クライアント型SOAによる官公庁電子申請システム
クライアント型SOAによって広がる官公庁/BtoCソリューションの世界
ここで一般利用者をターゲットにしている、官公庁とBtoCビジネスにおけるWebサービス連携システムついて紹介します。このソリューションの優位点は「入力の簡便化」「複数サーバへの一括アクセス」であるため、有効な適用範囲は一般利用者の生活や職務に密接に関係した、日常的な利用頻度が高い分野になります。
クライアント型SOAによる官公庁電子申請ソリューションとして、「現状」「システム要件」「システムイメージ」「採用メリット」について解説します。
現状と解決策
各官公庁ではe-Japan構想もあって、多くの電子申請のソリューションが導入されています。基本的には、利用者は官公庁が提供するWebサービスにログインしたり、必要な申請書のファイルをダウンロードして入力・申請をしています。
官公庁に赴くことなく申請行為を楽にできるようになりましたが、申請のたびに入力の手間が発生するため、入力の煩わしさが残ります。さらに官公庁には申請書に記載する用語の使用規定があるため、申請書の修正などが発生しやすく、審査窓口業務の煩雑化につながっています。
そこで、官公庁では電子申請システムによるクライアント型SOA(リッチクライアント)の採用検討がはじまりつつあります。クライアント型SOAによる電子申請システムにより、複数の窓口業務の処理連携や、反復入力の回避や入力支援を実現し、現状の申請作業・窓口業務の煩雑さの回避を目指しています。
システム要件
システム要件において特筆すべきは、マイノリティ(少数派)への対応です。ブロードバンドが主流の現在においても、ナローバンドの利用者も確実に存在しています。またWindowsクライアントがかなりのシェアを持ちつつも、MacintoshクライアントやLinuxクライアントも確実に存在しています。官公庁という性質上、マイノリティを無視したシステム構築は難しいといえるでしょう。
もう1つ特筆するとすれば、汎用技術によるシステム構築が必要です。これは官公庁のシステム耐用年数が民間企業ユースと比較して長期になっているからであり、一般的には10年耐用年数が求められています。10年後もメンテナンスできる技術/10年後も使用できる技術によるシステム構築が必要になります。よって、個別のベンダーに依存した独自技術は採用されにくいということになります(図3)。