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| 受注するか迷う案件への判断 | ||||||||||
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そうはいっても、納期まで残すところ2ヶ月あまりしかないこともあり、J氏は藁にもすがる気持ちで当社に声をかけてきたようです。 ただ、当社としても営業は計画的に行っており、無理なシステム開発案件を受注するわけにはいきません。また、信頼関係が構築しきれていない状況で取引をはじめてよいものかどうかを迷う部分が正直ありました。 というのも、営業の本質としては、競合他社と圧倒的に提供する商品の差別化がはかれる場合を除けば、顧客とのリレーションをはかる必要があるからです。自社と顧客との間に信頼関係という橋を構築した上でその橋を渡り、さらにその橋を強固にして取引をすることが重要だといえるでしょう。 それがわずか1回の訪問でその橋を構築できるわけがありません。ただ、今回は知人の紹介に近い形で知り合ったこと、そして、J氏の真剣なまなざしなどからJ氏の人物像が信用できると判断しました。加えて当社のエンジニアのアサイン状況が許すこともあり、協力することにしたのです。 作業の形態としては、当社でBコマースと窓口となるエンジニアを立て、当社でシステム開発を受託し、結合テスト以降はBコマース内で作業を行うことにしました。 ![]() 図2:プロジェクトのスケジュール |
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| プロジェクトの状況 | ||||||||||
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「いやぁ、凄いプロジェクト受注してきたねぇ」帰社後に話を切り出すなり、このプロジェクトを担当することとなったエンジニアが感嘆とも思えるような言葉を筆者に投げかけてきました。 当初より厳しいプロジェクトになることは予想していましたが、Bコマースの現場の担当者とミーティングを行うことでプロジェクトの全体像が明確になり、相当納期まで緊張感の強いられる状況であることが判明しました。 ただこのプロジェクトを成功させれば、Bコマースはこのプロジェクト以外にもECサイトの運営を行う予定が多数あり、それらを受注できる可能性があったのです。また、このプロジェクトを通してBコマースの事業内容を理解し、顕在化されていない隠れた課題の発見ができるかもしれないという期待をモチベーションアップの材料にしながら作業を進めようと話をまとめました。 ただエンジニアとの会話の中で、Bコマースの要請により今の段階でも仕様変更が頻繁に発生しているため、プロジェクトが前に進めない状況であるとの報告があり、やや不安を覚えました。そして、その不安は的中することになります。 作業がある程度進んだある日、J氏より筆者に電話がかかってきました。 「納期に間に合うのでしょうか。当社の現場担当者から御社の作業の進捗状況がよくないと聞いています」と、やや困惑気味に話を切り出してきました。エンジニアの報告を筆者も聞いて理解していたので慌てることなく、進捗が芳しくない事情を説明しました。そして、現状を打破する解決策について話し合うためのミーティングをJ氏に依頼しました。 |
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| あうんの呼吸での開発の問題点 | ||||||||||
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早速Bコマースを訪問し、下記の項目について話し合いました。
表1:開発遅延を打破するために提案したこと 「そうですか。当社のシステム構築では仕様がコロコロ変わるんですよ。御社は今回がはじめてだからそういったことはご存じないですよね」と、J氏よりため息混じりの回答がありました。今までBコマースが付き合っているシステム開発会社だと、Bコマース独特の開発方法の事情を知っているため、あうんの呼吸でそれを考慮しながらシステム開発をしていたようです。 Bコマースは、当社も今まで付き合いのある会社と同様にシステム構築の仕様が頻繁に変わるという事情を理解しているのだろうと思い、当社に特に説明をせず作業を進めていたようです。 当社の場合はBコマースの仕事をするのがはじめてであり、しかも開発期間も非常に短期間でした。お互いがその辺の事情を知らずに開発に携わっていることで、相互にコミュニケーションロスが発生していたようです。 そのような状況をJ氏は理解してくれました。ただ、仕様を決める方法についてはBコマース独自のものであり、Bコマースが成長していく上で大事なものであるため、その方法は変更できないとのことでした。しかし今回ははじめての仕事ということもあり、できる限り当初の納期は守って欲しいが、それが難しいようであれば再度納期を延ばすかどうかの話し合いをすることに同意してもらいました。 |
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