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vSANのアーキテクチャーと機能概要

2017年5月31日(水)
蒋 祺彦(しょう きげん)
VMware社のSDSであるvSANのアーキテクチャーと機能の概要を紹介する。

vSANのアーキテクチャーと機能概要

前回は「VMwareのSDSであるVMware vSANの概要」と題し、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)とvSANの関係性やライセンス体系をご紹介させていただきました。今回は、vSANのアーキテクチャーといくつかの機能概要についてご紹介していきたいと思います。

VMware vSANのアーキテクチャー

まずは実際にvSANのアーキテクチャーについて見ていきましょう。vSANは大雑把に言ってしまえば「複数のサーバの内蔵ディスクを用いて、仮想的なストレージを構成する」技術です。なお、vSANはESXi(ハイパーバイザー)に組み込まれています。そのため、vSAN用の仮想マシンの構築は必要ありません。

vSANの構成図

vSANの構成図

vSANに必要な構成をサーバ、ディスク、ネットワークの3つに分けて見ていきましょう。

サーバ

サーバは最低でも3台必要となりますが、VMware社の推奨では4台となっています。CPUはオーバーヘッドが約10%かかりますので、その分は注意しておく必要があります。またメモリは、最多のディスク本数(1サーバあたり40本)の構成では32GB以上となっています。RAIDコントローラはVMware社により認定されたRAIDコントローラを利用する必要があります。認定されているRAIDコントローラは、以下のVMware Compatibility Guideで確認することができます。

VMware Compatibility Guide

ディスク

vSANでは、キャッシュを扱う「キャッシュディスク」とデータを格納する「キャパシティディスク」を用意する必要があります。キャッシュディスクは、SAS/SATA、PCI Express、NVMeといったインターフェースのフラッシュデバイス(SSD)である必要がありますが、キャパシティディスクは従来のSAS/SATAのHDDでも可能です。キャパシティディスクもSSDにした場合は「オールフラッシュ構成」、HDDとした場合は「ハイブリッド構成」と呼ばれます。

オールフラッシュ構成とハイブリッド構成

オールフラッシュ構成とハイブリッド構成

キャッシュディスクの性能がvSAN自体の性能に大きく寄与するため、環境にあったディスクを選定するとよいでしょう。なお、キャッシュディスクは「Virtual SAN Hardware Quick Reference Guide」に沿って選定することをお勧めいたします。

Virtual SAN Hardware Quick Reference Guide

またキャッシュディスクの容量は、最低でもキャパシティディスクの10%ほどの容量を持つように構成します。キャッシュディスクとキャパシティディスクを合わせたものを「ディスクグループ」という名前で呼びます。1つのディスクグループは、1つのキャッシュディスクと最大7つのキャパシティディスクで構成できます。また1つのノードは、最大5個のディスクグループを構成することができます。

ディスクについても、RAIDコントローラ同様認定されている製品を利用する必要があり、前述のVMware Compatibility Guideより確認できます。

ネットワーク

vSANで利用するネットワークは、オールフラッシュ構成の場合は10ギガビット・イーサネット(10GbE)が必須となります。ハイブリッドの場合は10GbEもしくはギガビット・イーサネット(GbE)のいずれかを利用可能ですが、個人的には10GbEを強くお勧めいたします。vSANはリビルド処理や、メンテナンスモード時のデータ移動などの際に、大量のデータが流れるため、GbEではボトルネックになってしまう可能性があるからです。ハイブリッド構成でGbEを選択する場合は、vSAN専用で用意する必要があります。

SSD、HDD、RAIDコントローラの種類を個別に検討しながらvSANを組み立てていくことも可能ですが、骨が折れる作業です。そこでVMware社では「vSAN Ready Node」というプログラムを用意しており、あらかじめvSAN用に構成された各社製のノードを参照できます。

また、質問に答えていくだけでvSAN Ready Nodeを選定してくれる以下のようなサイトも用意されています。

vSAN Ready Nodes

vSAN Reday Nodesの実行例

vSAN Reday Nodesの実行例

VMware vSANが持つ特徴・機能

続いてvSANがもつ特徴・機能面を見ていきましょう。ここでは、以下の5つの特徴・機能面を説明していきます。

  • ① 簡単な構築、拡張
  • ② 管理がシンプル
  • ③ 柔軟なストレージポリシー
  • ④ 重複排除・データ圧縮
  • ⑤ ネットワークRAID

① 簡単な構築、拡張

vSANはvSAN用のネットワークを準備し、vSphere Web Clientから数ステップほど設定すれば利用できるようになります。

また、拡張も簡単です。容量を追加したい場合は、各ノードにHDDを追加する、もしくは1ノード追加するだけです。もちろんディスクの追加、ノードの追加も簡単です。パフォーマンスを強化したい場合には、ディスクグループを増やす、もしくはノードを増やします。ノードを増やすことで容量とパフォーマンスが上がっていくので、VDIなどのノード数とストレージ容量、ストレージパフォーマンスが比例しているシステムには最適です。

スケールアップ、スケールアウトのいずれも簡単に行える

スケールアップ、スケールアウトのいずれも簡単に行える

② 管理が簡単

vSANの管理は、見慣れたvSphere Web Clientから管理可能です。管理ソフトが別になっていて煩雑な思いをすることはありません。

vSphere Web Clientに統合されたvSANの管理画面

vSphere Web Clientに統合されたvSANの管理画面

もちろんVMware vCenter Operations Managerとも連携して管理することが可能です。

③ 柔軟なストレージポリシー

vSANは、仮想マシン単位にストレージポリシーが設定できます。設定できるポリシーは許容する障害ノード数(ノード障害に対する可用性定義)、ストライピング数、キャッシュ容量の予約などがあります。なおストレージポリシーは、設定後もオンラインで設定変更することが可能です。

ストレージポリシーの設定画面

ストレージポリシーの設定画面

④ 重複排除・データ圧縮(オールフラッシュ構成のみ)

オールフラッシュ構成の場合に限られますが、重複排除・データ圧縮を利用することが可能です。

重複排除・データ圧縮

重複排除・データ圧縮

⑤ ネットワークRAID(オールフラッシュ構成のみ)

こちらもオールフラッシュ構成のみとなりますが、ネットワーク越しにノード間でRAID 5もしくはRAID 6構成を組むことが可能です。オールフラッシュ構成の場合、前述の重複排除とネットワークRAIDを組み合わせることで、必要な容量を節約することが可能です。

オールフラッシュの場合はネットワークRAIDを利用可能

オールフラッシュの場合はネットワークRAIDを利用可能

VMware vSANの注意点

vSANの構成上で注意すべきポイントを2点ほどご紹介します。

1.ディスク構成

ディスクの種類は統一されていることが推奨されます。キャッシュディスクはリード/ライトの比率やクラスを、キャパシティディスクはSAS/SATAなどのインターフェースや回転数を合わせるようにしましょう。

2.RDMが使えない

vSANではRDM(Raw Device Mapping)のような機能はありません。そのため、すべてVMFS上で構成する必要があります。既存の仮想マシンをvSAN上に移行する際はRDMを利用していないことを確認し、もし利用している場合はVMFSでの運用を検討する必要があります。

今回はvSANの概要について説明しました。次回は、めまぐるしく進化するvSANの最新情報についてご紹介したいと思います。

著者
蒋 祺彦(しょう きげん)
富士ソフト株式会社 シニアマスター

中国出身。日本の文化に惹かれ2001年来日。2009年に富士ソフト株式会社入社し、現在はVMwareソリューションに関する提案から設計・導入まで幅広く従事している。入社当初よりVMware製品を担当し、実際に自身が導入したシステムによりお客様のビジネスが変化するのを目の当たりにし、感銘を受ける。現在ではVMware製品、特にvSANに注力している。

保有資格:VCIX-DCV、VCIX-NV

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