第3回:海外進出する日本のパッケージベンダ (2/3)

実践的ERP入門
ユーザ視点からの実践的ERP入門 〜 日本企業の文化に適したERPとは

第3回:海外進出する日本のパッケージベンダ
著者:システムインテグレータ   梅田 弘之   2006/8/10
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次世代ERPにおけるグローバルERP構想

   2002年の秋に、再びERPを作成する機会を得ました。そこでコンソーシアム方式で製品を作成するという新しいビジネスモデルを考え、この新製品のコンセプトに期待を寄せてくれる10社の資金を基に「GRANDIT」という完全WebベースのERPを開発しました。

「GRANDIT」による2つの課題解決

   すでに「ERP自身のWeb化」という課題を感じていたので、迷うことなくWebベースのプラットホームを選択しました。業務処理にWeb技術ということに抵抗感を示す意見もありましたが、15年前に同じ状況でC/Sを選択して成功した経験があるので、このチャレンジを認めてもらったのです。

   もう1つの「ERPを取り巻くWebシステムの出現」という課題に対しては、「グローバルERP」という新しい構想を考えました。現代のERPは基幹業務という狭い機能統合ではなく、「エンタープライズレベルで必要な機能をすべて統合して持つべきだ」という構想なのです。つまり、ERPを取り巻くいくつかのシステムのうち、ERPに必要な機能部分をすべて統合するというものなのです。

   その結果、「GRANDIT」は図2のようにいくつかのシステムが統合された形で標準装備されています。例えば、GRANDITにはBIを標準装備しているので業務を行うと自動的にBIを使った分析も可能になります。最初から一緒に設計しているので、情報系に流しやすいテーブル構造になっており、キューブに分析データが流れる処理も自動化されています。

グローバルERP「GRANDIT」の機能構成
図2:グローバルERP「GRANDIT」の機能構成

   またワークフローを実装しているので、「GRANDIT」で使う伝票はすべて電子承認にすることが可能です。外付けのワークフローと違って、最初から一緒に設計していますので、承認ルートの逐次指定が不要、未承認伝票が先工程に流れないなどの細かな制御もできてます。

   もちろん、ECにおいても顧客や商品/社員/組織などのマスタデータが一元管理されています。見積りや受注/出荷/在庫などのトランザクションデータの連携・統合も、理想的な形で実現できています。「GRANDIT」は次世代ERPと呼ばれていますが、それは単に完全Webベースだからではありません。次世代ERPと称されるのは、「グローバルERP」という新しい発想を積極的に取り入れた最初の製品だからなのです。

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株式会社システムインテグレータ 代表取締役  梅田 弘之
著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  代表取締役   梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経てシステムインテグレータを設立。前職で日本最初のERP「ProActive」を作ったノウハウをベースに、「Web Shopping」「Object Browser」「作って教材」などの自社ソフトを次々開発して、パッケージビジネスを展開。最近は「アプリケーションは日本の方が上」という信念のもと、完全Webベースの第3世代ERP「GRANDIT」の企画・開発を担当した。


INDEX
第3回:海外進出する日本のパッケージベンダ
  時系列で覚えるERP
次世代ERPにおけるグローバルERP構想
  複数企業の協調によるグローバルERP実現
ユーザ視点からの実践的ERP入門 〜 日本企業の文化に適したERPとは
第1回 ERPの概要と導入のポイント
第2回 アンバランスな業務とERPの関係
第3回 海外進出する日本のパッケージベンダ
第4回 「SOX法」に踊らされないために知っておくべき内部統制とERPの関係
第5回 ユーザができるリストを用いた自社の内部統制のチェック

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