クロスプラットフォーム開発を始める前に
openSUSEの主な特徴
さて、オープンソースカンファレンスなどのイベントでブースを出展する際に必ずといっていいほど聞かれるのは、「openSUSEの特徴は何ですか?」という質問です。Linuxのディストリビューションはどれもこれも変わらない、特にパッケージ管理システムにRPM(RedHat Package Manager)を利用しているためRedHatの亜種とみられることが多いです。
実際に触ったことがある方ならおわかりかと思いますが、ディレクトリ構造はRedHatとは似て非なるものです。それもそのはず、openSUSEのご先祖さまはSlackWareに当たります。だからといってSlackWare系列かといえば異なります。SlackWareを先祖としつつも独自に発展してきたディストリビューションがopenSUSEになります。この原稿執筆時点(2011年3月)では11.3が最新版ですがおそらくこの原稿を皆さんが読む頃には11.4がリリースされていることでしょう。
openSUSEの最大の特徴は、管理ツールであるYaST(Yet another Setting Tool)による集中管理でしょう。不慣れな管理者によるサーバー構築をサポートします。Red Hatとは異なり、一つのコマンドでGUI(コンソールでも利用可能)が起動し、ほとんどのことができてしまいます。当然、開発環境の構築もできてしまいますから便利ですね。
有名なマスコットであるGeekoも紹介しておきましょう。コンピューターオタクであるGeekとヤモリであるGeckoをかけたもので、どんな環境にも対応するようにというカメレオンです。以前、Novellのノベルティーで小サイズが配布されていましたので持っている方もいるかも知れませんね。なお、かわいいと評判なので品薄状態が続いています。
余談ですが、小サイズのGeekoのぬいぐるみを粗末に扱うとNovell日本法人の本社がある五反田から特大のGeekoが持ち主のところに押しかけるという都市伝説もあるので大事に扱ってください。かくいう私も、過去に特大Geekoにつぶされたことがあります(他にも、うちのスタッフがヘマするとかじられるとか、おかしな噂もあります)
MeeGoのサイト(画像をクリックするとサイトに移動します) |
スマートフォンアプリを開発支援するMeeGoプロジェクト
最近、巷では、Andoroidなどのスマートフォンが全盛です。ようやく端末が百花繚乱(りょうらん)といった形で出てきていますが、CPUのアーキテクチャが組み込み系で有名なARMアーキテクチャのみということから、アプリケーションの開発には二の足を踏まれる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、IntelとNokiaが主導しているMeegoプロジェクトがあります。残念なことにNokiaはMicrosoftのWindows Phone 7の採用を決めてしまいましたが、開発を続けるといっています。私は個人的にはオープンソースの方が問題の追跡がしやすいと思うのですが皆さんはどう思われるでしょう。
このMeegoというプロジェクトは、IntelのMoblinプロジェクトとNokiaのMaemoプロジェクトが統合して産声をあげました。IntelのAtomプロセッサ、ARM LimitedのARMアーキテクチャに最適化されているとのことで、近いうちにMeegoが搭載されたタブレットPC等も発売されると思います(先日、富士通からMeeGo搭載ノートパソコンの発表がありました)。
IntelのAtomプロセッサに最適化されているということは、実機での開発がしやすいということを意味します。なんだかんだいっても、ARMアーキテクチャの実機デバッグは個人レベルでは考えられません(BeagleBoardを使うという手段はありますが、それでも敷居は高いと思います)。最近では、Andoroid搭載のタブレットデバイスなども増えてきましたから、敷居は下がっているとは思いますが、まだまだ開発の初心者向けではないと思います。
それに比べて、MeeGoでは普通のNetbookを開発に使うことができます。もちろん、有り余る(?)CPUパワーを使って仮想化してもよいと思います。しかし、グラフィック周り、特にOpenGL ES関係は仮想化では対応できないので、どうしても実機が必要になってきます。これは、AndoroidでARMの拡張命令であるNEONを使ったネイティブアプリケーションの開発を行う場合に影響を受けます。このような場合は先に述べた理由でMeeGoの方が有利かも知れません。
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