実践!ビジネス・プロセス・インテグレーション 4

他システムとの連携の追加

前回よりI社とT社にシェアを奪われつつあったO社ではあったが、インターネットを通しての関連商品の販売は一定の成果をあげることができた。わずかではあるがシェアは上昇に転じ、客の評判も上々であった。インターネットでも「原木一枚板を中心にトータルコーディネイトを提案する」ということを実現し、I社やT社と

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2006年3月8日 20:00

前回より

I社とT社にシェアを奪われつつあったO社ではあったが、インターネットを通しての関連商品の販売は一定の成果をあげることができた。わずかではあるがシェアは上昇に転じ、客の評判も上々であった。インターネットでも「原木一枚板を中心にトータルコーディネイトを提案する」ということを実現し、I社やT社との違いを明確にするという狙いは、間違っていなかったとO社の経営陣は判断した。

しかし、このまま静観できるような状況ではないことは明らかだった。

まずI社とT社が、さらなる値下げや同じように関連商品を一緒に売り出すなどの何かしらの対抗手段を取ってくることは目に見えている。再びシェアを奪われていく状況に転じてしまうかもしれない。

次に、インターネット販売での客への対応を考えると、店舗で店員が客にするようなきめ細かい対応ができていない。店舗では、お得意様に対して決まった店員が、今までに購入した商品や好みを把握して対応している。

購入した商品が客先に納入されるまでの問い合わせや、その後のアフターサービスの対応まで、店員が対応しているのである。こういった店舗での客への対応は、明文化された作業でもシステム化された作業でもなかった。先輩の店員から後輩の店員にノウハウやお得意様の情報が引き継がれてきたものである。

しかしO社の経営陣としては、インターネット販売でも「原木一枚板を中心にトータルコーディネイトを提案する」ということの実現をさらに推し進めるという方向に異論があるものはいなかった。

具体的には、インターネット販売における1つ1つの注文取引の情報を顧客ごとにまとめて管理し、マーケティングや客の対応に利用するためにCRMシステムを導入することを決定した。また、CRMシステムは費用とスピードの観点からゼロから作るのではなくCRMのパッケージソフトを使うこととした。

CRMシステムをいかし、インターネット販売でも既存店舗と同じようなトータルコーディネイトの提案やインターネットの特徴をいかしたキャンペーンの実施などを行う。顧客満足度をあげ、売上を伸ばし、最終的には厳しい競争の中、回復しつつあるシェアを維持するのが目的である。

O社のネット注文システム用ビジネスプロセスの修正案

では、前項のシナリオを実現するためには、これまで紹介したネット注文処理用ビジネスプロセス(「第3回:ビジネスフローの修正」を参照)に対してどのような変更を行えばいいのかを考えてみよう。

今回新しくCRMシステムを導入する目的は、O社のお客様の注文に関する情報を集め、後で顧客ごとの注文の傾向分析を行ったり、満足度の調査や満足度向上のために原因分析して、次の注文に繋がるようにキャンペーンを行ったりするためである。

そのためには、お客様がネット注文を行った時、お客様の注文情報や、その時点での注文処理状況(ステータス)や注文処理にかかった時間などの情報をCRMシステムに自動的に登録する必要がある。

つまり注文情報は、お客様ごとの嗜好や購買傾向の分析を行うために必要であり、お客様の満足度を向上するために、お客様から注文の処理状況がどうなっているのか問い合わせがあった場合、即座にCRMシステムの画面を通じてオペレーターが現在の注文のステータスの検索を行ない、お答えできることが必 要である。

また、注文処理にかかった時間も情報として保存することで、問い合わせを貰う前からフォローすることが可能なり、顧客満足度につなげることが可能になる。

以上を踏まえて、O社のネット注文処理用ビジネスプロセスの変更をしてみよう。

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