Webとネイティブの好いとこ取り? ハイブリッドアプリ開発のススメ

2012年12月10日(月)
岡本 雄樹アシアル株式会社

はじめに

はじめまして、最近「Nexus 7」が手放せないアシアルの岡本雄樹です。端末の性能向上もあいまって、HTML5を活用したハイブリッドアプリ開発の手法が注目されています。JavaScriptから利用できる機能が豊富に用意されたことや、CSS3の表現力豊かなスタイルが使えることから、HTML5でアプリを開発することが現実的になりました。

ハイブリッドアプリ開発とは、HTML5を中心としたWeb技術で、端末上で動作する、いわゆるネイティブ形式のアプリを開発する手法です。Web技術はモバイルのOSに関係なく共通です。つまり、一つのソースコードからAndroidとiOSの両方に対応したアプリを作ることができるわけです。Java言語も「Write once, run anywhere」という標語を掲げていたように、一度書いたプログラムをプラットフォームに依存せずに動かしたいというニーズは根強く存在します。

HTML5を活用したハイブリッドアプリ開発では、モバイルOSが標準で提供する「WebView」の仕組みを活用してアプリケーションを開発します。WebViewはアプリ内でブラウザ機能を利用する仕組みで、一般的にはアプリの画面にHTMLを表示するために使用します。

ハイブリッドアプリ開発では、このWebViewの仕組みを応用してHTMLやJavaScriptのソースコードを展開します。そうすることで、さまざまなデバイスに対応する、いわゆるクロスプラットフォームなアプリを実現します。

実際に多くのハイブリッドアプリがアプリマーケットで提供されています。国内ではクックパッドや名刺管理アプリのEightといった人気のアプリもハイブリッドアプリとして開発されています。また、グローバルではWikipediaやLinkedInなど、著名なサービスで事例があります。

クックパッド

Eight

Wikipedia

ハイブリッドアプリを実現するツール「PhoneGap」

ハイブリッドアプリを制作するツールとしては、アドビシステムズ社がオープンソースとして公開しているPhoneGapという製品が有名です。PhoneGapを用いると、アプリ内にWebViewを搭載し、そのなかでHTMLやJavaScriptのソースコードを実行するフレームワークが提供されます。

また、PhoneGapではカメラや加速度センサーなどの端末機能を利用できます。これらの機能はPhoneGap APIと呼ばれ、JavaScriptの形式で提供されます。PhoneGap APIを活用することで、標準のHTML5では用意されていない機能を利用できます。

PhoneGapの機能については、次回以降に紹介していきます。詳しくは、以下のサイトを参考にしてください。

技術とサービス運営に興味があり、学生時代に3年間、創業したばかりの会社でECサイトのウェブマスターを経験。システム構築からサーバの運用などシステム面を一手に引き受ける。アシアル入社後は、自社サービスの一環としてスクール事業部を運営している。著書は『イラストでよくわかるPHP』(インプレスジャパン)

PHPとモバイルの開発を得意としたテクノロジーベンチャー。2002年7月の設立以来、PHP技術者のためのコミュニティサイト「PHPプロ!」や教育サービス、スマホアプリ開発プラットフォーム「Monaca」の提供など、Web システムの開発に留まらずさまざまなサービスを展開している。
http://www.asial.co.jp/

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