クライアント型SOAによる官公庁電子申請システム

2005年12月19日(月)
吉政 忠志

クライアント型SOAによって広がる官公庁/BtoCソリューションの世界

ここで一般利用者をターゲットにしている、官公庁とBtoCビジネスにおけるWebサービス連携システムついて紹介します。このソリューションの優位点は「入力の簡便化」「複数サーバへの一括アクセス」であるため、有効な適用範囲は一般利用者の生活や職務に密接に関係した、日常的な利用頻度が高い分野になります。

クライアント型SOAによる官公庁電子申請ソリューションとして、「現状」「システム要件」「システムイメージ」「採用メリット」について解説します。
 

現状と解決策

各官公庁ではe-Japan構想もあって、多くの電子申請のソリューションが導入されています。基本的には、利用者は官公庁が提供するWebサービスにログインしたり、必要な申請書のファイルをダウンロードして入力・申請をしています。

官公庁に赴くことなく申請行為を楽にできるようになりましたが、申請のたびに入力の手間が発生するため、入力の煩わしさが残ります。さらに官公庁には申請書に記載する用語の使用規定があるため、申請書の修正などが発生しやすく、審査窓口業務の煩雑化につながっています。

そこで、官公庁では電子申請システムによるクライアント型SOA(リッチクライアント)の採用検討がはじまりつつあります。クライアント型SOAによる電子申請システムにより、複数の窓口業務の処理連携や、反復入力の回避や入力支援を実現し、現状の申請作業・窓口業務の煩雑さの回避を目指しています。

 

システム要件

システム要件において特筆すべきは、マイノリティ(少数派)への対応です。ブロードバンドが主流の現在においても、ナローバンドの利用者も確実に存在しています。またWindowsクライアントがかなりのシェアを持ちつつも、MacintoshクライアントやLinuxクライアントも確実に存在しています。官公庁という性質上、マイノリティを無視したシステム構築は難しいといえるでしょう。

もう1つ特筆するとすれば、汎用技術によるシステム構築が必要です。これは官公庁のシステム耐用年数が民間企業ユースと比較して長期になっているからであり、一般的には10年耐用年数が求められています。10年後もメンテナンスできる技術/10年後も使用できる技術によるシステム構築が必要になります。よって、個別のベンダーに依存した独自技術は採用されにくいということになります(図3)。
 

官公庁のシステム要件
図3:官公庁のシステム要件
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
吉政創成株式会社 代表取締役

IT業界のマーケティング分野で20年近い経験を持つマーケッター。株式会社トゥービーソフトジャパンをはじめとするベンチャー企業から大手企業まで幅広くマーケティング支援を行う。現在はマーケティングアウトソーシング会社である吉政創成株式会社の代表取締役を務めつつ、PHP技術者認定機構 理事長、Rails技術者認定試験運営委員会 委員長、ビジネスOSSコンソーシアム・ジャパン 理事長も兼任。

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