新しいSOAの実装方法「クライアント型SOA」のすすめ 6

SOAの目標

SOAの目標

SOAの手法を取り入れていくとしても、できる範囲から行っていくのはとても重要です。漠然とSOAのよさがわかっていても、実行するためにはコストの問題や時間の問題などの障害がでてくるからです。

だからこそ、今「プチSOA」が巷をにぎわせているのです。もちろん「プチSOA」を採用してシステムを構築していったとしても、つぎはぎになっていては本末転倒になってしまいます。

サービス単位のシステムの1つ1つを確立したシステムとして連携させなければ意味がないのです。
 

プチSOAによるシステムの確立
図2:プチSOAによるシステムの確立
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

今までのシステムは補強を中心に作っていましたが、これからは連携を考えた柔軟なシステム構築が重要になってくるはずです。

ここで考えていただきたいのは補強と連携では大きく違うということです。補強とは追加・改良箇所の1部のためだけに付け足すものです。

連携とは、様々なロケーションでそれをいかしていくということです。1つ1つのサービスを確立させて連携を取るというのが1つのキーポイントです。個々のサービスの連携を密に取りつつも、サービス同士の結合がなくても動作できるというSOAのメリットを最大限にいかすことができ、かつスモールスタートになるのです。

 

スモールスタートの有効性

「プチSOA」に代表されるスモールスタートのメリットは初期投資が少なくて済むことです。初期投資とはコスト的な面ももちろんそうですが、時間という面でも同様でしょう。

大規模システムの構築には莫大な費用が発生します。また、様々な連携もすべて一度に盛り込むため、すべてが完成するまでには多くの時間を費やすことになります。

場合によっては連携先のシステムができるまでの待機工数などが発生してしまうでしょう。待機工数のような無駄なコストが加算され、さらに予算の圧迫を促すことになってしまうのです。

ところが、スモールスタートを意識したシステム構築に変更していくことで、少ない金額からはじめることができるため、稟議や開発もスムーズに終わります。しかも、小さなシステムなので全精力をそこに向けることでかなり洗練されたものができ、また開発期間も短くなるので待機工数といった無駄なものが削られていくでしょう。

無駄な時間が削られればそれだけ運用も早く開始することができるようになります。そうれば、開発する側も運用する側も集中して製作、テストなど行っていくことができるため、非常にバグの少ない有効なシステムが構築できるはずです。

つまり、時間的に早く(クイック)小さな(スモール)初期投資を心がけていくのがこれからのシステム構築の有効な手段であるといえます。しかし、クイック&スモールスタートのみを求めていたのでは本当に必要なシステムは構築できません。

クイック&スモールスタートを実現するためにはその後のサポート、追加開発がスムーズに運ばなければなりません。つまり前述の連携という部分が非常に重要な意味を持っているということです。

 

SOA実現への第一歩

では、実際にどのようなものがあったらSOAを確立できるのでしょうか。その確立で一番重要なことはサービス同士が連携する部分です。連携の重要性は先に述べた通りですが、では連携を行うためにそのつなぎ役となる部分を毎回開発していたのでは、今までのつぎはぎのシステムと変わりありません。

その連携を果たしてくれるような基盤となるミドルウェアを見つけることができれば、そのミドルウェアを使用しているシステム同士はまったく違うシステム同士でも連携ができ、既存のシステム資産を使用することができるので自社で連係部分を一から開発するより開発費の節約になる機会も増えてくるのです。

こう考えていくと、今までは1つのシステム内だけのプログラムの再利用と思っていたものが、1システム内という枠をはずした一段大きな枠付けでプログラムの再利用ができてくるのではないでしょうか。
 

有効なミドルウェアによるサービスの連携
図3:有効なミドルウェアによるサービスの連携
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

有効なミドルウェアによって連携を自由に行うことができるようになりさえすれば、自然とクイック&スモールスタートが実現できるのです。このことから、何が必要なのかを見つめなおし、ミドルウェアの選択をすることが1つの重要なポイントになります。

逆にいうとそれを見つけることは、システムの追加・改良にかかるコストや時間の削減につながっていくということになります。その上、1回の投資金額が少なくなれば、それにかかるはずだった資金を次回の投資にまわすことができるようになります。

次回にまわすことにより、より時代の流れに則したシステムをそのときそのときで構築していくことが可能になるということにもつながるので、客観的に見てもとてもバランスのいい強固なシステムになっているはずです。

 

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