Tomcatと外部のプログラムを連携させよう!
なぜWebサーバと連携させるのか
これまではTomcatをスタンドアロンのWebサーバとして動作させてきました。最終回の今回はTomcatと他のWebサーバ(Apache)やデータベース(MySQL)との連携について解説します。
Tomcat単体でWebサーバとしての機能があるにもかかわらず、なぜ外部のWebサーバと連携させる必要があるのでしょうか。主な理由としては「パフォーマンス」「セキュリティ」「安定性」「設定の柔軟性」「拡張性」があげられます。
「第1回:Tomcatって何ですか?」でも触れたように、静的コンテンツの処理をJavaで書かれたサーブレットコンテナで行うことは効率的ではなく、パフォーマンスが悪くなってしまいます。
ApacheなどのWebサーバはTomcatより歴史の長く、その分セキュリティーホールの危険性も少ないためセキュリティの面でTomcatよりも信頼性が高いのです。同様にApacheはWebサーバとしての安定性もTomcatより優れています。
また、ApacheはWebサーバとして、Tomcatよりも豊富な設定項目を持っており、設定の柔軟性が高いです。さらにApacheには機能を追加できる豊富なモジュールが用意されており、拡張性も高いのです。このような理由から、外部のWebサーバと連携が必要なのです。では早速Tomcat とApacheを連携させてみましょう。
AJPコネクタでApacheとTomcatを接続する
TomcatにはデフォルトでWebサーバと相互にやり取りを行うAJPコネクタが搭載されています。また、最新のApache 2.2系にはAJPプロトコル通信を可能にするmod_proxy_ajpモジュールがあり、これにより相互通信が可能になります(Apache2.0以 前はmod_jkモジュールを利用)。
今回はApacheのインストール方法については割愛します。Apacheインストールの詳細については、連載の「いまさら聞けないApache〜Webサーバ構築のキソ」を参照してください。
Linuxのパッケージ管理システムyumやWidowsインストーラでインストールした場合はmod_proxy_ajpモジュールがデフォルトで搭載されています。ソースからビルドする場合は「# ./configure--enable-proxy--enable-proxy-ajp」のようにオプションをつけてコンパイルすることで、mod_proxy_ajpモジュールが利用可能となります。
Apacheからサンプルアプリケーションにアクセスする
今回は「第6回:TomcatにWebアプリケーションを配備する」で追加したHello WorldアプリケーションをApacheから呼び出せるようにしてみましょう。以降では、Apacheのインストール先をAPACHE_HOME、Tomcatインストール先をCATALINA_HOMEとして記述します。
まず、APACHE_HOME\conf\extra\ディレクトリにリスト1の内容でAJP用の.confファイルを作成します(リスト1)。 ajp://localhost:8009/がTomcatのWeb公開ディレクトリ(CATALINA_HOME/webapps)をあらわします。こ の場合、http://ホスト名/helloworld/以下にアクセスがあればCATALINA_HOME/webapps/helloworld/以下を呼び出すことを意味します。今回はhttpd-helloworld.confと名前をつけて保存しました。
次に、APACHE_HOME\conf\httpd.confをエディタで開きproxy_moduleとproxy_ajp_moduleを読 み込ませるため、99,100行目にあるリスト2のコメントアウト用の「#」を外します(行数はApacheのバージョン、インストール方法によって異なる場合があります)。また、ソースからビルドした場合はhttpd.confにリスト2を追加してください。
また、リスト3の行を追加して先ほど作成したhttpd-helloworld.confファイルを読み込ませます。
最後にTomcatの8080ポートを停止します。これによりTomcatへの直接アクセスを禁じ、Apacheを介してのみ接続が可能になりま す。8080ポートを停止させるには、CATALINA_HOME/conf/server.xml中のコネクタ定義をコメントアウトします(リスト 4)。
以上で設定は完了です。TomcatとApacheを起動し、
「http://localhost/helloworld/hello」にアクセスしてHelloWorldが表示されれば、AJPコネクタが正常に動作しています。