Zabbix2.0でJavaアプリケーションの監視
システム運用管理者にとって、安定したサービス提供のためには、管理機器の状況を監視することは非常に重要です。
現在、仮想化やクラウド化が進む環境では、管理機器の台数も膨大になり、できる限り効率良く管理する必要性が高まってきていると思いますが、このような状況を背景として、既存の監視ツールも、より仮想化やクラウド化に対応した形に進化しています。
本連載では、OSSの統合監視ツールの1つであるZabbixを取り上げ、先日リリースされた最新版2.0での新機能を中心に、より効率的に監視環境を構築・運用する方法についてご紹介したいと思います。
【連載目次】
- 第1回 Zabbix2.0でJavaアプリケーションの監視
- 第2回 運用コスト低減に有効なZabbix2.0新機能
- 第3回 Zabbix1.8から2.0への移行
- 第4回 ZabbixAPIを使って外部ツールとの連携
Zabbix2.0概要
Zabbixは、ラトビアのZabbix SIA社が開発するネットワーク機器やサーバー機器を統合的に監視するOSS統合監視ツール※1です。
企業での利用実績も蓄積され、数千台規模の大規模環境監視事例※2やミッションクリティカルな金融系基幹システムで利用された事例※3など数々存在します。また、コミュニティ活動も活発で、ユーザー間での情報交換も多く行われています※4。
そんなZabbixですが、2012/3/22にバージョン2.0.0rc2がリリースされました※5。安定版であるバージョン2.0.0についてもまもなくリリースされるかと思います。
Zabbix2.0では、バグフィックスに加えて、JMX監視やSNMPtrap監視のネイティブサポート、監視設定をより自動的に行えるようにする機能(ホストインベントリ自動登録機能、ローレベルディスカバリ機能等)など構築や運用に役に立つ内容がいくつかリリースされています。
そこで、第1回と第2回では、Zabbix2.0の新機能を紹介したいと思います。
マルチインタフェース監視機能
1.8系を使っている時には一工夫しないと出来なかったような監視設定が、2.0では、より簡単にできるよう様々な機能が追加されています。
その中の1つにマルチインタフェース監視機能があります。既にZabbix1.8をご利用になっているユーザーの方であればご存じかと思いますが、今までは、1台のホストに複数のネットワークインタフェースを備え、IPアドレスを複数持つ場合、1ホストの設定内で複数IPアドレスの登録を行うことができませんでした。
そのため、例えば、「SNMP監視とIPMI監視を別のネットワークを通して行いたい」といった、ネットワークを分離した環境での監視の場合、それぞれ別々にホスト登録が必要でした。こういった複雑な状況に対応するため、1ホストで複数のネットワークインタフェース情報を管理できるマルチインタフェース監視機能が実装されました。
以下にZabbix2.0でのホストの登録画面とアイテムの登録画面を示します。
図1:ホスト登録画面(クリックで拡大) | 図2:アイテム登録画面(クリックで拡大) |
ホストにあらかじめ複数のネットワークインタフェース情報を登録しておきます。アイテム登録時には、設定されているネットワークインタフェースから選択して、どのネットワークインタフェースを通して監視するかを指定します。
また、ネットワークインタフェースは「Zabbix Agent用」「SNMP用」「IPMI用」「JMX用」といった種別毎に管理できるようになっています。これにより、管理画面からホストの情報を確認した際、どのIPアドレスがどのネットワークのものかを容易に識別できるようになっています。