イベントレポート「Javaプログラミングをスッキリ学ぶための10のコツ」
第2部 学びのデザイン
続く第2部は「学びのデザイン」として、学習の目標設定、設計、手段などについてのコツが紹介された。
コツ6:学び手に最適な目標を定める
学習のモチベーションは学び手の永遠の課題だ。進捗や成長に自信が持てなければやる気も上がらず、効果も出にくい。そこで中山氏は 「長期目標と短期目標の2つを設定しましょう」 語る。
成人が何かを学習するためには
- 必要性
- 得意意識
- 興味
のどれかが必要であると分析し、短期目標では2.と3.を得られリズムがよくなり、長期目標では1.と3.を得て、将来達成する大きな価値を築けるとした。
そして自信を持つためには第三者による評価の有効性を説く。たとえば資格だ。JavaではORACLE MASTERと同様にエンジニアの認定制度があり、比較的容易なものから難易度の高いものまで幅広く揃えられている。資格取得によって、レベルに応じた達成感を得ることができるし、技術力を客観的に証明ができるので、そのメリットは少なくない。
スッキリわかるJava入門と同実践編の内容は、Javaプログラミングスキルを世界で証明する「Oracle Certified Java Programmer」の「Bronze」レベルの知識をカバーしていると岡田氏は太鼓判を押す。スッキリわかるJava入門で知識を習得し、仕上げに「黒本」と呼ばれている「徹底攻略シリーズ」で試験対策を行えば、独学でも効率的に資格取得ができるであろう。
話しは逸れるが、資格関連の話題としてひとつ。情報処理技術者試験の基本情報(FE)で、必須解答となっているソフトウェア開発分野の選択肢にJavaがあるが、この試験対策にスッキリわかるJava入門を使うことで、確実に得点をものにできると言う話しがあり、基本情報の受験を考えている人は検討してみてはどうだろうか。
コツ7:真に効率的な学習手段を選ぶ
初めてプログラミングの道に進む人にとって、特に多様な学習方法が存在するJavaでは、
- Webサイトやノウハウ集での独学が効率的かどうか
- 高価な研修の損得で迷う
といった悩みが出てくる。
中山氏は効率良く学ぶためのアドバイスとして 「“一見、安い”(学習手段)に惑わされないこと」 を贈った。
Web上の教材やJava情報サイトなどを使って、安価にあるいは無料で学習することも可能だが、オブジェクト指向など概念系の特性が高いJavaに関しては、Webでの独学はいばらの道であると言う。
続いて岡田氏は、 「Webサイトによる独学は、知識が浅い段階ではWebサイトに書かれている内容が最新の情報なのか古い情報なのか見極められず、古い情報に振り回されると、同じ分野を学び直さなければいけなかったりして効率のよい系統立った学習がしにくい。どちらかと言えば書籍で概要を掴み最新情報が何であるかを知ってから、Webで学ぶような順が良いだろう」 と語った。
中山氏曰く 「研修を受けるには高い費用がかかるが、カリキュラムが整っていて効率的な成長が見こめるならばそのメリットは大きいので積極的に受けるべきだと思う。また制度がなく手軽に研修を享受できない個人プログラマーの場合は、やはり値段の割りには得られるものが多い市販書籍を生かして、実力アップを図るべき」 とのことだ。
コツ8:教え方の設計原則を知る
コツ8は
- 自らはJavaを使いこなしているが、うまく人に教えられない
- 説明はいろいろしているが学び手がスッキリしていない
という導き手に対するアドバイスだ。
大切なポイントとして中山氏は 「“知ってる”と“使える”が別要素であるように、“使える”と“人に教えられる”ことも別の能力です」と指摘。そのために、導き手へは教える技術の訓練を推奨している。
入門者はその対象言語を何もわかっていない前提から、
- 全体と終わりを明示しやすい、トップダウンの教え方
- 章別などから学べ、一度の多くの要素を把握するボトムアップの教え方
の原則を上手に使い分けて指導することを述べた。
個別の教え方でも
- ・A=B+Cなどのルール・法則のような教え方は、原則は伝えやすいものの概念や思想を説明しにくい
- ・Aの具体例はDやEやF、といった例示による教え方は、概念や思想を間接的に説明できるが論理的な納得感は得られにくい
といったメリット・デメリットがある。学び手の特性、教える内容の特性を理解して、導き手がベターな教え方を選択する必要性がありそうだ。
導き手に求める大切な勇気として、中山氏は次の3つのポイントを挙げた。 すべては学び手の成長のために、
- ・少しずつ(学ばせる、動かす、見せる)
- ・デフォルメ(複雑なものの単純化)
- ・題材選び
を考える必要が導き手にはあると語った。
ただ、この点は中山氏もいまだ悩みつつ指導しているという。
- ずっと先に学ぶ、高度な知識や用語を飲みこみ、あえて示さない勇気
- 厳密には不正確な説明をする勇気(int型は2,147,483,647まで値を持てるが、これを約21億と教えるなど)
- 高尚でない題材を選ぶ勇気(学び手が好きそうな、プログラミングに関係の無い例えを出してみるなど)
も、時と場合によって選択することで効率のよい指導ができそうだ。
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