省電力によるコスト削減
ソフトウェアによる省電力制御
ハードウェア省電力化が進む一方で、NECはソフトウェアによる制御でも省電力化に取り組んでいる。同社では、運用管理ソフトウェアとしてWebSAMシリーズを持っており、高度な自立運用を可能にする基盤を整えている。ここで、サーバーの稼働状態を監視し、電力使用量に制限を掛けるといった手法を用いることで消費電力量を一定レベル以下に抑えることも可能だ。
データセンター内のサーバーの処理能力が常に100%利用されるということはまず考えられない。通常はピーク時にもある程度の余裕を残すように処理能力を確保する。つまり、通常運用時はかなりの処理能力を余らせていることになる。最新のプロセッサでは、負荷が軽い場合には思い切って消費電力を削減するような緻密な電源制御機能が組み込まれているが、OSが稼働している以上、ある程度の電力消費は最低ラインとして発生する。しかし、たとえば全サーバーを50%の負荷で運転するのではなく、半数のサーバーを100%の負荷で稼働させ、半数のサーバーの電源を切ってしまうことができれば、より消費電力を下げられる。こうした制御を実現するためには、各サーバーの負荷を把握し、動的に負荷を再配置するなど、きめ細かな制御を行う機能を、WebSAM SigmaSystemCenterおよびWebSAM MCOperationsは実装している。
SigmaSystemCenter 2.0で実装された「VM最適配置」機能は、サーバー上で稼働している仮想マシンの配置を最適化することでサーバーハードウェアの負荷を適正レベルに保つことができる。適正レベルよりも負荷が軽いサーバーが複数存在する場合、それぞれのサーバー上で稼働しているVMを集め、余ったサーバーはシャットダウンしてしまうわけだ。もちろん、負荷が増えてきた場合には停止したサーバーを再度起動し、負荷を平準化していく(図4)。
こうした制御は、ブレードサーバーであればさらに実現が容易になる。シャーシ内のブレードは、電源のオンオフを含め、詳細かつ緻密な制御が可能なので、必要に応じてOS環境を自動的にプロビジョニングし、立ち上げることができる。従来は、こうした動的な負荷の再配置を行うのは容易ではなかったが、仮想化環境が成熟し、安定して利用できるような状況が整ってきたことで、省電力化/高効率化という観点からも利用価値が高まってきているわけだ。