第5回:電子メールのセキュリティのポイント (2/2)

シマンテックイエローブック
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ

第5回:電子メールのセキュリティのポイント

著者:シマンテック   2007/2/22
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境界の保護

   さまざまな方法を使用して迷惑な電子メールを特定し、それらが電子メールユーザーやダウンストリームサーバー(高価なメッセージストアやデータアーカイブなど)に到達するのを防止できます。

   電子メールを媒介とする境界への脅威としては、主にウイルスとスパムの2つがあります。
ウイルス

   最も一般的なウイルスは大量メール送信型ワームです。このプログラムは、危殆化したシステムの電子メールアドレスリストを悪用して電子メールを自動的に生成し、そのペイロードの複製を他のユーザーやシステムに送り付けます。

   大量メール送信型ワームが生成する電子メールにはビジネス的な価値はないため、自動的に削除してもデータ消失のおそれはありません。通常、このようなコンテンツを自動的に除去する機能は「大量メール送信型ウイルス駆除」または「ワーム駆除」と呼ばれ、ウイルス対策ソリューションの重要な機能です。


スパム

   スパムは、スパムを隔離または検疫するプログラムを利用してメールストリームから削除できます。通常、スパム検疫は電子メールインフラストラクチャとは別のサーバーで行われ、迷惑なスパムはアクティブなメッセージストア(およびユーザーのメールボックス)から拡張や保守が容易な低価格のメディアに移動されます。

   スパム対策システムは100パーセントの精度を持たないため、検疫が必要です。ビジネスでは正当な電子メールが消失することがあってはならないため、ユーザーにはスパムと判定されたメッセージを確認する場所が必要になります。

   検疫するデータの量は、スパム対策システムの信頼性によって大幅に異なる可能性があります。スパム対策の信頼性の標準的な尺度では、検出率と誤認識(適正なメッセージが誤ってスパムとして識別されること)を関連付けて精度を出します。検出率と精度は相反する要素です。スパム対策技術の問題として、通常、高いスパム検出率は精度を犠牲にして達成され、高精度はスパム捕捉率を犠牲にして達成される点があります。

   最も高機能なスパム対策ソリューションでは、スパムを転送時に的確に除去できます。これにより、スパム検疫と確認にかかる負担が最小限に抑えられます。スパム対策オプションを評価するときは、各種手動ツールの組み合わせよりもさらに多くの機能を備えたソリューションを探すことが重要です。

   理想的なソリューションは、最新のスパム検出方式に基づく手法と高精度のスパム定義を備え、頻繁に更新される統合型レスポンスメカニズムです。境界保護ソリューションの供給形式について境界保護に関する重要な考慮事項として、ソリューションの供給形式の選択があります。利用できるリソースや専門技術は企業によって異なるため、どの形式を選ぶかは選好や利便性によって決まります。

   境界保護は次の供給形式で実装できます。

  • ソフトウェアベースのソリューション。ユーザーのハードウェアとオペレーティングシステムにアプリケーションソフトウェアをインストールする必要があります

  • アプライアンスベースのソリューション。アプリケーションソフトウェアは、ベンダーが管理しているオペレーティングシステムとハードウェアにプリインストールされています

  • ホストソリューション。ソフトウェアとシステムはホストプロバイダによってオフサイトに配置され、インターネット電子メールストリームはこの環境を通じてリダイレクトされ、スキャンされます

表2:境界保護を実装できる供給形式

   ソリューションの選択は、次の重要な基準に基づいて行います。

ソフトウェア
  • Windows、Solaris、Linuxなどの複数のオペレーティングシステムのサポートによる展開の柔軟性。これによって柔軟な展開や保守が行え、各地に特定のオペレーティングシステムの専門知識を持った担当者を置く必要がありません。
  • スパム対策、ウイルス対策保護、コンテンツフィルタ技術を組み合わせた高度な統合ソリューション。更新またはアップグレードを緊急に行う場合、独立したコンポーネントの数が少ないほど、互換性と可用性を簡単に維持できます。
  • 信頼できる単一のベンダーからのセキュリティ技術やレスポンスコンポーネントの提供。これにより、さまざまな製品ベンダー間での責任のなすり合いがなくなります。
アプライアンス
  • オペレーティングシステムの強化によるセキュリティ強化。オペレーティングシステムの不必要なサービスを削除しない場合には、無効にしてシステムの脆弱性を抑えます。
  • ハードウェアの交換には24時間対応するグローバルサポート契約を利用できます。
  • アプリケーションとオペレーティングシステムの自動更新が利用できます。
ホストソリューション
  • ストアアンドフォワード型のメール中継ではない、プロキシベースのスキャン。ホストプロバイダは、スパム検疫以外でメッセージを所有することはありません。これは送信サーバーと受信サーバーの間のプロキシとして動作し、メッセージの検査を完了するのに十分な時間が経過するまで接続状態を維持してから、トランザクションを終了します。

表3:ソリューションの選択の基準

   通常、1,000人を超える規模の企業では、独自の電子メールセキュリティインフラストラクチャを構築したほうがよいため、ここではホストソリューションについては検討しません。


社内の電子メールセキュリティ

   強固な境界保護を構築することに加えて、社内の電子メールトラフィックを検査する必要もあります。ウイルススキャンを実行することで、個人のWebベースの電子メール、リムーバブルメディア、古いウイルス定義ファイルが適用されているリモートラップトップなどから侵入したウイルスを検出する必要があります。

   また、最新のウイルス定義ファイルを使用して、メッセージストアで攻撃後のウイルス駆除を行うようにします。送信される電子メールにウイルスが含まれていないか、機密情報や不適切なコンテンツ、サイズが大きすぎるコンテンツが含まれていないかどうかを監視して、そのようなデータが社内のメールシステムから送信されるのを防ぐ必要があります。アウトバウンド電子メールのスキャンは、電子メールサーバーまたはゲートウェイ層で行うのが効果的です。

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株式会社シマンテック
著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp


INDEX
第5回:電子メールのセキュリティのポイント
  はじめに
境界の保護
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ
第1回 電子メールのセキュリティと可用性
第2回 電子メールシステム強化の取り組み(前編)
第3回 電子メールシステム強化の取り組み(後編)
第4回 電子メール管理の重層的アプローチ
第5回 電子メールのセキュリティのポイント
第6回 電子メールのアーカイブ化と耐性基盤の構築
第7回 電子メールセキュリティの強化
第8回 電子メールのアーカイブ化
第9回 耐性システムを構築する
第10回 電子メールセキュリティと電子メールアーカイブソリューションのまとめ
第11回 迷惑メールの遮断
第12回 Symantec Mail Security for Exchangeの設定概要
第13回 Symantec Mail Security for Exchangeを設定する際の注意事項
第14回 ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護
第15回 電子メールのコンプライアンス
第16回 コンプライアンスにおけるITの役割

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