランサは、DNSサーバーより頑強で反応が速く、高い柔軟性を備えています。ただし、ノード数が3,000以下の組織では、多くの場合DNSサーバーオプションで十分です。

   表5に、8260アプライアンスで電子メールトラフィックが処理されるプロセスを示します。

トラフィック ルーティング方式
クリーンメッセージ クリーンメッセージは、Smart Host構成を通してExchangeメールサーバーに配信されます。
感染メッセージ 検疫が必要なメッセージは、コントロールセンターまたは検疫サーバーに格納されます。
一次MXレコード 両方の8260アプライアンスに割り当てられます。

表5:8260アプライアンスでのトラフィックのルーティング

   シマンテックでは、外部ファイアウォールを透過SMTPプロキシとして設定することを推奨しています。透過SMTPプロキシの設定は、8260アプライアンスで送信元IPアドレスの情報を受信するために必要です。8260アプライアンスがIPアドレスをフィルタ処理すると、ローカル環境に合わせた調整も学習するため、より効果的にフィルタ処理を行います。

   Symantec Gateway Security 5400と5600シリーズなどのファイアウォールは、透過SMTPプロキシ機能を備えています。ファイアウォールにこの機能がない場合は、ポート25のすべてのトラフィックを直接Symantec Mail Security 8260アプライアンスに渡すようにルーターを設定して、SMTPトラフィックがファイアウォールをバイパスするように設定することを推奨します。

   コンテンツベースとIPベースのフィルタ処理は、どちらもSymantec Mail Security 8260アプライアンスで行われます。IPベースのフィルタを設定するには、8260アプライアンスで電子メールファイアウォール機能を有効にする必要があります。

   電子メールファイアウォール機能により、IPベースのフィルタ処理が行われ、TCP/IP層のトラフィックが減少し、アプリケーションでの処理が必要なデータ量が減少します。この層でのフィルタは、コンテンツフィルタを効果的に補完します。

   ただし、完全なTCP/IPフィルタ層をセットアップには、Symantec Mail Security 8160アプライアンスをインストールする必要があります。8160アプライアンスは、受信するネットワークトラフィックに対して完全なトラフィックシェーピングを行います。


アウトバウンドトラフィック

   アウトバウンド電子メールは、インバウンドとアウトバウンドのトラフィックを処理する2番目の8260アプライアンスを通してルーティングされます。

   管理者は、ユーザーの電子メールクライアントを再設定するかExchangeサーバーを設定して、すべてのアウトバウンドトラフィックがアウトバウンド8260アプライアンスを通してルーティングされるように設定できます。

   社内ポリシーの必要条件に応じて、アウトバウンド電子メールのコンプライアンスポリシーに固有のカスタムコンテンツフィルタを実装できます。この場合、後でVERITAS Enterprise Vaulを使用した分析とアーカイブのために、電子メールのタグ付け、レポート作成、スプールを実行できます。


Symantec BrightMail AntiSpamの展開

   アプライアンスオプションで提供されるSymantec BrightMail AntiSpamは、スパム、電子メールの不正行為、電子メール添付ウイルス、その他の迷惑な電子メールを、ネットワークゲートウェイで正確かつ効果的に、また管理しやすい方法で防止します。

   スパムとウイルスの攻撃を、ユーザーが被害を受ける前に、または企業のネットワークが攻撃されたり損傷を受ける前に、アクティブに識別して管理します。1,000人から数千人規模の企業では、8260アプライアンスの場合と同様に、DMZ内の2台のWindowsサーバーにBrightMail AntiSpamソフトウェアをインストールすることを推奨します。

   管理者は両方のBrightMail AntiSpamサーバーをインバウンドサーバーとして設定する必要があります。アウトバウンドサーバーとして設定するのは、いずれか1台のサーバーのみです。

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株式会社シマンテック
著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp


INDEX
第14回:ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護
  ゲートウェイサーバー層でネットワーク境界を保護するためのベストプラクティス
インバウンドトラフィックの設定
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ
第1回 電子メールのセキュリティと可用性
第2回 電子メールシステム強化の取り組み(前編)
第3回 電子メールシステム強化の取り組み(後編)
第4回 電子メール管理の重層的アプローチ
第5回 電子メールのセキュリティのポイント
第6回 電子メールのアーカイブ化と耐性基盤の構築
第7回 電子メールセキュリティの強化
第8回 電子メールのアーカイブ化
第9回 耐性システムを構築する
第10回 電子メールセキュリティと電子メールアーカイブソリューションのまとめ
第11回 迷惑メールの遮断
第12回 Symantec Mail Security for Exchangeの設定概要
第13回 Symantec Mail Security for Exchangeを設定する際の注意事項
第14回 ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護
第15回 電子メールのコンプライアンス
第16回 コンプライアンスにおけるITの役割

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