資格体系の見直しで取得パスが明快になり、進化を遂げた「Oracle認定Java資格」
試験範囲の拡大に合わせ
資格を三段階に分割
Javaプログラマ向けの認定資格として、オラクル社がワールドワイドで実施する「Oracle認定Java資格」が、Java SE 7のリリースを機に、2012年より新たな資格制度へとリニューアルされている。従来は、「Oracle認定Javaプログラマ」の名称で1つの資格のみが提供されていたが、新たな資格制度においては、同社のデータベース認定制度であるORACLE MASTERと同様に、難易度に応じて3つに分かれた、積み上げ式の資格制度となった【1】。
【1】旧資格体系との難易度の比較。旧プログラマ資格よりも高度化している
制度の見直しを実施した狙いについて、日本オラクル株式会社オラクルユニバーシティビジネス推進部の岡田大輔氏は、Javaプログラマに求められるスキルセットが変化したことが最大の理由だと語る。
「ここ6~7年における傾向ですが、開発現場において求められるスキルセットが以前より高度になっています。これまではどちらかと言えば純粋なプログラミング能力が問われてきましたが、今や例えばデータベースアクセスに関する基礎知識はプログラマにとって必須です。また、設計を担当する人がどういう意図で設計を行ったのか理解するには、デザインパターンに関する知識が欠かせません」
また、クラウドの普及などによりシステムのリリース速度が上がり、発注企業側から「とにかく短工期でプロジェクトを完了させたい」というニーズが増えたことも背景にあるという。
「結果としてプロジェクト内において、一人ひとりのエンジニアが請け負うタスク量が増え、より幅広い知識が求められるようになっているという事情があります」と岡田氏は指摘する。
そのため試験範囲を拡大し、必要とされる技術を段階的に身に付けられるように、3段階の資格制度を導入したという。
各レベルの実力目安と
旧資格保持者のアップグレード試験とは
では新資格体系におけるそれぞれの資格の特徴を見ていこう。
●「Bronze」は学生から新卒など初学者が目指すレベル
もっとも低難易度の資格となる「Bronze」(Oracle Certified Java Programmer, Bronze SE 7)は、学生や新卒でIT企業に就職した社員など、はじめてプログラミング言語を学習する人を対象にしたものだ。Javaプログラミングに関して最低限必要な基礎知識の取得を目的としており、新資格体系においてはこのBronzeのみ、日本独自の資格となっている。
オラクル社では、Javaに関するすべてのエンジニアを対象にしたエントリー資格として「Oracle認定Javaアソシエイツ」を実施しているが、こちらは新たな資格体系の枠組みに含まれておらず、アップグレードパスも提供されていない。そのため将来的に上位のプログラマ資格を目指す初学者を含め、Javaに関する基礎的な素養を身に付けたいアプリケーション開発職やプロジェクトマネジメント職の人は、Bronzeから資格取得パスへ入ることが推奨されている。
なお、いずれの試験も「Pearson VUE」により提供されるCBT(Computer Based Testing)方式で実施されるが、Bronzeのみ、Web上で受験できる「オンライン試験」に対応しており、より低価格で手軽な受験が可能となっている点が特徴だ。
●「Silver」は実務経験1~2年以上が目安
初級プログラマとしての実力を認定する「Silver」(Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 7)では、Javaプログラミングに必要とされる仕様を詳細に理解していることが求められ、1~2年程度の実務経験を経たエンジニアを対象とした難易度となっている。具体的には上級エンジニアの指導を受けながら、簡単なテストコードなどを作成できるレベルを想定しているとのこと。そのため、基本的な試験範囲こそBronzeと同様だが、Bronzeが基礎知識の有無を問うのに対し、プログラムコードがコンパイルエラーとなる理由を問う設問が出されるなど、より実践的な内容となっている。
●「Gold」は設計から実装までの広範囲な知識が必要
上位資格である「Gold」(Oracle Certified Java Programmer, Gold SE 7)はJava SEのコアAPIをきちんと理解していることに加えて、設計に関わる知識が問われるなど、独力で設計から実装まで実行できることが求められる。具体的には3~4年以上の実務経験が必要なレベルとされ、旧資格体系では扱われなかった範囲が含まれることから、試験の難易度はかなり高いと言える。またGold取得にあたっては、Silverの認定取得が前提となる。
ちなみに既存のOracle認定Javaプログラマ資格を持つ人の場合、差分試験に合格することでGoldの認定を受けることが可能。アップグレード対象となる資格は、サン時代の「Sun認定Javaプログラマ」を含め、すべてのエディションが含まれる。試験範囲は純粋に差分のみにフォーカスしたものとなるが、「SE 7の新機能に関する体系的な情報が少ないため、相対的な難易度は他の試験よりもやや高めになっている」(岡田氏)とのこと。
Java SE 6のセキュリティアップデート提供が2013年2月で終了していることから、今後はSE 7を利用した案件が主流になってくると見込まれており、この機会にアップグレードを検討する価値は高いといえる【2】。
【2】資格認定パス。スタートは、「Bronze」「Silver」どちらからからでもOK
●これから資格取得を目指す人
[資格名]Oracle Certified Java Programmer, Bronze SE 7
を取得するには
[試験名]1Z0-802 : Java SE 7 Bronze Exam
に合格すること
↓
(Silverから受験してもOK)
[資格名]Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 7
を取得するには
[試験名]1Z0-803 : Java SE 7 Programmer I
に合格すること
↓
(Goldを受験するにはSilverが必須)
[資格名]Oracle Certified Java Programmer, Gold SE 7
を取得するには
[試験名]1Z0-804 : Java SE 7 Programmer II
に合格すること
●旧資格保持者
[資格名]OCJ-P/SJC-P(バージョンは問わない)
資格取得者は
[試験名]1Z0-805 : Upgrade to Java SE 7 Programmer
に合格で、Goldへのアップグレードが可能
試験対策においては
コードを書くことが効果的
単純な知識量だけでなく実践的な応用力が問われるなど、十分な実務経験を積んだエンジニアにとっても突破が容易ではないといわれるOracle認定Java資格だが、実際の試験対策においてはどのような学習方法が効果的なのだろうか?
岡田氏が勧めるのは、実際に手を動かしてコードを書くという方法だ。
「SilverとGoldでは150分で90問を解く必要があり、1問につき2分以上かけられない計算になります。どちらの試験もコードを見て解く問題が多いのですが、普段からコードを読み慣れていなければ、たとえ15行程度の短いコードを使用した問題でも、時間内で答えを出すことはできないでしょう。またコードを書いた経験が少なければ、実行時にどういう結果になるのかの予測が難しいだけでなく、コンパイルエラーの原因なども見落としがちになります。もっとも効果的な試験対策は、簡単なものでも良いので、とにかくたくさんのコードを書くということです」
また実務経験のある人でも、いきなり模擬問題に取り組むのではなく、まずは参考書の全体を読み込んで知識を整理することが重要と指摘する。「模擬問題ばかり重視する人ほど、問題の変数が少し変わっただけで解けなくなってしまうといった、落とし穴に陥りやすい」と岡田氏。まずは体系的に試験内容を理解したうえで、自分の弱い部分を集中的に学習することが効果的といえるだろう。
なお、Javaプログラミングに関するデファクトの資格として、すでに多くのエンジニアが取得している「Oracle認定Java資格」だが、上記のように実践的な状況を想定した出題傾向から、
- 実務に役立つ知識を、体系的に身に付けることができる
- Javaプログラミングの実力を客観的に証明するワールドワイドの資格として、質の高いエンジニアを雇用したい企業からの評価が高まっている
- Java SE 7の新機能について、しっかりとした知識を身に付けることができ、プログラマとしてのスキルを差別化できる
などの取得メリットを挙げる声が多いと岡田氏は言う。
「よりやりがいのあるプロジェクトに参加したい、あるいは転職を考えているといったプログラマにとって、大きな強みになるのは資格という客観的な証明に他なりません」と断言する岡田氏。プログラマとしての技術的な視野を広げるうえでも、「Oracle認定Java資格」に挑戦してみてはいかがだろうか。
【関連書籍紹介】
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オラクル認定Java資格は、Java SE 7の導入に伴い、2012年に大きく資格体系が刷新されました。旧資格体系のOCJ-P SE5/6、SJC-P(エディションは不問)の取得者は、移行試験「Upgrade to Java SE 7 Programmer」(試験番号:1Z0-805)に合格することにより、新資格体系のOCJ-P Gold SE 7として認定されます。本書は、この移行試験に対応した対策問題集です。試験で問われるJava SE 7の新機能に絞って解説しているため、効率良く学習を行うことができます。また、一問一問わかりやすくていねいに解説し、正解だけでなく不正解の選択肢についても「なぜ不正解なのか」をきちんと解説しているため、着実に合格に必要な知識が身に付きます。
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