第2回:シンクライアントの構造とセキュリティ対策 (2/3)

シンクライアント徹底入門
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第2回:シンクライアントの構造とセキュリティ対策

著者:サン・マイクロシステムズ   寺澤 慎祐   2006/10/12
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3. サーバ環境を選択できて、端末環境もある程度選択できる

   この分類の代表は、サン・マイクロシステムズ社のAIP(Adaptive Internet Protcol)クライアントです。AIPクライアントは、Windows、Solaris、Linuxなどをサポートしています。サーバ側の環境はSun Secure Global Desktop(以下、SGD)サーバというサーバソフトウェアが管理し、これは安定感のあるSolarisやHP-UX、Linux上で動作します。
※注1: SGDはもともとTarantella社の製品で、昨年サン・マイクロシステムズ社がTarantella社を買収したため、サン・マイクロシステムズ社の製品となっています。

   端末側の画面表示はどのようになるのでしょうか。Linux上のSGDサーバが端末に表示する画面は当然LinuxのGUIです。またSolaris上のSGDサーバが端末に表示する画面は当然SolarisのGUIになります。

   またSGDサーバはゲートウェイ的な役割も果たしています。SGDサーバからメインフレームやWindowsマルチユーザ環境、Mac環境にアクセスできますので、ユーザが見る端末にはメインフレームやWindows、Macの画面になります。

   SGDサーバが他の環境にエミュレーションしたり、Solarisが仮想的にOSを稼動することできれば、シンクライアント端末側にその画面を表示できるというわけです。つまり、SGDサーバが実現する環境は、「マルチサーバ環境:マルチクライアント環境」になります。

マルチサーバ環境:マルチクライアント環境
図4:マルチサーバ環境:マルチクライアント環境
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   またこれらの3つの種類は、いずれも画面転送方式です(他にも様々な方式がありますが、詳細については次回解説します)。

この端末でA社のアプリケーションは動きますか?

   よく端末を指して「この端末でA社のアプリケーションは動きますか?」という質問があります。答えは、端末は表示しているだけなので、この端末の中では動きません。

   シンクライアントシステムでは、あくまでもサーバ側で動いたものが画面情報としてネットワークを通じて端末に表示されるだけです。例えるならテレビ局とテレビの仕組みと一緒です。ニュースもお笑い番組もテレビの中でやっているわけではなく、テレビ局から配信している映像を写しているのと同じことなのです。

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サン・マイクロシステムズ  寺澤 慎祐
著者プロフィール
サン・マイクロシステムズ  寺澤 慎祐
1990年から、RDBMS、オブジェクト指向言語・開発・DB、デスクトップUNIX、シンクライアントなどの販売・マーケティングに従事し、2000年からEコマースアプリケーションの開発・マーケティング、Javaフレームワーク、コンポーネント再利用、開発方法論などを展開し、2004年にサン・マイクロシステムズへ入社。現在は政府官公庁の市場開発、セキュリティプロジェクト、ユーティリティコンピューティングプロジェクトなどに従事している。


INDEX
第2回:シンクライアントの構造とセキュリティ対策
  シンクライアントシステムの構造
3. サーバ環境を選択できて、端末環境もある程度選択できる
  シンクライアントシステムの利点
シンクライアント徹底入門
第1回 シンクライアントとは何か
第2回 シンクライアントの構造とセキュリティ対策
第3回 徹底比較!!シンクライアント
第4回 導入事例とシンクライアントの将来像

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