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Samba 4.0
Samba最新動向

第1回:次世代Samba 4.0系列の概要を知る

著者:たかはしもとのぶ   2007/8/2
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このほかの特徴

   ここまで解説しなかったSamba 4.0系列の主な特徴を列挙します。なおこれらは現時点での情報であり、今後変更されるかも知れません。

多くのパラメータの統廃合

   ドキュメントによると約270個ものパラメータが廃止予定となる一方、新しいパラメータも幾つか追加されています。


プロセスモデルの変更

   従来のSambaではsmbd/nmbd/winbindd/swatのように役割ごとにいくつかのプロセスが動作していましたが、Samba 4.0系列ではsmbdプロセスに統一され、smb_server(従来のsmbd)/nbt_server(従来のnmbd)/web_server(従来のSWAT)といった各種モジュールがプロセス内に存在する形態となります。


ADドメインサポートに必要なライブラリの低減

   従来のSambaではADドメインのサポートに必要なLDAPプロトコルはOpenLDAPのライブラリ、KerberosプロトコルのサポートはMITや HeimdalのKerberosライブラリを必要していました。Samba 4.0系列では、これらのプロトコルのサポートはSamba本体に取り込まれ、外部のライブラリを必要としない形になります。


パスワード格納形式の変更

   従来のsmbpasswdをはじめとする各種形式は廃止されて、ldbという独自のデータベースに一元化されます。ldbadd/ldbdel/ldbsearchといったldbデータベース操作用のコマンド一式がSambaに同梱されています。


レジストリのサポート

   Sambaサーバの設定の一部がWindows互換のレジストリ形式でサポートされるようです。regshell/regtreeといった関連コマンドがSambaに同梱されています。regshellの実行例をリスト3に示します。

リスト3:regshellの実行例
samba40:~/samba-4.0.0tp5/source# /usr/local/samba/bin/regshell
HKEY_LOCAL_MACHINE:> cd system ← cdコマンドでレジストリツリー内を移動
Current path is: system
(中略)
HKEY_LOCAL_MACHINE:system\currentcontrolset\Services\Netlogon> cd Parameters
Current path is: system\currentcontrolset\Services\Netlogon\Parameters
HKEY_LOCAL_MACHINE:system\currentcontrolset\Services\Netlogon\Parameters> ls
V "RefusePasswordChange" REG_DWORD 0 ←値の表示


今後の展望

   Samba Teamによると近々最初のアルファ版をリリースする予定となっています。どこまでの機能が実装されるのか、期待したいところではあります。

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たかはしもとのぶ
著者プロフィール
たかはしもとのぶ
1970年生まれ。1993年早稲田大学第一文学部哲学科卒。同年NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社。
クライアント・サーバシステム全般に関する技術支援業務を長く勤める。UNIX・Windows等のプラットフォームやインターネットなどを中心とした技術支援業務を行なう中で、接点ともいうべきMicrosoftネットワークに関する造詣を深める。
現在は「日本Sambaユーザ会」スタッフなどを務め、オープンソース、Microsoft双方のコミュニティ活動に関わるとともに、各種雑誌への記事執筆や、講演などの活動を行なっている。


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第1回:次世代Samba 4.0系列の概要を知る
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  ドメインコントローラのインストール方法
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