アマゾンが新たなCloud Driveアプリで写真やファイルを保存しようとしている
アマゾンは6月末にリリースされたAndroid版につづき、iOS版のCloud Driveアプリを発表した。ユーザーはこれでモバイルデバイスからデスクトップと同様にファイルやフォルダの参照が出来る様になり、アマゾンのサービスはよりDropboxやGoogle Driveのそれに近いものになった。
これもコンシューマのデータをオンラインに保存させようとする動きの一つであり、人々のビデオや写真その他のデータを個人のデバイスからクラウドに移させようと、大手各社は価格を下げ、サービスを拡張している。
コンセプトとしてはシンプルなものだが、それを実際に行うとなると話は複雑だ。アマゾンの場合、中途半端なアプリの数を増やす事は何の助けにもならない。
2種のアプリの話
クラウドストレージを使える事で、ユーザーのローカルストレージへの依存を減らすことになり、携帯やタブレットなどの限られた記憶容量を節約することになる。また自動バックアップによってデータをスマートフォンからタブレット、PCおよびブラウザから場所を問わずにアクセスするのも楽になる。
と、いうのが一般的なやり方だ。しかしアマゾンのやり方はバラバラな方向に来ている。
アマゾンは画像のアップローダー兼バックアップツールとしてAmazon Photosの提供を始めた。ファイルを見たい場合は、それぞれ別のアプリを使って主な形式のファイルを開いたり、写真、音楽、ビデオを再生する。だがそれらのアプリにアップロード機能はない。これらは連携して使うアプリだとしても、不完全なものに思える。Cloud Driveアプリもユーザーがファイルを編集したりリネームや移動が行えるわけではない。
言い換えれば、これら新しく登場するアプリはPhotosアプリに取って代わるものではなく、それぞれが連動して使われる事を目的とされている。この事でユーザーは単一サービスであるCloud Driveを使うために2種類の(機能的には限定された)アプリを使う事になる。
Cloud Driveの利用価格は容量無制限の場合は年間60ドルだが、写真だけを保存できるコースの場合はだいぶ安くなり、年間12ドルかかる。(プライムメンバーなら無料だ)後者のコースにはビデオの保存用スペース5GBも含まれる。
片や開発者のCloud Driveにおけるエクスペリエンスはマシなものになるだろう。先月、アマゾンはサードパーティーのアプリメーカーがユーザーのファイルや設定情報の保存が可能になるサービス開発用SDKをリリースした。
アマゾンのコンシューマクラウドストレージ分野へのアプローチはまとまりを失っているように思えるが、少なくとも開発者は抱えているユーザーが混乱することを避けることは出来るだろう
競争
アマゾンだけではない。Dropboxやグーグル、アップルそしてマイクロソフトもすべて、典型的な写真のバックアップ機能を筆頭に、ユーザーが混乱しそうな数のオプションを提供しており、互いに比較するのはそう簡単なことではない。
Dropboxは自動バックアップとデバイス間のシームレスな同期で他社に先駆けたが、無料のストレージが2GBというのは実にケチ臭い。1TB 月額9.99ドルというのは多くの人たちにとって手の出る範囲だ。Dropboxは写真を管理できるアプリ、Carouselも提供している。
ビジネスユーザー向けの機能も絶え間なく提供されており、マイクロソフトとはGoogleDriveと同じくDropbox内でドキュメントの編集が出来るための提携を結んだ。
グーグルのクラウドストレージはDropboxとは違う進化をみせた。オンラインオフィススイートとして出てきたものは、後にあらゆる種類のファイルに対応するようになる。この動きはGoogle Driveがモバイルデバイスおよびデスクトップブラウザにますます焦点を当てている事と関連している。
グーグルはより気前良く15GBの無料スペース(全てのサービス共通で)を提供しているが、有料スペースも1TB 月額9.99ドルと、Dropboxと同額で提供している。最近登場したGoogle Photosでは、サイズが若干変更されることはあるが動画と写真を無制限に保存できる。グーグルは自社のオンラインサービスに結びついたアプリを大量に出しているが、アマゾンのまだ方向が定まりきらないサービスと比べると、それぞれハッキリとした機能と特徴を持っている。
この点に関して言えば、マイクロソフトも重要な役割を持つ。サティア・ナデラ指揮の下、マイクロソフトは全てのプラットフォームで全てのアプリを出すことに躍起になっている。OneDriveは少々詰めが甘いところもあるが、今やDropboxおよびGoogle Driveで出来る事は何でも出来るようになった。Office365にサインアップしたユーザーはオンラインストレージを無制限で利用できる。
iOSおよびMacユーザー向けのサービス、iCloudはアップルのいつもの例に漏れず、競争から一歩遅れてしまっている。例えば異なるプラットフォーム間の互換性がなく、それ故にアップルのデバイスを持たないユーザーには何のありがたみもない。これを踏まえていうと、iCloudはいわゆる全てを備えたクラウドストレージの選択肢ではない。価格も高めだ。5GBまでは無料で提供されるが、1TBは月額20ドルかかる。
これらの状況全てが、アマゾンが新しいアプリを必要とし、またそのアプリが残念な出来だと思わせる背景だ。もし彼らが他のサービスから顧客を奪いたいのであればこういったアプリは必要だが、もっと良いものを早急に用意する必要がある。
トップ画像提供:Amazon
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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