百度株式会社 (Baidu JAPAN) 取締役 舛田 淳氏
1977年生まれ。神奈川県出身。フリーランスのコンテンツプランナーとして活動。その後、政策シンクタンクへ研究員として参画する傍ら、事業戦略コンサルティングや新規事業開発などに従事する。2007年、Baidu(百度)の日本法人立ち上げにあたり、事業担当役員に就任。
エントランス
中国のBaidu本社のエントランス。
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Baidu全体では、4,000人を擁するグループとなっています。直近3年では、年に1000人ペースで増加しています。
日本においては、第一次体制として、バックオフィスとプロダクトのマネージメント、そしてマーケティングの拡充をはかります。開発チームに関しては、現時点では中国にスタッフをおいた形で展開していきます。もちろん日本市場に向けた開発という面での増強も予定しており、次のフェーズではモバイルといった日本が優れている部分で、開発チームの整備を検討することになるでしょう。
「外資の企業らしくない」といわれると思いますが、日本のBaiduでは日本語を公用語にし、さらに日本人、日本語の出来る人材の割合を9割まで高めようと考えています。これは、我々が考えるユーザフレンドリーという目標を実現するために重要なポイントです。
ユーザフレンドリーを考える場合、当然ローカルなものを積極的に取り入れて行く必要があります。つまり、人員に関してもローカライズする必要があるということです。日本で検索ポータルを提供するということは、もちろん日本語に敏感である必要があります。このため、公用語が中国語や英語であるよりも、日本語であったほうが社員の日本語に関する感覚というのが当然高くなるでしょう。
確かに職種によっては、中国語や英語をビジネスレベルであつかえる必要があるのでは? と思われるでしょう。しかし実際にはそんなことはありません。具体例をあげますと、今事業の推進やプロダクトのマネジメントをしている私自身が、中国語はできません。
ただし、業務の中で当然、中国語や英語を公用語としているスタッフと連携する必要があります。そのために社内にコミュニケーション支援室を設け、言語的に困らないよう形でのサポート体制を用意しています。
Baiduが日本に進出する前に、様々な企業を分析しました。その中で得た答えの1つが「ローカライズ」です。
我々はユーザの方を向いてサービスを提供するのだから、当然ユーザに近い場所に立つ人材は日本語を理解して、そして日本を理解する人であるべきです。これは、日本事業を進める上でその舵をとるのは日本法人であるべきだ、という姿勢にもあらわれています。
現在は国内外で同じチームとして進めていますが、今後は事業展開にあわせて権限が移譲される計画です。
社風として、まず「フラットである」ということが第1にあげられます。もともとロビン・リーはシリコンバレーの出身であり、そのイメージに近いものがあるのではないでしょうか。彼自身は今4,000人いるグループを束ねるトップの立場の人間ですが、どんな社員にでもメッセンジャーで会話をしてこようとしますし、セッティングされていない会議でもふらっと入ってきて発言をします。
一方で、仮にロビン・リーであっても、ものごとを1人で決めることはできません。面白いエピソードを1つ紹介します。ある日、ロビン・リーが新しいBaiduのサービスを思いつき、会議に提出しました。「これは1ユーザとしてよいものだと考えている」と一生懸命に提案したのですが、プロダクトの責任者は「自分がプロダクトの責任者だ。これはユーザフレンドリーではない。責任は自分がとる」といわれてしまったそうです。
このエピソードに代表されるように、どんな立場の人間であっても、率直に意見を交わし、話し合いの中で解決していくという文化がBaiduにはあります。
日本市場についても、中国側で「日本でも提供したい」と計画していたあるプロダクトがありました。しかし日本側から「これは、今のタイミングで入れるべきではないので、白紙に戻してください」と伝え、9割完成しているにも関わらず、一旦作業が止められています。
これらの点は、すべてユーザのことを大事にしていることから生まれるもので、トップダウンで進めず、ユーザが求めているものかどうかという視点をベースに、ボトムアップしていく形になっているのです。
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