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仮想化環境のネットワーク構成とストレージ設計

2011年2月15日(火)
宮原 徹(みやはら とおる)

ストレージの選定

ストレージの選定は、CPUやメモリー以上に仮想マシンの性能を左右する。このため、必要となるストレージの種類を見極めることが重要となる。選定のポイントをいくつか挙げておこう。

どのようなストレージが必要か

ストレージは選択肢が広いが、選択のポイントは、ある程度絞ることができる。

かけられるコストはどの程度か

まず初めに予算ありき。ストレージにかけられる予算がどの程度か、ある程度の目星をつけておく必要がある。

容量はどの程度必要か

将来的な容量増加は置いておき、導入から半年から1年でどの程度の容量が必要になるのかを事前に算定しておく。

速度はどの程度必要か

トランザクションを高速に処理する必要があるデータベースは、仮想マシン上で動作させない方がよい。こうした極端な性能要求があるシステムを除外した場合に、それでも高速で高価なストレージが必要なのかどうかを検討する。

耐障害性はどの程度必要か

深刻なストレージ障害は、システム停止やデータ消失につながる。重要なデータをどの程度保護する必要があるのかを見定める必要がある。この上で、要求レベルを、例えば「何時間は停止してもよい」など、目に見える数値などで表現しておく。

高速ストレージが必要な場合

要件を吟味した結果、高速なストレージが必要となった場合は、従来のハード・ディスク(HDD)ではなく、SSDの利用を検討する必要がある。HDDはその性質上、常にディスクの回転待ちが発生する。これに対して、SSDはランダムなダイレクト・アクセスが可能なので、細かいデータの読み書きが必要となるデータベースなどに向いている。SSDを使ったストレージの実績はまだ少ないが、今後はSSDベースのストレージがより多くなると考えられる。

低速なストレージでも大丈夫な場合

HDDベースの低速なストレージでもよいのであれば、iSCSIストレージやNFSベースのNASなど、選択肢は幅広い。ただし、あまり低価格なものになると容量拡張に制限がかかるので、将来的に容量が不足した場合に別途買い増しになることが前提になる。

ローカル接続も上手に活用

「仮想化環境=共有ストレージ」と考えられがちだが、性能が要求される場合には、ローカル接続のストレージも有効である。

FC接続やiSCSIの共有SANストレージやNASストレージといった共有型ストレージのメリットは、ライブ・マイグレーションやフェール・オーバーといった機能が利用できる点である。ただし、接続経路の帯域が性能に影響を及ぼすので、大量のデータの読み書きは難しく、実現にはコストが高くつく。

ローカル接続の場合は、ライブ・マイグレーションやフェール・オーバーが利用できなくなるが、仮想マシンとの接続経路がシンプルなため、共有型ストレージよりも性能を追求しやすい。ストレージとしてSSDを使用すれば、かなり高速なシステムも構築可能となる。

システム全体から見て一部分だけストレージ性能が要求されるような場合には、部分的にローカル・ストレージを使用するのも、上手な仮想化環境設計のテクニックである。

ネットワークやストレージは、仮想化環境に大きな影響を及ぼす重要なファクタとなる。このため、事前の検証が重要となる。次回は、この事前検証のやり方と運用管理について解説する。

著者
宮原 徹(みやはら とおる)
日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長兼CEO

日本オラクルでLinux版Oracleのマーケティングに従事後、2001年に(株)びぎねっとを設立し、Linuxをはじめとするオープンソースの普及活動を積極的に行い、IPA「2008年度 OSS貢献者賞」を受賞。2006年に日本仮想化技術(株)を設立し、仮想化技術に関する情報発信とコンサルティングを行う。現在は主にエンタープライズ分野におけるプライベートクラウド構築や自動化、CI/CDなどの活用について調査・研究を行っている。

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