RTCを組み合わせてロボットを作ろう
RTCを使えばロボット開発もスムーズ
いよいよこの連載も最後となりました。これまではロボットの部品を制御するソフトウエアの単位として、RTコンポーネント(RTC)の開発を説明してきました。
最終回となる今回は、本連載でこれまで開発したRTCを使って、1体のロボットを作ってみたいと思います。
これまでの話題は、RTミドルウエアを使ってRTCを提供する側の話であり、パーツやソフトウエアのベンダー側の話です。
今回はベンダーから提供されたRTCを使って、アプリケーション(ロボット) を開発する側、つまりパーツベンダーから見たコンシューマ側の話をしていきます。RTCが提供されていることでいかにロボット開発がスムーズに進むのか、体験していただきましょう。
では、今回作成するロボットの仕様を以下のとおり定めます。
1)頭部にカメラを搭載している。
2)首に自由度(モータ)を持ち、水平方向に首を振ることができる。
3)明るい色の物体が視界に入ると「こんにちは」と発話する。
4)カメラを搭載し、明るい色の物体に反応して首を振る。
以上を踏まえて、ロボットのRTシステムを図1-1のように定めます。まずUSBCameraAcquireで取得された画像が、Binarize(第2回:http://thinkit.jp/article/953/1/)で画像処理され、明るさ2値化で抽出された物体の画像領域内(320x240)での重心位置(x, y)で出力されます。
これをメインRTC(今回)で処理し、初めて領域内に物体が現れた場合は、AquesTalkVoice(第3回:http://thinkit.jp/article/956/1/)に文字列を送信し、物体の画像領域の中心(160, 120)からの左右のずれに比例した値を、iMCs04Control(第4回:http://thinkit.jp/article/963/1/)に送信し、物体を追いかけるように首振りを行います。
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タグ | 項目1 | 項目2 | 設定値 | |
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基本 | RT-Component Basic Profile | Module name | RobotMain | |
Module vendor | あなたの名前 | |||
Execution Rate | 10 | |||
Output Project | RobotMainCompProj | |||
データポート | RT-Component Data InPort Profile (Addボタンで入力ポートを追加) |
Port Name | in | |
Data Type | TimedDoubleSeq | |||
Var Name | in | |||
Disp. Position | left | |||
RT-Component Data OutPort Profile (Addボタンで入力ポートを追加) |
(1) | Port Name | string Out | |
Data Type | TimedString | |||
Var name | string Out | |||
Disp.Position | right | |||
(2) | Port Name | motorOut | ||
Data Type | TimedFloat | |||
Var Name | motorOut | |||
Disp.Position | right | |||
言語・環境 | C++ | OS | Windows |
図1-2:RTC Builderのパラメータ
メインRTCによるRTシステム制御
今回は、ロボットのシステム全体を統御するコンポーネントを作成します。
メインRTCは、ロボットのそれぞれの機能単位から情報を受け取り、発話や動作のタイミングを制御します。したがってメインRTCは、これまで開発して きたRTCとの接続性を守る必要があるため、自動的にメインRTCが持つデータポートの仕様が決定します。
RTC Builderに渡すメインRTCの設計パラメータを図1-2に示します。
入力ポートは、画像処理RTCから受け取る物体の重心位置座標(TimedDoubleSeq型)です。
出力ポートは2つあり、ひとつは音声合成RTCに送信する文字列(TimedString型)。もうひとつはモータ制御RTCに送信する角度指令値 (TimedFloat型)です。
RTC Builderでスケルトンを生成した後に、copyprops.batを実行してOpenRTM-aistのプロパティシートを用意します。また、 rtc.confにネームサーバーの設定として「corba.nameservers:localhost」を追加します。詳しくは前回までの記事を参考 にしてください。
今回は特別なライブラリを必要としません。