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たかはしもとのぶの「はじめてのオープンソース」 |
第9回:ネットワーク関連ツールを使ってみたら...
著者:たかはしもとのぶ 2008/03/26
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ネットワーク管理ツールの変遷
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青井部長
Sunという会社では、かつて「The Network is the Computer」というキャッチフレーズを使っていましたね。これはSolarisだけでなく、UNIX全体にあてはまることだと思いますよ。MS-DOSや、Windows95以前のWindowsでは、ネットワークを利用するには、かなり手間がかかりましたね。UNIXなら、いとも簡単にできることが、何でこんなに大変なんだ?というくらいに、歴然たる差がありましたね。
もとのぶ先生
ちなみにOSSでいうと、ネットワーク機器のOSとしては、意外とBSD系のUNIXが用いられていることが多いね。BSD系のUNIXではBSDライセンスっていうライセンスを使ってるんだけど、このライセンスでは、改変したソースを公開する義務がないからこういう用途には使い易いんだね。
若宮さん
その当時、私はまだ学生でしたけど、研究室に置いてあるのは、BSD系の UNIXばかりでしたね。Linuxは、まだ、読み方すら定まっていなくて「ライナックス」だったり「リナックス」だったり、人それぞれの発音をしていましたよ。私も、FreeBSDをPC-9801に入れて、楽しんでいました(しみじみ)。あぁ、何もかもが懐かしい。
もとのぶ先生
もともと、ネットワーク系のツールはOSSなのが当り前でしたよねぇ。
さっき名前が挙がったものも、すべてGPLで配布されているし、WindowsやLinuxに搭載されているツールの多くもOSS発祥のものが多い。
森君
え、そうなんですか。
もとのぶ先生
例えばtracert、ping、netstatみたいなネットワークのトラブル解析ツールとかって元々はUNIXのコマンド由来だね。
Wiresharkもそうだけど、OSSのネットワークのトラブル解析はいろいろ揃ってるよ。
青井部長
「第14回:バッファオーバーフローとサーバ側のセキュリティ対策を考える」の中の「表1」にも、ツールが紹介されています。この表は、もとのぶ先生が愛用しているものが多そうに思いますが、気のせいでしょうか? あ、この表にあるEtherealは、今のWiresharkですよ。
森君
あ、そうなんですか?さっき、金子さんがWiresharkを研修でやったっていうけど、そんなの知らないなーって思っていました。名前が変わったんですね、なるほどー。
金子さん
えー、研修では、まだ「Ethereal」で教えてるのー!?若宮さん、そのくらいちゃんと直しておいてくださいよ。
若宮さん
すみませんでした、今度の新人研修までには間に合うように直しておきます。
森君
うーん、研修の時はあまりそう思わなかったけど、実際に使ってみると、監視ツールって、なかなか楽しそうですね。
外で試したら、変なパケットとか見つかっちゃったりしてー。もとのぶ先生のパソコンのパケットを取って、あんなこととか、こんなこととか、わかっちゃったりして、ぐふふふふー。
若宮さん
森君!それは犯罪ですっ、盗聴罪ですよっっっ!今回は、トラブル対応のため、実際に流れているパケットを監視したかもしれません。しかし、森君が言っている行為は、れっきとした犯罪です!
もとのぶ先生
そう、こうしたツールは、便利な反面、いくらでも悪用できるからね。今回だって、社内ネットワークを管理しているこのグループのメンバーだから、トラブル対応のために例外的にWiresharkの利用が認められているけど、それ以外の利用は社内では認められていない。
企業の場合、人事部門をはじめ、特定の人しか閲覧できないような重要なデータがネットワークでやりとりされているケースもある。そういう場合、最近はIPsecを使って暗号化して中身を保護するケースも多くなっている。この場合、パケットを盗み読みしたからといって、即中身がわかるわけではないけど、前回のセキュリティの話のときのように、「社内に悪意を持った人がいる」という前提で話を進めなければ、こういうツールはちょっと危険な場合もあるね。
森君
…、すみませんでした。ちょっと悪ふざけのつもりだったんですが、そういうレベルの話ではなかったんですね。
金子さん
あんた、すとーるまんさまの思想を受け継ぐWiresharkで悪いことしようってったって、そうはいかないわっ!すとーるまんさまにかわっておしおきよっ!
青井部長・もとのぶ先生・若宮さん・森君
わー、逃げろー!!!
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著者プロフィール
たかはしもとのぶ(高橋基信)
1970年生まれ。1993年早稲田大学第一文学部哲学科卒。同年NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社。
クライアント・サーバシステム全般に関する技術支援業務を長く勤める。UNIX・Windows等のプラットフォームやインターネットなどを中心とした技術支援業務を行なう中で、接点ともいうべきMicrosoftネットワークに関する造詣を深める。
現在は「日本Sambaユーザ会」スタッフなどを務め、オープンソース、Microsoft双方のコミュニティ活動に関わるとともに、各種雑誌への記事執筆や、講演などの活動を行なっている。
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