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Google Glassは「失敗作」ではない

2016年8月1日(月)
ReadWrite Japan

数年前、猛プッシュされていた『Google Glass』はどこに行ってしまったのだろうか?

一時期大きな話題を呼んだが、結局のところGoogleが狙っていたような世界的な現象を巻き起こすには至らなかった。しかし、多くの企業はGoogle Glassが自分たちにとって重要な存在であると気付いているようだ。プライベートな使い方よりもオフィシャルな使い方の方がGoogle Glassの性能を存分に活かせるかもしれない。

今回紹介する世界最大の航空宇宙機器開発製造会社であるBoeing社は、その重要な使い道に気付いた企業の1つである。同社は航空会社や政府筋に航空機を製造しているが、この航空機には電子システムをつくり上げるための多くの配線が必要だ。この配線を正しく取り付けるため、従業員たちは毎日配線用ハーネスを作る作業に追われている。

「配線用ハーネスは非常に複雑で入り組んだ作りになっており、ロードマップを使って接続ポイントや配線端子を探さなければならない。数があまりにも多いため、時には情報に溺れてしまいそうになる」とBoeing Research and Technology社で研究開発を行うエンジニアのカイル・ツァイ氏は言う。

ハードウェアのせいで我慢せずに済む

この作業は非常に面倒であり、複雑で時間もかかる。このことは、従業員がより短い期間で仕事を終えられるような新しい道を企業に模索させることになった。そして、この探索は長期に渡った。今から11年前の1995年にも、同社は頭に装着する拡張現実デバイス『Navigator2』を試してみたことがある。だが、技術的な限界やハードのコスト問題もあり、これは現実的なものではないという結論を出した。

しかし、Google Glassが現実のものとなった今、従業員にとっては力強いアシスタントを得れたと言える。別の研究開発エンジニアのジェイソン・デストリーズ氏は、「ようやくハードウェアのせいで諦めなくてもいい時代になった」と語っている。

Boeing社が配線問題を解決するより良い方法を見つけたのは素晴らしいことだが、Google Glassの価格は1,500ドルと依然として相当高価である。この価格では大企業だけが使えるツールか、これくらいのものにポンと金を出せる層だけに限られたツールであり続けることになるだろう。

さて、昨年新たな特許を取った『Google Glass 2』は今年中に販売を開始するらしい。今度のGoogle Glassではどのような改善がされているのか、コンセプトは何か。ARゲームとしてポケモンGOが世界に旋風を起こしている今、ARという分野でGoogleが今後どのように戦うのかに注目が集まる。ただの「失敗作」じゃないという証を見せてほしいところだ。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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