![]() |
||||
|
||||
| HITACHI Open Middleware World 2006 Autumn「経営戦略をすばやく実現する次世代IT基盤とは」が開催 | ||||
|
2006年11月22日、日立製作所はホテルオークラ東京において、HITACHI Open Middleware World 2006 Autumnを開催した。 IT産業での日本の競争力が低下しているといわれる昨今、経営戦略の変化にあわせたIT基盤の確立が求められている。そこには、SOAシステムやシステム全体の最適な運用、IT統制といった課題があるのだという。ここでは「HITACHI Open Middleware World 2006 Autumn」で講演された各セッションの詳細を追っていく。 まず基調講演に先立って、日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長の中村 孝男氏が今回のイベントにおいて重要となるテーマを次のように語った。 「企業を取り巻く環境が大きく変化している現在、コモディティ化が進むと共に付加価値のあるサービスが求められるようになりました。J-SOX法や個人情報保護といった社会的な要請もあり、技術的な発展も必要となっています」とIT業界について求められている要件について話した。 ![]() 日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長 中村 孝男氏 中でも大きな3つの柱となっているのが「環境変化への対応」と「TCOの削減」「内部統制の整備」だという。今回のHITACHI Open Middleware World 2006 Autumnは、それぞれのテーマについてセッションを設け、実際の課題にどのように対処していくかや、実際に利用できる製品群などについて多面的に紹介していくと締めくくった。 |
||||
| 日本のソフトウェア産業が世界一になる条件 〜国際競争力の比較分析〜 | ||||
|
続いて「日本のソフトウェア産業が世界一になる条件 〜国際競争力の比較分析〜」と題し、早稲田大学 大学院 国際情報通信研究会 教授であり、国際CIO学会の会長も勤める小尾 敏夫氏による基調講演が行われた。 ![]() 早稲田大学 大学院 国際情報通信研究会 教授 小尾 敏夫氏 「現在様々な調査において、日本のIT産業の国際競争力を比較した場合、日本の順位は決して低いわけではない。しかし、技術力から見た場合には必ずしも高い位置にいるわけではない。競争力という点ではスイスやフィンランドといった小さな国が日本よりも上位に入っており、これは小さな国の方が産業の面で効率が良い傾向にあるためだ」と小尾氏は現状を分析する。 この調査方法自体がアメリカ的なものさしで判断されたもので、アジアの企業文化が評価されていない点について疑問を呈しながらも、グローバルな視点から考えた場合には、やはり国の規模に対して低い競争力にとどまっている状態だという。 ![]() 日本経済研究センターによる潜在競争力ランキングの推移 この点について小尾氏は、日本は中途半端に市場が大きいため、国内市場に固執する恐れがあるという。日本の場合、国内に同じ製品を作る企業が10社以上もあり、それらが日本の中でシェアを争っている。しかし海外に目を向けた場合、それぞれの国において製品ごとに主要な企業が1つあるいは2つ思い浮かぶだけだという。 「現在地球全体のマーケットに対して、日本国内のマーケットは1割程度となっている。残り9割の市場で製品が売れるようになるためには、グローバルスタンダードを目指す必要がある。すでにゲームやアニメといった分野では日本のコンテンツがスタンダードになっており、これが大きなヒントになるだろう」と強調した。 |
||||
| BRICsシフトにどのように対処していくか | ||||
|
一方でソフトウェア市場において、現在ブラジルとロシア、インド、中国の4ヶ国、いわゆる「BRICs」が台頭してきている。さらに韓国も追い上げを見せており、これまで日本が築いてきたマーケットが奪われつつあると小尾氏は語った。 ![]() 現在の日本のIT産業の問題点と課題 「低コストな製品に対しては高付加価値な製品によって対処していくべきだが、日本は技術力はあっても渉外力がない。国際的な標準化機関との間にネットワークを持ち、日本で作ったものがグローバルスタンダードとして世界市場で売れる仕組みを作らなくてはいけない」と今後の課題について述べた。 しかし、IT産業は実質GDP成長の4割を占めているにも関わらず、人材供給の面で不安があるという。IT産業は長時間労働というイメージがあり、志望者が不足しはじめている。またソフトウェアは可視化しづらい知識や技術の集合体であり、いかに継承していくかといった面も問題となっている。 ![]() 今後必要とされる対策 「ソフトウェア分野での競争力を高めるには官民が一体となっての取り組みが必要だ」と小尾氏は断言する。ソフトウェア産業の育成にはまず政府が危機感を持ち、積極的な支援が欠かせないと述べ、「すばらしい演奏者が揃ったオーケストラでも指揮者によって良くも悪くもなってしまう。国が直接プロジェクトを推進するのではなく、民間のプロジェクトに対して国家が積極的な支援を行うべきだ」と締めくくった。 (ThinkIT編集局 千本松 歩)
|





